※2020年10月30日追記: 夫婦別姓についての電子書籍を販売いたしました!
こんにちは! 夫婦別姓を実行しているブロガー ヨス(プロフィールはこちら)です。
今回は、日本で選択的夫婦別姓制度が導入されたときの「メリットとデメリット」をまとめてみました。
最初に言っておくと、すべての人に「選択肢」が1つ増えるだけでデメリットが何1つとしてない制度です。
選択的夫婦別姓制度のメリット
では、選択的夫婦別姓のメリットから紹介します。
現在の日本で選択的夫婦別姓制度が必要な理由をまとめた感じです。
覚えておいてほしい基礎知識が、「選択的夫婦別姓」であるということ。法律が変わっても夫婦で同じ名字にしたければ、同じにできるということです。
女性の地位が向上する
まず、選択的夫婦別姓制度が導入されると、女性の地位が向上し、女性差別・蔑視がじゃっかん改善します。
女性は姓を変えられてもいい存在
話が飛ぶように見えますが、「女性が姓を変えること」が当たり前になってしまっていることが、女性の地位を低くしています。
「結婚して姓を変えること」は、「姓を上書きで塗り替えている」ように見えますよね?
そして、姓を変えさせられるのが女性に偏ると、男性の姓の方が価値があるように見えてしまうのです。
それを子どもたちが見て育ち、その男尊女卑思想を再生産しているのが現状です。
「結婚すれば女性が改姓するのが当たり前」というメッセージは「女性は脇役・男性が主役」という情報を発信しているのと同じですから。
あと、国連の「女性差別撤廃委員会」は日本に3度、夫婦同姓規定を改正するよう勧告している事実も知っておきましょう。
男性が改姓する確率を50%に引き上げるのは不可能
それと「結婚して名字を変える」という話を聞くと、女性側だけの問題だとカン違いしている人、いませんか?
法律上は、男性が変えることもできるんですよ?
「え? 養子にならなくても男が姓を変えてもいいの?」なんて質問を何度聞いてきたか……。
女性が軽んじられているように見える現状を打破するためには、最低でも男性が改姓する割合を50パーセントに持っていく必要があります。
じゃないと平等ではありませんから。
でも、それって可能でしょうか? もし仮に「男性の50%が改姓する」という法律ができたとしたらどうですか?
たくさんの男性から批判が大殺到されるでしょう。それが女性側から起こっているのが現状です。
じゃあどうすればよいかというと、夫婦別姓も選べるようにすれば良いのです。
選択的夫婦別姓制度が成立しても、今後は子どもに夫側ばかりの姓を継がせるという問題も生じそうです。ですが、とりあえず「夫側が姓を変えてくれなかった」と嘆く女性はいなくなります。
女性の自己喪失感がなくなる
夫婦別姓が選択できるようになると、今までの愛着を持った名字を失うことで生じる「自己喪失感」を回避できるようになります。
すべての女性が男性の名字になることを喜ぶわけではない
男性の名字になって喜ぶという人もいるでしょうが、逆に喪失感を持つ方も多いようです。
特に元々の名字が好きだった方(珍しい名字で誇りを持っていたなど)。
好きな相手の名字になるなんて幸せなこと! それを嘆くなんて意味がわからない!
……と言っている方もいますが、それは個人の価値観です。世の中にはいろんな考え方の人がいて、どちらが悪いわけではありません。
名字に対する価値観
いろんな考え方があって当たり前なのです。
たとえばこんなことを言う人がいたらどう思いますか?
パンを食べるなんて非国民だ。日本人なら米を食え!
どう考えてもオカシイですよね。完全にその人の価値観でしかありません。
ちなみに、「選択的夫婦別姓制度」は、「全」夫婦の名字を別姓にしろなんて言っていません。「選択」できるようにして変更したい人は今までどおり変更できます。
男性の名字になることで幸せを感じたい方はそのまま継続できますよ!
