こんにちは! ヨス(プロフィールはこちら)です。
選択的夫婦別姓に反対する人の中に、「夫婦別姓が選べるようになると、子どもの姓の取り合いになる」と言う人がいます。
これははたして、本当のことなのでしょうか?
選択的夫婦別姓が導入されると、そんな争いが日本中で起こるのでしょうか?
今回は、現状の夫婦間では「どちらの姓にするか?」の話し合いがおこなわれていないという問題について解説します。
目次
選択的夫婦別姓=子どもの名字の取り合いになる?
「選択的夫婦別姓」が導入されることに反対している人の意見にこちらのようなものがあります。
夫婦別姓が選べるようになると、
子どもの名字の取り合いになる!!だからダメだ!
もし夫婦別姓が選択できるようになると、結婚後も、たとえば妻は「海野さん」のまま、夫は「山田さん」のままいられますよね?
でも、生まれてきた子どもの姓を選ばなければならないため、次のようなやりとりが起こると言っているのです。
子どもの名字は私の名字にするね!
はぁ? なんで?! 僕の名字にするのが当たり前だろ?!
こういうふうに子どもの名字の取り合いになってしまい、トラブルになるから選択できないほうがいいと言っているのです。
そもそも「必要な話し合い」である
もしかすると、そういうことが現実に起こるのかもしれません。
でも、「選択的夫婦別姓=子の名字取り合い紛争が起こる」と言っている人に、まずは伝えたいです。
それは「紛争」ではなく「必要な話し合い」ではありませんか?
「子どもの名字をどちらかにする」ということは非常に大切な問題だと思います。
なぜなら、名字に愛着を持っている人もいるし、自分の姓を子どもに継げないと姓が消滅する場合もあるからです。
では、なぜこの争い(話し合い)が今は勃発していないのでしょうか?
結婚後の夫婦の姓が同じだから?
「夫婦同性」という制度が夫婦間の争いから守ってくれているのでしょうか?
いいえ。
違います。
結婚したら女性が姓を変えるという慣習があるからです。
つまり、結婚した女性は男性の姓になる。
そのため、子どもの姓は自動的に男性の姓になっているため「子どもの姓をどちらにするか?」の話し合いが行われていないのです。
現在は「結婚後の姓」は選べるはずなのに?
ここで疑問が生じませんか?
現在の日本の法律では、結婚後の姓は「妻の姓」でも「夫の姓」でもどちらかを選べるはず。
こちらは2020年現在の民法の原文です。
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。
民法 | 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブより引用しました。
そう。「結婚したら妻は夫の姓にしなさい」なんて法律ではありません。
ところが現在でも96%の夫婦の姓は、夫の姓になっています。
これが「夫婦の姓をどちらにするか?」の話し合いが行われた結果ならまったく問題ないのですが、そうじゃないから問題なのです。
表になっていないだけで、「本当は自分の姓を変えたくなかった」と言っている女性がたくさんいます。
「結婚後の姓をどちらにするか?」の話し合いが行われていない
わたしの疑問は次のとおりです。
「結婚後の姓をどちらにするか?」の話し合いは、夫婦間で行われていますか?
「結婚したらどちらの姓にしてもいい」のに、「どちらの姓にするか?」を話し合ってないですよね?
現状として、次のように言うことができます。
夫婦の姓 = 子どもの姓
つまり、本来必要な「子どもの姓をどちらかにするか?」という話し合いが行われていないのです。
それはなぜでしょうか?
「結婚した女性は男性の姓に改姓しろ」という同調圧力がすさまじいため、「夫が改姓する」という選択肢はほぼないからです。
話し合いすら行われないし、妻がたとえ「夫に自分の姓になってほしい」と思っていても、言い出せないほどの同調圧力があります。
「うちの息子が名字を変えるのなら、結婚を認めない」と言い出す親さえいる始末……。
つまり「必要な話し合い」が現状では行われてないだけなのです。
「話し合い」がきちんと行われると離婚が減る
もし、この「必要な話し合い」が行われるようになれば、わたしは日本の離婚率は確実に減ると考えます。
なぜなら、こういった決め事は結婚後に毎日のように生じるからです。こちらの例をご覧ください。
結婚後に起こる争い例
- どちらの親の近くに住むか?
