※2020年10月30日追記: 夫婦別姓についての電子書籍を販売いたしました!
こんにちは! ヨス(プロフィールはこちら)です。
以前、サイボウズ 青野社長が提訴した選択的夫婦別姓裁判についてまとめました
が、ネットを見ていると、今回の裁判に関して、こんな意見もあるようです。
- けっきょくは旧姓使用なの? 夫婦別姓じゃないの?
- 民法で夫婦別姓にならないと意味ないのでは?
- 現状の夫婦同姓制度が女性差別になっているから問題なんだけど
今回は、こんな疑問に対する回答をまとめてみます。
目次
わたしは20年も「選択的夫婦別姓」を待っている
「夫婦別姓」という言葉を知ってから、わたしは20年前から「選択的夫婦別姓制度」の実現を待ち望んでいます。
一時は良い方向に向かっていたのに、ある政治家の方の力で叶いませんでした。
結果として、子どもが生まれたのを機に、30歳で婚姻届を出し、戸籍上のわたしの姓は変えられました。
現在まで20年も待っているんですね……。未だに選択できない日本って……。
現在は、わたしは「通称」という形で夫婦別姓を実行しています。
ですが、法的根拠のない「旧姓使用」というのはあまりにも問題が多いです。
通称ではほとんどの銀行で銀行口座を作ることすらできず、スマホの契約も厳しいです。ほんまにいいかげんにしてくれ……。
男尊女卑をなくするためには急ぐ必要がある
わたしが選択的夫婦別姓を待ち望んでいる理由は、改姓が女性に偏っている現状が子どもの教育に悪影響を与えているからです。
くわしくは下記記事の1番目に書いている理由です。
参考: 夫婦別姓のメリット・デメリット?「選択的夫婦別姓制度」が導入されたらどうなるの?
子どもたちが「男性の方が社会の主役」という価値観を植え付けられることで、男尊女卑が再生産されているのですが、それを断ち切るためにも夫婦別姓が待ち望まれているんです。
そう。男尊女卑をなくするためには時間がかかるので、とにかく急がないとだめです。
現状では「性差別」の観点から法改正は厳しい
とは言っても、「性差別」という観点からの主張では法改正は難しいという現実があります。
なぜなら、2015年の夫婦別姓裁判で「現在の民法は女性差別になっていない」という判決が出たところだからです。
以前、作花弁護士(今回の夫婦別姓裁判の弁護士)とお話したときに「最高裁判例は一度出るとなかなが変えることが難しい」とおっしゃっていましたし。
正直なところ「いやいや……この裁判自体が日本の男女不平等問題を象徴しているんだけど」という結果なのですが。
実際に、日本では95%以上の夫婦で女性が改姓しています。これは明らかに不平等な「事実」ですが、法律では男性も変えることができるようになっています。
法律では男性が変えても良いのに、改姓するのが女性に偏っている……。「女が名字変えろよな!」という社会的圧力が大きな元凶なのですが、それをどう憲法論に結びつけるかが難問なようです。
たとえば、以前のタイの民法のように「結婚したら、女性が男性の氏に変える」という規定でしたら、簡単に違法判決が出るんですけどね……(現在のタイでは、夫婦別姓も選択できるようになっています)。
問題なのは、昔から続いている男尊女卑思想、そして、「姓は女が変えるもの」という固定概念です。
わたしが実は姓を変えていると知った人が「ええ?! 男が名字変えてもいいの?!」と聞いてくるレベル。しかも大真面目に。
つまり、「今の法律(民法750条)が性差別」だという主張では、法改正は現段階では難しいということを意味します。
青野社長の「戸籍名」からのアプローチ
そこで、青野社長が起こした夫婦別姓裁判では、まったく別の角度からアプローチしています。
それが、「戸籍名」です。
「戸籍法上の姓」を法的に使える人について、不均衡(アンバランス)が生じているというところからのアプローチです。
簡単にはこちらの図のとおりです。
先ほどの「女性差別」からのアプローチだと「いや、法律では女性に変えろという義務を課していないでしょ?」という反論で却下されました。
でも、今回の「戸籍名」からのアプローチを見てみましょう。
こちらだと、国際結婚のときや、離婚のときには、その状況に応じた「戸籍上の氏」を自由にできるケアが法整備されているのに、日本人同士の結婚のときだけそのケアがありません。
つまり、「こちらはオッケーなのに、こちらはできない」という「法律上の差別」が生じているんですね。
※ 詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
参考: 【イラストでわかる!】サイボウズ社長 青野慶久さんが提訴した選択的夫婦別姓裁判とは?!