多様化社会に一歩前進する
夫婦別姓を選択できる社会とは、多様化を認めている社会、つまりいろんな価値観を許容する「成熟した社会」です。
日本はみんなを1つの価値観で統制しようとする社会なので伝わりづらいのですが、世界は多様化に向かっています。
変えたい人も変えたくない人も幸せに
今の現状では「夫婦の姓を同じにしたい」と思っている方にしか幸せになれません。
「自分の生まれたときの姓を名乗り続けたい」という方の幸せを奪っている現状です。
でも、選択的夫婦別姓ができると、どちらの人も幸せになれるのです。
名字をそろえたい人 | 今までどおり2人の名字をそろえてオッケー |
---|---|
自分の名字のままでいたい人 | 自分の名字のままでオッケー |
その不公平感をなくすることが「多様化社会」への第一歩なのです。
もしこの「選択的夫婦別姓制度」という言葉に違和感を持っているようでしたら、「選択的夫婦同姓制度」という名称に置き換えてください。
やろうとしていることは、まったく同じですので。
婚姻率が上がる
夫婦別姓についての記事をたくさん書いているわたしのところには、相談のメッセージもときどき来ます。
その中に「2人ともが名字を変えたくないので折り合いがつかず結婚できない」というお悩みもあります。
こんな悩みは本当に多いのです。
つまり、「夫婦別姓」が選択できないことが、婚姻率を下げているということ。
となれば、解決方法は1つしかないですよね? 夫婦別姓も選択できるようにすればいいだけです。
夫婦別姓を選べるようになれば、
婚姻率が100%上がりますよ!
出生率が上がる
「自分の生まれたときからの姓でいたいけど、結婚したら改姓させられるから結婚できない」と思っている人は結婚できないという話をしました。
これが何を意味するかご存じでしょうか? 実は出生率を下げているのです。
日本は結婚しないと子どもが増えない社会
ちょっとこちらを見てください。海外での婚外児(=嫡出でない子)の割合です。
アメリカを見ると34%の子どもが結婚していない夫婦の元で生まれています。スウェーデンなんか56%です。
では日本ではどうなのかというと、婚外児の割合はたった1.9%です(2003年のデータですが)。
夫婦別姓が選択できると婚姻率が上がる
つまり、日本は婚外児童の数が他国に比べ圧倒的に少ない。逆を言うと、出生率を上げるためには「婚姻率」を上げることが欠かせないのです。
でも、「結婚したいのに、法律が邪魔して結婚できない」という状況が現状としてあるんですよね……。
出生率を上げないと日本の未来がないことは、政治家の誰しもわかっているハズなんですが、夫婦別姓を選択できるようにすれば確実に婚姻率は上がります。つまりは出生率も上がるということです。
結婚したことを見境なく発信しなくてよくなる
今では多くの女性が結婚して姓を変えています。実に結婚した女性の96%という偏った数で。
つまり、「女性の姓が変わる」ということによって「結婚した」ということを意図せずとも発信していることになります。
「結婚したこと」をおおっぴらにしたくない方もいるんですよ!
結婚はめでたいことだから隠す必要がないだろ!
……と思っている方、それはあくまで1つの価値観ですよ。
世の中には「よろこばしいと一般に思われていることでも不快に感じる人がいる」ということを知っておいてください。
わたしは「細いですね」と言われるのが不快ですし。
結婚後の「名字変更」の手続きがなくなる
結婚して姓が変わると、自分の登録上の名前が変わることになります。
そうなると、戸籍だけでなく、保険証、パスポート、銀行口座、各種登録上の名前の変更手続きが必要になるんですよ。
体験したことのない男性は無関心だと思いますが、むちゃくちゃ大変です。
日常生活が忙しいのに、どれだけムダなことを強要するんでしょうか。21世紀なのに。
サイボウズの青野社長は、株式名義変更の手続きで80万以上かかったと言っていました。おかしいでしょ、コレ。
さらに離婚をすればもう一度同じことを
さらに言うと、離婚すればもう一度同じことをしなければならないんですよね……。
そういう手間を省くために、現状では離婚しても元夫や元妻の姓を名乗り続けることを法律が認めていることもご存じですか?
