親指シフトってなに? かな入力・ローマ字入力とも違う「指がしゃべる」入力方式

こちらは親指シフト伝道師として有名な ものくろ さんから寄稿していただいた記事です。

こんにちは、ブログものくろぼっくすを運営している「ものくろ」こと、大東と申します。

毎日、文章を綴っている生活の中で、身につけて良かったと感じているのが「親指シフト」という日本語入力方法です。

PCなどで日本語を入力する時に多くの方はローマ字入力をお使いかと思います。

この寄稿を通じて、日本語タイピングにローマ字入力以外の方式があり、今回詳しく紹介する「親指シフト」は、専用キーボードがなくてもタイピングできることをお伝えしたいなーと思います。

親指シフトでの基本的な入力

では、親指シフトでの基本的な入力方法について紹介します。

「親指シフト」と「かな入力方式」の違い

簡単に言うと、親指シフトはローマ字入力と違い、日本語の50音のままにタイピングしていく方法です。

たとえばこんにちはとタイプするのに、ローマ字入力ではこちらのようになります。

KONNICHIHA

では、親指シフト方式ではどうなるかと言うと……

そうです。日本語の発音のままにタイピングすることになります。

「なんだ、かな入力方式と同じか」と感じられたと思いますが、かな入力方式とは大きな違いがあります。それは使うキーの数です。

通常の「かな入力方式」はキーボードをフルに使う

手元にあるキーボードを見てみてください。

アルファベットの刻印と「ひらがな」の刻印がキートップにありますよね? これが通常のカナ入力をするときの配置です。

通常のカナ入力(4列分のキーを使う)
通常のカナ入力(4行分のキーを使う)

上の図のように、通常のかな入力方式では数字の列も合わせて「4列全て」に平仮名五十音が刻印されています。

ものくろ

ホームポジションから遠い位置にあるキーもフルに使われていますね。

そうなると、タイピングするときに「手を動かす範囲」が大きくなります(たくさんのキーを使うということ)。

「親指シフト」は使うキーが少ない

そしてこの下の図が、親指シフトでのキーの割り当てです。

親指シフト(3行分のキーを使う)
親指シフト(3列分のキーに収まっている!)→ すべてのカナが収まってない点に関しては後で説明します。

いかがでしょうか? 先ほどのかな入力方式より1列分減っていることにお気づきですか?

これにより手を動かす範囲が狭くなり、キーを押しやすいという利点があります。

ものくろ

遠くにあるキーを使わなくていいので、ムダな動きも減るということです!

ちなみに、キー配列を見ると「なんの法則性も見えない」ように感じますが、実は効率よく日本語の頻出「音」をタイピングできるように設計されています。

1つのキーに2つの平仮名……これが親指シフト

親指シフト方式では五十音を直接入力する方式です。

つまり、ふつうに考えると、48個のキーを使う必要があるはずです。

にもかかわらず、「親指シフト」では、アルファベットとほぼ同じ3列のキー配列(31個のキー)で実現できるように設計されています。

ここまでお話しすると、こんな疑問が生じるのではないでしょうか?

ものくろ

48個のひらがながあるのに31個のキーでどうやって入力するの?

実は「2つの音」が「1つのキー」に割り当てられているのです。

「親指シフト」でそのままタイピングする例

では、まず「親指シフト」で、キーをそのままタイピングしたときの表を見てください。

親指シフトでキーをそのまま打った場合
親指シフトでキーをそのまま打った場合

わかりやすいように、とりあえず「左手のホームポジション」に注目してみましょう。こちらをご覧ください。

親指シフト: 左手のホームポジションのキー
小指 薬指 中指 人差し指

上のようになります。

左手親指+左手に割り当てられた仮名

そして、同じ手(左手)の親指キー(無変換キー)と『同時』にタイピングすると……。

親指シフト: 左手のホームポジションのキー(「左親指キー」を追加した場合)
小指 薬指 中指 人差し指

なんと! 入力される文字が変化します!

わかりやすいように2つを比較してみましょう。

親指シフト: 左手のホームポジションのキーの変化(左親指キーを追加)
小指 薬指 中指 人差し指








このように、「左手親指キー」を追加して入力することで、割り当てられたもう一つの文字へ「シフトする、つまり変化します。

こちらは、左親指キーを追加した場合の全図です。

左手親指キーを同時に押すことでこちらの仮名が入力される
左手親指キーを同時に押すことでこちらの仮名が入力される
ものくろ

これが『親指シフト』の名前の由来です!

