※2020年10月30日追記: 夫婦別姓についての電子書籍を販売いたしました!
こんにちは! 夫婦別姓の選べる社会を願うブロガーのヨス(プロフィールはこちら)です。
いまだに「夫婦別姓をしたい人」を許容しない日本ですが、今回は夫婦別姓を実際にやっている者として、「夫婦別姓の体験談」について書きたいと思います。
夫婦別姓をしたこともないのに「夫婦別姓は悪!!」と言っている人の妄想より100億倍は有益な記事ですよ。
わたしのやっている「夫婦別姓」
ウチの家族では夫婦別姓を実行しています。
とは言っても、フタを開けてみると、実際にはわたしの戸籍上の姓は民法によって無理やり変更させられています。
今の日本の法律では「結婚」と「夫婦別姓」は共生できない状態です。こういうことです。
- 「結婚」するなら「夫婦別姓(夫婦どちらかの姓)」を捨てなければならない
- 「夫婦別姓」にするなら「(法律上の)結婚」を捨てなければならない
まずはわたしのやっている「夫婦別姓」について解説します。
7年ほど「事実婚」として夫婦別姓を実行
子どもが生まれるまでは7年ほど事実婚を続けていました(結婚式は事実婚をして2年目ぐらいにやった)。
「事実婚」というのは、婚姻届を市役所に出さずにそのまま過ごすことです。
いわゆる「同棲」という状態ですが、住民票上での名称は、パートナーは「妻(未届)」、わたしは「夫(未届)」というふうに手続きしてもらっていました。
これは市役所でやってもらえますよ。超カンタンに。
夫のわたしが「通称」として夫婦別姓を実行
事実婚で7年間過ごしてきましたが、ここは差別のひどい日本という国です。
親が婚姻届を出していないことによる差別や、不利な条件も懸念したため、子どもが生まれることが発端で「結婚」という制度に足をつっこみました。
そしたら「改姓の圧力」がもれなく付いてきたため、夫のわたしが戸籍上だけは姓を変えました。
「夫婦別姓をした結婚」が法律で許されていない現在(矛盾ですが、国際結婚なら法的に夫婦別姓が認められています)。
日本で、夫婦別姓を通すには2つのやり方が主流です。
- 結婚をしない(= 事実婚)
- 可能な限り、旧姓の通称使用をする
ほかにも「ペーパー離婚・再婚」を繰り返すという方法(後述しています)もありますが、ハードルが高いです。
うちの場合は、夫側のわたしが戸籍上だけで改姓し、日常では夫婦で別々の姓を名乗っています。
なので、パスポート、保険、運転免許証のような国が絡んでくるモノには「戸籍名」が使われています(手続きで住民票への旧姓併記は可能になりましたが)。
でも生活の中のほとんどでは自分の本来の姓を名乗っています。
分かりやすく言うと
「旧姓」をそのまま「通称」として使っている状態と同じですね。
わたしの中で「旧姓(= 元の姓)」という意識は0.00001ミクロンもないのですが。
夫婦別姓をしているとよくされる質問への回答
さて、夫婦別姓をしていると、いろいろと質問されることがあります。
今回はよくされる質問と、それへの回答をまとめます。
- なぜ夫婦別姓をやっているのか?
- なぜ「夫側」が改姓したの?
- 両親は文句を言わないのか?
- 夫婦別姓をしていて困ったことはないの?
- 夫婦別姓で家族はバラバラにならないの?
- 子どもにはどう言っているの?
- まわりの人はどう思っているの?
なぜ夫婦別姓をやっているの?
「なぜ夫婦別姓をやっているのか?」という質問はよく聞きます。
答えは、わたしもパートナーも夫婦別姓が思想に合うからです。
以下、うちで夫婦別姓をしている細かい理由をまとめます。
女性ばかりが改姓している日本に違和感があるから
「日本では結婚した95%以上の女性が姓を変えている」という現状に疑問を持っていることも理由です。
法律上は「夫婦はどっちの苗字にしてもいいよ」となっています。
それなのに、「女性」というだけで、オートマティックに苗字を変えさせたがる社会の圧力が気持ち悪く感じられるんです。
子どもの教育のため
現在は子どもの教育のために「夫婦別姓」をやっていると言ってもよいです。
現実には男女平等な社会ではないですが、「本当は男女平等なんだよ」と、教えたいのです。
つまり、子どもたちには自分の性別だけが理由で、自分のやりたいことを押し殺したり、思考停止の状態で将来を決めてほしくないという思いが強烈にあります。
今の現状では、子どもたちは「女性は男性より劣っている」という隠されたメッセージを受け取りまくっています。少し例を挙げるとこちらです。
- 選手宣誓で「ぼくたち、わたしたちは……」みたいに、女性が後にされる
- 教科書や歌で一人称が「ぼく」に偏りすぎている
- アニメの男キャラが女性キャラに「おまえ」と呼ぶ
- 男は泣くな(= 女は弱いから泣いてもOK)
それが差別につながっているという意識もない中で、社会は「女性は劣った性」というメッセージを無尽蔵に放出しまくっています。
「女性が苗字を変える」というのも同じです。「男性が主役っぽいイメージを発信している」と思いませんか?