ぶっちゃけ、そんなこと許すぐらいなら結婚前の別姓も許容していただきたいです。
コレだけ見ても、現状がいかに不合理かがわかります。
結婚制度の矛盾が緩和される
日本で夫婦別姓はまだ認められていませんが、認められている人たちがいるのをご存知でしょうか?
それは国際結婚をしたカップルです。
なんと、すでに正式に別姓を選択できるんですよ! この日本国内に住む同じ人間なのに! 不公平すぎる!
というわけで、夫婦別姓ができるようになれば日本にいても「国際結婚なら正式に別姓にできる」という矛盾がなくなりますね。
戸籍制度すら不要ですけど…
ちなみに外国人配偶者は日本人じゃないので「戸籍」というものが日本にありません。
そのため国際結婚のカップルの場合は、日本人側が新しい戸籍を作りますが、その配偶者の欄は無記入だそうです。
うーん……。もう戸籍制度自体どうなの?って気がしないでも……。
こちらに結婚制度の矛盾についてくわしく書いているのでぜひご覧ください。
社会的信用を継続できる
働いている女性が今や当たり前となっています。
社会的地位のある方や個人のネームバリューで活動されている女性もいっぱいいらっしゃいます。
でも「結婚すれば女性が改姓」という圧力があるため仕方なく改姓するのですが、突然名字が変わるのはデメリットですよね?
「名前を覚えてもらってナンボ」な仕事の方は大ダメージですね。
「通称」では「より複雑」になる
「通称を使えばいいでしょ?」という方がいますが、「ここは『通称名』は使えない」という場面がたくさんあるので逆に混乱するんですよ。
「通称名」を強引に使うことで夫婦別姓を実行しているわたしが言ってますよ!
法的効力のない名字が「通称名」です。「確認のために免許書をコピーさせて」と言われた時点で通称名は使えなくなります。
そうなると、「通称名をあきらめる」ことが一番効率的になるわけです。
これ、本当に不便ですので早くなんとかしてほしい……。
「通称でいいでしょ?」という人、「電車や車なんて使わなくても歩いていけばいいでしょ?」と今の時代に言っているのと同じですよ。
「離婚すべき夫婦」が別れやすくなる
日本社会では「離婚はよくないこと」と思われています。
ですが、世の中には離婚をすべき夫婦も存在します。結婚生活を続けていることで、夫から妻への暴力が続いたり、子どもへ暴力などの被害が及んだりする場合です。
そういう「別れるべき夫婦」が、離婚に踏み切れない理由の一つが姓をいっしょにされていることでしょう。
夫婦別姓を選択できるようになることで、別姓の夫婦は離婚をするハードルが低くなります。
「離婚率が上がるのはよくない!!」と叫ぶ方もいるかもしれませんが、人生で大切なのは「無理やり結婚生活を続けること」でしょうか?
そんなムダな時間はさっさと終了させ、新しい人生を始める方が大切でしょう。
別れた夫の姓を名乗り続けられることが法的に認められている
その対策としてなのかわかりませんが、離婚をした夫婦は、別れた相手の姓を名乗り続けることが法的に認められています。
正直なところ、別れた憎き夫の姓を一生背負い続けるなんて屈辱ですよね?
でも名字を戻すと子どもが可愛そうだとか、離婚したことがみんなに伝わるから……と、別れた夫の姓を名乗り続ける人がけっこう多いそうです。
女性に対する罰ゲームかなんかですかコレ?