「女性差別」からのアプローチと違い、法律自体に不備があるため、攻めやすいということです(個人的には国側から反論のしようがないロジカルさだと思っています)。
とにかく早急に夫婦別姓を選べるようになってほしい
わたしが、青野社長の夫婦別姓を心の底から支持しているのは、
確実に前に進むからです。
「民法が女性差別になっている」という主張は、「ロジカル」という点から言うとなかなか厳しく見えます。
もちろん、もっと国民の意識が変わってくれば、5年後、10年後には通るのかもしれませんが、わたしは待てません。
今すぐにでも選択的夫婦別姓ができるようになってほしいので。
じゃあどうすればいいのかというと、とにかく確実に進めて行くことしかありません。
これはわたしが勝手に想像しているシナリオですがご覧ください。
- 戸籍上での夫婦別姓が認められる(通称名に法的根拠ができる)
- 「夫婦別姓」を実行する人が増え、この考えが今より受け入れられる
- 民法上の夫婦別姓へ進ませる
もし、戸籍上だけでも夫婦別姓ができれば、「夫側に改姓してもらうこと」も受け入れられやすくなると考えています。
男性も通称を法的に使い続けられるのなら、職場で「実は妻側の姓になっている」ということも気づかれなくなりますから。
こういうのを、えっと……「男のメンチカツ」って言うんでしたっけ?
急いでいるもう1つの理由は、「選択的夫婦別姓を望む方」の中には80歳を超えた方もいらっしゃるからです。
「生まれたときからの姓で死にたい」とおっしゃっているのを見たことがありますが、その望みを叶えるにはとにかく急がなければなりません。
民法での夫婦別姓への第一歩になる
もし、今回、戸籍上での夫婦別姓が認められれば、人々の意識は変わっていくでしょう。
現実に戸籍上の夫婦別姓をしている人が周りにいるとなれば、「夫婦の姓は同じであるべき」から、「夫婦で別々の姓を名乗る人もフツーにいるのね」になる。
コレって大きいです!!
社会が、夫婦別姓という考えそのものを受け入れる土台ができるということですよね。
そうなると、今以上に民法上の夫婦別姓の実現しやすくなると考えています。
というか、わたしの中のゴールは「女性だから姓を変える」という、未来のある子どもにとって「害」のある慣習がなくなることです。
選択的夫婦別姓ができればそれでオッケーではありません。
結局、夫婦別姓が選択できるようになったとしても、「女性が姓を変えるのが当り前」という状況が変わらなければ、女性蔑視は何一つ改善されないと言っても過言ではありませんから。
そういうことをこのブログでは今後も発信していきたいですね。
今回は少しややこしかったかもしれませんが、「選択的夫婦別姓」を望む人たち同士が言い争っているのを見て、もったいないな……と思って書きました。
「戸籍上の夫婦別姓」を早い段階で勝ち取ることは、後に続く「民法上の夫婦別姓」への移行をスムーズにするための第一歩になると思われるからです。
ということで、夫婦別姓を待ち望むみなさん、青野さんの裁判を応援しましょう! 共に今後に続く「民法上の夫婦別姓」に繋がるようにしていきましょう。
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