- 子どもの習い事はなにをさせるか?
- 公立と私立、どちらの学校に子どもを行かせるか?
- マンションと一戸建て、どちらを買うか?
- 親の介護をどうするか?
こういう「争い」が起こったときに、相手の本性が現れます。
「女性蔑視」の強い夫だと、「女は黙って男の言うことをきけ!」という態度になるでしょう。
そこで結婚前にきちんと「子どもの姓はどちらにするか?」について話し合っていればどうでしょうか?
女性蔑視派の男性なら間違いなく猛反発します。「女のくせに」という態度になるでしょう。
もし、その態度を妻側が受け入れることができるのなら問題ありません。
でも、受け入れられない場合はその時点で「結婚しない」という選択肢を選べるため、結果として離婚率が下がるのです(参考: 将来離婚する確率が下がる魔法のことば)。
結婚しなければ、離婚はできませんからね!
「性差別」が「慣習」に姿を変えて存在しつづけている
実はですが、1898年から1947年までの48年間は「妻は夫の姓にしなければならない」という法律でした。
悪名高い「家制度」と呼ばれるもので、まとめると次のような内容です。
家制度まとめ
- 結婚したら妻は夫の家に入り「嫁」になる
- 「嫁」は必ず夫の氏を称する
- 「嫁」は戸主の命令に従う代わりに庇護に入る
- 「嫁」は子どもの世話、義理の親の世話をしなければならない
「従う」とか、びっくりする内容ですよね……。「嫁」という言葉は差別用語と言ってもいいレベル。
この時代はそもそも、女性に選挙権もなく、法的行為(土地を買う、裁判など)もできないような、女性差別が標準だった時代でした。
当時は明らかに女性に「人権」はなく「男より劣った存在」と思われていましたから。
衝撃ですが、けっこう最近まで国をあげての女性差別が行われていたんですね……。
この法律は1947年に消滅したので、現在は夫婦の姓として「妻の姓」を選んでもいいはずです。
それなのに、結婚したら夫の姓に自動的になっている場合がほとんど。
つまり
「男女平等」という概念がなかったころの法律が、現在は「慣習」という姿になり存在しつづけているということが言えます。
国連の「女性差別撤廃委員会」が日本に3度、夫婦同姓規定が「女性差別」になっているから改正するよう勧告しているのですが、理由はそういうことなんですよね。
そもそも「選択的」ですからね……
「本当は必要な話し合い」が現状としてなされていないことが問題という話をしてきました。
とはいえ、「女性は男性より一歩後ろを歩くのが美学」だと思っていて、「決め事は男性に委ねる」という人もいるはずです。
これを夫だけが思っている場合は問題ですが、夫婦の両方がそう思っている場合もあるかもしれません。
もし夫婦別姓が選べるようになったとしても、そういった夫婦の場合は「夫婦同姓」を選べますし、話し合いをしなくてもかまいません。
つまり、今までどおりなのです。
夫婦別姓が選べるようになっても、なに1つ今の権利は奪われませんよ。
今まで権利を奪われていた人に権利が与えられる……いえ、本来持っているはずの権利が戻ってくるだけなのです。
今回は、「夫婦別姓が選べるようになると、子どもの姓の取り合いになる」という意見に対するわたしの意見をまとめました。
正直なところ、その理由から「夫婦別姓に反対する!」のなら理解できます。
でも、「選択的夫婦別姓に反対する」理由にはなりえません。
繰り返しになりますが、選択肢が国民に追加されるだけですから……。
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