「家」を継げる
そして、実はこれが「別姓を許容しなければならない」という理由の中で一番直接的で急がれるもの。
相手の名字になると「家(名字)」がこの世からなくなる
……という問題。大問題ですよね。
「男の子」が生まれない家は途絶えるという「それっていつの時代の話?」という状況がいまだにあるんです。
夫側に改姓してもらうのは今の男尊女卑社会では困難なことは簡単に想像できるでしょう。
「男のきょうだいがいないのが悪い」という問題ではないことも誰しもがわかっているでしょう。
少子化で一人っ子の多い現代。お子さんが女の子1人だけの家庭は山ほど存在します。
「男性も改姓できる」という法律の問題ではない
「今の法律なら男性も変えられるから、夫に変えさせないのが悪い!しっかり言えよ!」と言う方がいますが、法律の問題じゃないんです。
法律よりも強いのが「女が姓を変えろ」という周りからの圧力ですから。
家を途絶えさせたくない……という想いに性別は関係ありません。
日本は「女に生まれたことが不運」な国でいいんですか?
実際にその問題に直面している方にインタビューした記事もあります。ぜひ、生の声をご覧ください。
【2019年12月追記】社会的混乱がなくなる
2019年11月に、住民票やマイナンバーカード上での「旧姓併記」が可能になりました。
つまり、住民票などで、結婚後の姓と旧姓の2つが記載されるようになったのです。
先駆けて旧姓併記ができるようになっていた「パスポート」の例を見てみると、「旧姓併記」による2つの名字の表記は社会の混乱に繋がりそうな気配があります(太字、赤字はヨスによる)。
パスポートは以前から、外務省が「特に必要」と判断した場合に併記を認めてきた。これも緩和の方向で検討が進むが、夫婦同姓を義務づける国が他にないとされるなか、カッコ内の姓の意味が渡航先で理解されず、トラブルになったとの苦情がかねてある。
(社説)旧姓使用拡大 根本解決から逃げるな:朝日新聞デジタルより引用しました。
つまり、外国の入国管理で働いている方にとって、「名字が2つ併記されている」ということが理解できず、トラブルになったということですね。
つまり、
一個人が「2つの名字を名乗ること」は社会的な混乱を招いています。
当然ですよね……。
ちゃんとした選択的夫婦別姓ができるようになれば、現実社会で使われる名字は1つに統一されます。
2つも名字があって、それが混在すれば社会が混乱するのは目に見えていますよね……。
選択的夫婦別姓制度のデメリット
さて、上では選択的夫婦別姓制度が導入された際のメリットを書いてきましたので、今度はデメリットだと思われていることをまとめてみました。
……が、実は選択的夫婦別姓にデメリットは存在しないので、そのことを紹介しています。
……というか、ほとんどが「デメリット」ではなく罵倒のような意見ばかりです……。
家族がバラバラになる?
まずよく聞くのが、「家族がバラバラになる」という意見。
えっと……実際に夫婦別姓をしているうちの家族はバラバラになっていないのですが(笑)。
そういうことを言う人って、夫婦別姓を実行していないですよね? つまり、体験もしていないことに妄想で言っているだけです。
家族がバラバラになるのは夫婦同姓も同じ
「夫婦別姓は家族がバラバラになる」と言ってますが、「夫婦同姓だとバラバラにならない」のでしょうか?
夫婦同姓でも夫婦別姓でもバラバラな家族は存在するでしょう。だって関係ないもの。
そもそもですが、「選択的夫婦別姓」ですからね。
不安な夫婦は今まで通り同姓にできますので大丈夫です。
子どもに好ましくない?
そして次に聞くのが「子どもに好ましくない」という意見。両親の名字が統一されていないと「え? なんで同じじゃないの?」と不安になるという話ですね。
わたしの場合、生まれたときから同居していた祖母の名字が違っていましたが、何1つ疑問に思いませんでした。
上でも書きましたが、96%の夫婦で女性が名字を変えているという偏った現状の方が「男性が社会の主軸で女性は脇役」というメッセージをまき散らしていて問題です。
つまり、現在の夫婦同姓制度の方が子どもたちに悪影響を与えているのです。
夫婦別姓の家庭で育った人の意見
こういうことを書くとこんな反論も来そうです。
子どもに好ましくないかどうかは子どもに聞いてみないとわからないだろ?!