夫婦別姓なら、どちらかの姓を上書き保存しているようには見えないので平等ですよね。
なぜ「夫側」が改姓したの?
そして「なぜ『夫』であるわたしが戸籍上の姓を変えたのか?」という質問にお答えしましょう。
うちの夫婦は、本当はどちらも改姓したくありませんでした。
でも日本で婚姻届を出すには、どんなに嫌でも不快でもどちらかが改姓しなければなりません(参考: 日本の現状は「強制的夫婦同姓制度」)。
だから夫のわたしが変えただけです。
……と答えても、「いやフツーは妻が改姓するだろ?!」という声が聞こえてきそうですが、「結婚したら妻が改姓せよ」という法律はありませんよ。
男性が改姓するのは、女性が改姓するのとまったく同じ手続きで、婚姻届のこちらの欄にチェックを入れるだけです。
わたしからすると、「なんでほかの夫婦はこぞって妻ばかりが改姓しているんだろう?」と思います。
意地悪な言い方をしましたが、結婚したら女が改姓しろという同調圧力や、女性差別が空気のように存在していることが原因だということもわかっていますが。
両親は文句を言わないのか?
ときどき「ヨスさんのご両親は文句言わなかったのですか?」のような質問も受けます。
「男が姓を変えるなんてみっともない」のように言ってくる親もいるそうですが、うちの場合は無風でした。
たぶん、わたしが一般日本人っぽくない思想だからでしょう。
「ヨスはそういうヤツ」と受け入れられているんだと思います(笑)。
夫婦別姓をしていて困ったことはないの?
夫婦別姓をしていて、何か困ったことはないかともよく聞かれます。
たとえば、郵便物が届くときに「お荷物に矢野さんって書いていますが、こちらでよろしいんですか??」と聞かれます。
まぁ、「はい。そうです」って答えるだけで済むんですが面倒くさいです(現在は表札に2つの姓を入れて解決)。
「夫が名字を変えてもいいの?」とか、「婿養子になったの?」とかいちいち聞かれウンザリすることもあります。
ほかには、子どもの通っている学校に行くと「子どもの苗字(つまり、わたしの戸籍上の姓)」で呼ばれることです。
まぁ、別にすべてに対して「あ、わたしは矢野です」とは面倒くさすぎるので答えませんが。
ちなみにわたしはPTAにも参加していますが、そこでは「うちは夫婦別姓をしていて、わたしは矢野です」とアナウンスしています。
「戸籍名」を変えるなら男性をオススメ
ただ、このレベルの問題しかわたしに降りかかってこないのはわたしが男性だからかもしれません。
現在の日本社会で男性は「本来は姓を変更しなくてもいい」ことになっています。
そのため、わたしはこんなふうに映っていると思われます。
本来、「苗字を意のままにできる(= 世間的な権力を所有している)男性」がその権力を放棄しているだけ
認めたくありませんが、女性が夫婦別姓をしていると、周りからの「結婚したら女が姓を変えろよ圧力」があるでしょう。
結婚後の姓を操れない(と認識されている)女性の主張は、その主張の正当性とは無関係に「周りに従わず、自分勝手なことを言っている」といった意味不明で理不尽な思われ方をされることが現実として多いようです。
本当にこの国は女性差別が激しいです。
なので、わたしみたいな「旧姓を使う方法」で夫婦別姓を実行したい方は、夫側が戸籍上の姓を変更した方がやりすいのでオススメします。
「通称名」が法的に証明できない問題
あと、現実に困ったことと言えば、日本は通称名が法的に証明できない社会なので、銀行口座を開設したり、スマホ契約をしようとすると、旧姓では契約できないことです。
なぜなら、免許証の名前と契約名が一致していないといけないからです。
2019年に日本政府は約200億円かけて、住民票に旧姓を併記できるようにしましたが、これがまったく意味なくて衝撃でした。
ここを強行突破する際に「ペーパー離婚」をされる方もいらっしゃいます。
一旦、「離婚届」を提出し、「自分本来の姓になった免許証」を手に入れ、その免許証を使って契約し、契約をした後に「婚姻届」を提出し直すという。
これは本当に手間がかかりますよね……。
あざむいているような罪悪感を持つ方もいるかもしれません。本当は国の法整備に問題があるのに。
こうやってまとめてみると、「夫婦別姓」をしていて困ったことは特になく、生活の中で「旧姓と戸籍上の姓が混在すること」による混乱で困ったことになっている感じですねぇ。
つまり、政府が「選択的夫婦別姓」を正式に導入すれば解決することばかりです。
夫婦別姓で家族はバラバラにならないの?