勘違いしそうですが、キーボード左右にあるShiftキーは使わないんですよね。ややこしくって恐縮です。

右手親指+右手に割り当てられた仮名

そして、右手で入力するキーは、右親指キー(変換キー)と同時に打つと、下図の文字にシフトします。

右手親指キーを同時に押すことでこちらの仮名が入力される
右手親指キーを同時に押すことでこちらの仮名が入力される
ものくろ

「あれ? キーを入力する指と同じ手の親指しか使わないの?」と疑問に思われた方、鋭いです。その回答は次の項目で紹介します。

しつこく書きますが、親指シフトとは「親指キーを押す場合」と、「親指キーを押さない場合」で全く違う文字が出る入力方式です。

それぞれのキーの位置を再確認

ではそれぞれのキーの位置を再確認してみましょう。

まずは左手から。

左手で押すキーのシフト前・シフト後
左手で押すキーのシフト前・シフト後

今度は右手です。

右手で押すキーのシフト前・シフト後
右手で押すキーのシフト前・シフト後

親指シフトでの濁音の入力

そして、通常の「かな入力」方式と一番違うのは「濁音」の入力方法です。

普通の「かな入力」だとを入力したあと、を押すことで濁音のを入力していました。

ものくろ

ところが、親指シフトにはキーがありません。

どうやって濁音を入力するのでしょうか。

「反対の手」の親指キーと同時に打つと?

先ほど、もう1つの文字にシフトするときに、「親指キーを押す」と紹介しました。

でも、(左小指で押すキー)を「シフト」させ、にするには「左親指」を使っていましたよね?

なぜ右親指キーを使わないのでしょうか?

実は、親指シフトでは、反対の手の「親指キー」と同時に押すことで、濁音へ変わるというルールがあるんです。

逆の手の親指で「濁音」に変化する

まず、こちらの図をご覧ください。

タイプする手と逆の親指を同時に打つと「濁音」になる!

一見ややこしく見え、覚えるのが大変そうに見えますが、実は簡単に覚えられるのです。

こちらに左手ホームポジションの平仮名と、右親指キーを押したときの平仮名を比較します。

親指シフト: 左手のホームポジションのキーの変化(右親指キーを追加)
小指 薬指 中指 人差し指








なんと、元々の平仮名に濁点が付くように設定されていて、すべてのキーに適応されています。

ものくろ

つまり、「し」の位置を覚えていれば、逆の手の親指と同時に入力するだけで「濁点」の付いた「じ」に変化するということです。

普通の「かな入力」だとを入力したあと、を押すことで実現していましたが、親指シフトでの濁点は一発で入力できるというわけです。

親指シフトでの濁音(+半濁音)の配列

では、濁点(半濁点も含む)を入力するときの指の位置をまとめてみます。

濁音・半濁音1(+右親指)
濁音・半濁音1(+右親指)
濁音・半濁音1(+左親指)
濁音・半濁音2(+左親指)

先ほども書きましたが、配列は「濁点のない平仮名」の位置を覚えていれば簡単に入力できる設計です。

「両親指の同時押し」は存在しない設計

ここまでのお話を聞くと、「同親指との同時タイピングで出力される平仮名」の濁音を入力しようと思うと面倒なことになる気がしませんか?

つまり、左右の「親指キー」を同時に入力しないといけない気がしますよね? つまり、「3つのキーを同時タイピングしないとだめなの?」という疑問です。

ところが、「親指キー」は「どちらか1つのみしかタイピングしない」というルールがあります。

ものくろ

言葉で説明しにくいので、下図を見てください。

左手親指キーを同時に押すことでこちらの仮名が入力される
左手親指キーを同時に押すことでこちらの仮名が入力される
右手親指キーを同時に押すことでこちらの仮名が入力される
右手親指キーを同時に押すことでこちらの仮名が入力される