では、夫婦別姓を実行している家庭で育って成人した方の意見も読んでみてください。
そして、「家族や子どもに悪影響を与える」と思っている人は、そのあなたの持つネガティブな思想そのものが家族や子どもを不幸にすることを知っておいてください。
もう一度言いますが、そういう不安がある方は同姓にすればいいのです。
もし法律が変わっても「選択的夫婦別姓」になるのですから。心配はいっさいありませんよ。
子どもがいじめられる?
なんと、夫婦別姓の家庭の子どもはいじめられる可能性があるのだそうです。
とりあえず、夫婦別姓の家庭であるうちの子ども3人はいじめに遭ってませんが……。
めちゃくちゃな意見ですが、もし仮にこれが本当だとすれば、規制する相手を間違っていませんか?
この意見は「いじめ」を正当化してしまっているのです。
くわしくはこちらの記事をご覧ください。
社会が混乱する?
そして、「夫婦で別々の名字を名乗ると社会が混乱するぞ!」という意見。
そもそも、今の日本でも国際結婚の夫婦は夫婦別姓が可能ですし、離婚後に元夫(元妻)の名字を名乗り続けるというトリッキーなこともすでに可能です。
すでに複雑ですが、社会に混乱は生じていませんよね?
くわしくはこちらの記事に書いていますのでご覧ください。
上でも書きましたが「法的に認められていない通称名」が混在している現在のほうが混乱しています。
この混乱を鎮めるためにも、選択的夫婦別姓は欠かせません。
というか、生まれたときの姓が生涯を通して変わらないほうがシンプルで混乱しませんよね!
女性がいばるように?
「女性がいばるようになる」という意見も聞いたことがあります。
いやー、怖い。何を言っているんでしょうね……。
おそらく、女性が自分の姓を名乗り続けられると女性の地位が上がるから男性にとって面倒くさいのでしょう。
つまり現在の夫婦同姓制度というのは、女性差別を温存するために機能しているということですよね。
そりゃあ、国連の女性差別撤廃委員会が日本に勧告するでしょう……。だって差別につながっていますから。
離婚が増える?
そして、離婚が増えることをデメリットに挙げる人がいます。
そもそもですが、離婚ってダメなんですか? 上でも書きましたが、世の中には「離婚をすべき夫婦」もいます。
そんな夫婦が離婚ができにくい社会のほうが問題ではありませんか?
DVや児童虐待を温存しているのも離婚しにくい社会が元凶でしょう。
「離婚すべき夫婦が離婚できる社会」を目指しましょう!
結婚の目的は「離婚しないこと」ではありません。
幸せだと感じるためにとる手段のひとつにすぎませんよ。
ちなみにわたしは、夫婦別姓を選択する夫婦の離婚率は下がると思っています。
人権侵害だ!?
夫婦別姓は人権侵害だ!という方がいます。
これは間違いなく、「今後はすべての家庭で夫婦別姓をしなければならなくなる」とカン違いしている人の言葉でしょう。
たとえばすでに結婚している夫婦でも「今後は必ず夫婦の名字を別々にしなければならなくなる」と。
それはたしかに人権侵害っぽく見えるかもしれませんね、勝手に名字を変えさせられるなんてありえません。
現状はすでに人権侵害じゃ?
アレレ??
今の婚姻制度ではどちらかの名字に強制的に変えさせられていますよね?
結婚したい夫婦が、市役所に婚姻届を出したいのに、生まれながらの名字のままいたいだけなのに、どちらかが名字を諦めないかぎり届けを受け取ってもらえない現状です。これは人権侵害じゃないのでしょうか?
もう書くのに飽きましたが、法律が変わっても「選択的」夫婦別姓ですので、夫婦の名字を統一したければそのままで問題ないんです。
法が変わっても、なんのデメリットもありません。
「同姓にしたい」「別姓にしたい」と意見が割れる夫婦が結婚できない?