「夫婦別姓だと家族はバラバラにならないの?」という質問もよく聞きます。
これは、夫婦別姓に反対する人の多くがよく声に挙げる反対理由ですよね。
でも現実にわたしの家族がバラバラになっていないので、その意見は「経験したことのない人たちの妄想、もしくは『でっちあげ』」にすぎません。
離婚と夫婦別姓の関連はゼロだと確信しています。
むしろ今の日本で夫婦別姓も認められたら、夫婦別姓カップルの離婚率は低くなるのではないかとすら思っています。
だって世界のほとんどの国は夫婦別姓を許容していますからね。その人達が100%離婚してたら、「それはダメだろ!」と思いますが。
実はわたしは、家族の苗字がバラバラでも何の問題もないことを子どものころから体験的に知っていました。
というのも同居していた祖母一人の苗字が違っていたからです。
それに関して何の疑問も持ちませんでしたし、祖母を「家族の外の人」とみなしたことは一瞬たりともありません。
むしろ、友達のおばあちゃんと友達の苗字が一緒なのを知って「へぇー、ばあちゃんと苗字が同じって変わっているなぁ」と思っていました。
べつの記事にて実際に夫婦別姓の両親の元で育った方にインタビューしていますので、そちらもご参考に。
子どもにはどう言っているの?
さて、この夫婦別姓ですが、うちの子どもたちはちゃんと理解しています。
「日本では結婚したら、どちらかが苗字を変えなければならない」ということ、「世界にはいろんな国があって、苗字を別々にできる国がほとんど」という情報をちゃんと伝え、理解しています。
なので、一緒に市役所に出かけたりしたときに、わたしの戸籍上の苗字で呼ばれると、子どもはこんな反応をします。
ほんとは矢野やのに、あの人、間違ってるな
うちの家族を「バラバラな家族だ」と判定するかどうかは人それぞれでしょうが、幸せで仲のいい家族だと認識していますよ。
「親が夫婦別姓だと子どもが可愛そう」と言っている人は、妄想でものを言っていることが確定しているんですよねぇ……。困ったものです。
わたしのように、実際に夫婦別姓を実行している人だけの言葉を信じるようにしましょう。
まわりの人はどう思っているの?
「まわりの人はどう思っているの?」という質問もあります。
正直なところ、ほかの人がどう思っているかに興味ないですし、思想は自由なので皆目検討もつきません。
ですが、あからさまに文句を言われたことは一度もありませんし、言われても犯罪じゃないので、淡々と説明できますし。
逆に言うと、「ピンクの服を着る」とか、ほかのところですでに「あの人は変わっている」という称号を頂いているため、ある意味「受け入れられている」んだと思います。
どうでもいいですが「変わっている」と言われるのって気持ちいいです。
「夫婦別姓」についての取材もお受けします
もし取材などのご依頼ならこちらからどうぞ。
選択的夫婦別姓の実現にご協力できることなら喜んでさせていただきますので。
わたしの夫婦別姓の体験をつらつらと書きましたが、いかがでしょうか?
夫婦別姓か同姓かを選べることが早くできてほしいとずっと願っています。
そういえば、昔の日本から続く「夫は、妻はこうあるべき」に共感要素が皆無なことが今のわたしのアイデンティティを築いているのかもしれません。
実際に夫婦別姓をしている3児の父の意見として「なるほどなー」って思っていただけたり、これから別姓にしようかなと思ってた人の不安を取り除けることができたら嬉しいです。
ちなみに、2018年のニュー夫婦別姓裁判についてはこちらの記事にくわしく説明しています。
こちらは関連記事です。
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