このように、シフト後の仮名(同親指との同時タイピングで出力される平仮名)には、濁音が存在しない平仮名など)が割り当てられています。

つまり、「左親指」+「右親指」のような面倒な動作が必要な文字は存在しません。

参考: 親指シフトについて

親指シフトがどんなものかについて紹介しましたが、補足として覚えておくとよい情報を簡単にまとめます。

親指シフト習得のコツ

では、まずは「親指シフト」の習得のコツから紹介します。

「文字キー」と「親指キー」は同時に打つ

文字キーと親指キーは同時に押します

ものくろ

Shiftキーのように「先に押しながら」ではなく、ピアノの和音のように「同時押し」がポイントです。

常に「親指キー」は同時に打つことになります。これは難しく感じられるかも知れませんが、意外とすぐに身につくので大丈夫ですよ。

ローマ字入力方法とは手の形・動かし方が全く違う

親指シフト習得で最も大切なことはローマ字入力方法とは手の形・動かし方が全く違うことです。

この違いを確認しながら習得することが不可欠です(くわしくはこちらにまとめています)。

親指シフト習得に向けての情報は親指シフトのまとめ記事にまとめています。

WindowsでもMacでも使える

ちなみに、この「親指シフト」の入力方式は最近考えられたものではありません。なんと、1970年頃にすでに考えられていた方式です。

そのため歴史もあり、専用キーボードだけでなくても親指シフトが実現できるように、親指シフトの魅力にとりつかれた皆さんの努力で築かれてきました。

現在は、WindowsやMacなどOSを選ばずに、どのパソコンでも親指入力が使える環境にあります。

親指シフト専用キーボードは必要か?

新しいことを身につけるのはパワーが必要です。

私が親指シフト入力にトライするときに一番迷ったのが「専用キーボード」が必要なのかどうか?でした。

※ 専用キーボードというのはこちらの「富士通 親指シフトキーボード」です。

専門キーボードがなくてもOK

私は、結論としては「専門キーボード」を使用しませんでした。

普通のJISキーボード(日本語配列)で親指シフトを習得しました。

専用キーボードがなくても、正しいタイピング方法を学べることができれば問題なく習得できます。

「Orzレイアウト」というソフトで代用

「親指シフト専用キーボードがなくても、手に無理のないタイピングを実現したい!」という想いから私が作ったのが「Orzレイアウト」です。

Orzレイアウト公式ページ

これは、親指シフトを普通のキーボードでやりやすいように考えた新しいキー配置を実現できるソフトです。

ものくろ

インストールすることで、専用キーボードがなくても使えるようになります。

この「Orzレイアウト」ですが、お陰様で革新的な発想と評価していただき、2013年夏には『Mac People』という雑誌に掲載されました

追記: お求めやすい親指シフト専用キーボードも登場

現在では、お求めやすい価格の「親指シフト専用キーボード」も登場しています。

こちらの2つですが、色が違うだけです。

2,000円台で手に入るのでこちらを買うという選択肢もあります。

「親指シフトを習得する講座」も開催

私は「親指シフト道場」という、親指シフトを習得するための講座も開催しております。

この講座でたくさんの方が親指シフトを習得し、文字入力スピードが格段に上がったという嬉しいお声をいただいております。

「親指シフト道場」の様子
「親指シフト道場」の様子

多くの方がくじけるのは最初の最初段階ですので、そこを私の講座でクリアすることで親指シフトのハードルは下がると確信しています。

2018年9月9日追記:「親指シフト道場」が読売新聞でも取材を受けました!

親指シフトの魅力について、大東さんは「タイピングの速さだと考えがちですが、ローマ字でも速い人は速い。むしろ、自分が考えていることを、日本語のかなで自然に入力できる点が素晴らしい」と語る。最近は講座が満員になることも多く、関心の高まりを肌で感じるという。

どっこい生きてる「親指シフト」~練習道場が人気、変換アダプターも : トピックス : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 2/4より引用しました。

ご興味のある方はこちらからどうぞ。

\ 有名な方もたくさんここで学びました!! /

親指シフト道場をチェックする

ものくろ

質問なども受け付けておりますので、いつでもご相談ください!

最後に

ローマ字以外の日本語入力方式もあるということ、日本語の文章を書く時に「手書き」とおなじ感覚で綴れる方式があることをお伝えさせていただきました。

このブログを運営しているヨスさんも、文章を書くことへ「強いこだわりと想い」を持たれており、単語登録の活用について記事を書かれています。

この寄稿によって、思考を文章にするなかに新しい発見や興味を持っていただければ幸いと感じています。

参考: ものくろぼっくす - フリーランスの道具箱

おおひがしさん

著者: 大東信仁(ものくろ)

実践型ワークショップ「ものくろキャンプ」を企画・主催。 親指シフトユーザー、orzレイアウト作者。劇的に人生を変えるべく日本を駆け巡り中。

今回は友達の ものくろ さんからの寄稿でした。

おおひがしさんの「親指シフト」へのこだわりは惚れ惚れします。まさにわたしが単語登録に対する変態的なこだわり想いと近いものがあります。

実は私も以前、おおひがしさんのブログ「ものくろぼっくす」に寄稿しました。こちらもぜひご覧くださいね!

効率化の本を執筆しました!

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