夫婦のうち、「同姓にしたい」「別姓にしたい」というふうに意見が対立したら結婚できなくなるという声もあります。
たとえば、夫が「夫婦は同じ姓にしてこそ夫婦だ!」という思想のときなどが該当します。
つまりこういうことですよね?
- 夫 …… 夫婦同姓がいい
- 妻 …… 夫婦別姓がいい
たしかにこの2人だと、一見結婚ができないように見えますね。
「夫婦別姓にしたい」には2種類がある
ここで勘違いしそうなのですが、「夫婦別姓にしたい」と思っている人には2種類があります。
「別姓がいい」のではなく、自分の姓のままでいられるなら(夫が改姓してくれるなら)、同姓でもいいという場合もあるのです。
つまり、夫が改姓してくれない、もしくは夫に改姓してもらうなんてかわいそうという理由から、妥協として別姓を望んでいるという妻も多いのです。
夫側が改姓すれば解決するケース
つまり、「夫は同姓を望むが、妻は別姓を望む」という夫婦で、妻が「自分の姓のままでいられるなら同姓でもいい」というケースだと夫側が改姓すれば結婚できることになりますよね。
夫は「同姓がいい」わけですから、夫が「妻側の姓」にすることで同姓になり、問題はなくなるのです。
なぜかこういうことを言う男性の多くは「自分が改姓できること」を完全に忘れているんですよね……。困ったことに。
妻側を改姓させることばかりに目が行って、「妻側が夫婦別姓がいいと言っていたら結婚できない」と言っているのです。
夫婦2人で話し合うしかない
今度はもう1つのケースを見てみます。
「夫婦は同じ姓であるべきだ」という夫と、「夫婦はべつべつの姓でいたい」という考えの妻の場合は結婚できないです。
これは思想の相違なので、それぞれの家族間で解決していく問題になりますね。
こういう思想、意見の相違は結婚すればドンドンとあらわになってきます。たとえば次のような例はいくらでも出てきますよね。
夫婦同士の考えの相違例
- ペットを飼うなら犬/猫がいい
- 家はマンション/戸建てがいい
- 子どもは公立/私立の学校に入れたい
「夫婦は同姓/別姓がいい」という考えも、そのうちの1つになってくるでしょう。
幸せになる夫婦は100%増える
これは「選択肢が増えるために起こる問題」に見えますが、まったく違います。
今までは「自分の姓のままでいたい」という女性や、「別姓にしたい」と思っている人が問答無用で我慢を強いられてきただけなのです。
次のようにわかりやすくまとめました(〇→「結婚できる」の意味・×→「結婚できない」の意味)。
- 同姓が強制される社会
-
- 2人とも同姓がいい夫婦 → 〇
- 2人とも別姓がいい夫婦 → ×
- 自分の姓のままでいたい妻 → △(夫の理解による)
- 片方だけ同姓/別姓がいいと思っている夫婦 → ×
- 同姓/別姓を選べる社会
-
- 2人とも同姓がいい夫婦 → 〇
- 2人とも別姓がいい夫婦 → 〇
- 自分の姓のままでいたい妻 → 〇
- 片方だけ同姓/別姓がいいと思っている夫婦 → ×
つまり、「選択的夫婦別姓」が導入されたからといって生じる問題ではありません。
いずれにせよ、強制的夫婦同姓の社会よりも、選択的夫婦別姓の社会のほうが幸せになる人が100%増えるのは間違いありません。
子どもの姓をどちらにするかで争いが起きる?
選択的夫婦別姓が導入されれば、「結婚するときに子どもの姓をどちらにするか決める」という手順になります。
そのときに「どちらの姓を子どもの姓にするかで争いが起きる」と言って「だから夫婦別姓はダメだ!」という人がいます。
それは「必要な話し合い」では?
そもそもですが、それは「争い」なのでしょうか?
いえ、これは「争い」ではなく「必要な話し合い」でしょう。
日本では「話し合い」を「ケンカ」とか「争い」ととらえる人が多いんですよね……。なぜ?
「子どもの姓をどちらにするか?」という話し合いは、きちんと結婚前にされるべきでしょう。
もちろん、それが「口論」になるかもしれませんし、暴力に発展する可能性もあります。
でも、「結婚前にひどい争いになるということはメリット」だととらえられないでしょうか?
結婚する前に「危険な相手」だということを知れ、「将来的に暴力をふるう確率が高い相手との結婚」を未然に防げるからです。
「話し合い」がなく男性の姓になるというひどい現状
そもそも、結婚する前に「結婚後の姓をどちらにするか?」という「話し合い」は日本中で現在も行われているべきなのです。
ところが、そんな話し合いはほとんどの夫婦の間では行われていません。
「結婚すれば男性の姓になるのが当たり前」という風習のせいで、ちゃんと話し合われていないからです。
とくに男性側とその両親が「夫が妻の姓になるなんてありえない」と思っているパターンが多いそうですが……。
暗黙の了解で片方が我慢を強いられる社会ではなく、必要な話し合いが行われる社会をめざしましょう。
親子で別々の姓になる?
驚くことに、夫婦別姓を選ぶと「親子で別々の姓になる」からという理由で反対する人もいます。
これは「愚かな発言」以外のなにものでもないです。ホントになにを言ってるんだろう……。
なぜなら、現状の日本で結婚すれば100%「親子で別々の姓になる人」が発生しているからです。
結婚すると、多くの場合は女性が男性の姓に変えますよね?
その瞬間、その女性は自分の両親とは別の姓になっていることを忘れていませんか?
親子で同じ姓のままいられるのは、多くの場合「男性だけ」なのです!
では、結婚した瞬間にその女性は実両親と関係が悪くなるのでしょうか?(笑)
この意見を言う人は「100%男性だけの視点」で言っていることがわかりますね……。困ったものです。
夫婦同姓を選ぶ人に対しての差別が生じる?
夫婦別姓が選べるようになると、夫婦同姓をする夫婦に対する差別が生じるから「選択的夫婦別姓はだめだ」と言う人がいます。
なぜそう言っているのかというと「夫婦同姓なんて古い考え方だ」という考えが増えるからだそうです。
こんな意見を言う人は、冷静になって考えてみてください。
もし仮に差別が増えたとすれば、それは「夫婦別姓」が問題なのでしょうか?
そうではなく「お前たちも夫婦別姓(同姓)にしろ!」という同調圧力のほうが問題ではないですか?
本当の敵は、日本文化に根付いている「同調圧力」なのです!
中国・韓国は夫婦別姓だがあれは差別が根底にある?
「選択的夫婦別姓」の話になると、なぜか中国、韓国の「夫婦別姓」の話を持ち出す人がいます。
とくにTwitterでは多いですけど、あれってなんなんですかね??
どうやら、中国や韓国でも夫婦は別姓になっているらしいのですが、女性への差別的な思想が根底にある……みたいなことを言うのです。
それが本当がウソかはわかりませんが、なぜかこういう人は東アジアの隣国以外の「夫婦別姓」の話はしません。
ヨーロッパやアメリカなどの夫婦別姓はまったく逆の発想だし、日本はこちらの思想に習っています。
「女性を差別するために夫婦別姓を選べるようにするぞ」と思っている人はほぼいないので、どう悲観的に考えても差別の原因にはなりません。
そもそも「強制的夫婦別姓」ではなく「選択的」なんですけど……。
日本の伝統が壊れる?
「夫婦が同じ名字なのは日本の伝統だ!」とキレ気味に言う人もいます。
日本で夫婦が同じ姓を名乗らなければならなくなったのは割と最近だということはさておき……。
「伝統を守る」を最優先しては進まない
そもそもですが、「今まで続いてきたことを守る」ということを最優先していると何も進みません。
極端に言うと……
- パンなんて食べるな! 米を食え!
- 洋式のトイレなんて使うな! 日本人は和式だろ!
- 日本にはそもそも文字は存在しない! 文字なんか使うな!
- インターネットなんて使うな! 直接人に聞け!
- 医学なんて使うな! 神に祈りを捧げろ!
こういうことです。
伝統というのは、歴史の中でいずれかのタイミングで発生して、それがたまたま続いてきただけのものです。
伝統を変えてきたから住みやすい今がある
必要なのは、時代にそぐわなくなったらそぐうようにアレンジすること。伝統に虐げられるより、人間が生きやすくするように伝統を変えることが大事です。
今までの日本人が「続いてきたこと(=伝統)」を思い切って変えてきてくれたからこそ、住みやすい「今」があります。
伝統が好きな方に、サイボウズ社長が爽快な一言を言っていますのでお聞きください。
じゃあ、お前、明日からチョンマゲな。
選択的夫婦別姓への反論へ(その2)|青野慶久|noteより引用しました。
ぜひ明日には、日本の誇る伝統であるチョンマゲをご披露くださいね♪
外国人の偽装結婚が増える?
なぜか選択的夫婦別姓の話をしていると、外国人の偽装結婚が増えるという話をする人がいます。
誰がこういうデマを言いはじめたのか謎ですが、これは逆で「生まれたときの姓が変わらない夫婦別姓」は偽装がしにくくなります。
なぜなら、生まれてから死ぬまでひとつの姓で固定されているため、偽装のしようがありません。
もしかすると「旧姓の通称使用の拡大」の話と勘違いしているのかもしれませんね。
旧姓の通称使用が拡大し、通称を誰もが使え、ひとりがいくつもの名字を使えるようになると、確実に偽装しやすくなるでしょう。
2021年12月17日の参議院予算委員会で、林伴子内閣府男女共同参画局長は旧姓使用の拡大による「マネーロンダリングの悪用」について危惧しています。
戸籍名と通称を使い分けることにより、マネーロンダリングなど悪用の懸念がある
旧姓の通称使用は危険だということですね……。
ワガママだ?
もはや、デメリットでもなんでもないのですが「夫婦別姓を求めるのはワガママだ!」という意見があります。
正当な「権利」の主張をすることを「ワガママ」だと片付けているのでは、人権後進国のままですよね……。
そもそもですが「選択的夫婦別姓は許さん!」と言っている人のほうがワガママだということにお気づきでしょうか?
なぜなら「自分以外の日本の全家族」に対して「夫婦は同姓じゃなくてはダメだ」という主張だからです。
よその家族に対して「オレ達と同じようにしろ!」と強制する人は完全にワガママですよ。
事実婚があるだろ?
これもデメリットでもなんでもないのですが「夫婦別姓なんていらん! 事実婚があるだろ?」と言う人も多いです。
「事実婚」と聞くと耳ざわりがいいですが、今の日本には「事実婚」という制度はありません。
事実婚のカップルとは「結婚していない他人」です(多くの場合は「単なる同居人」)。
そもそも、夫婦別姓を望む人は「正式な婚姻制度」に足を踏み入れたいので、的外れな意見ですよね……。
さて、長くなりましたが、選択的夫婦別姓のメリット、デメリットという形で見てきました。
正直なところ、メリット・デメリットなんて言葉を使うのはふさわしくありません。利点とかのためにやるわけではありませんから。
今の強制的夫婦同姓制度では人権侵害になっているし、女性差別になっているし、法的にも矛盾があるから、それを正しくしようとしているだけです。
そして最後にもう一度書きますが、あくまで「選択的夫婦別姓制度」になろうとしているということを覚えておいてくださいね。
自分が生まれたときからの名字を結婚後も使いたいという人にその望みを叶えられる「選択権」を与えるだけです。
夫婦の名字を統一させたい人のデメリットは一切ありません。選択が減るのではなく、増えるだけですから、あなたの生活が脅かされることはありえません。
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