こんにちは! フェミニストのヨス(プロフィールはこちら)です。
ここ数年の間に、耳ざわりのいい女性活躍という言葉をよく耳にするようになりました。
そうです。日本政府が諸手を挙げて掲げているキャッチフレーズです。
本記事では、日本政府の言う「女性活躍」という言葉にもつ違和感を分析します。
目次
「女性活躍」という言葉に違和感がある
このことについて「なるほど」と思ったのはエッセイストの小島慶子さんの言葉です。
言うべきは“活躍”という表現でふわっと覆(おお)い隠されていた実態を示す「女性差別撤廃と男女格差の是正」ではないでしょうか。
小島慶子「“女性活躍”という言葉より『差別の撤廃と格差の是正』を明言すべき」〈AERA〉 | AERA dot. (アエラドット)より引用しました。
このひと言で「はっ」と気づきました。
これが「女性活躍」という言葉にもっていた違和感の正体だったからです。
「女性活躍」は「0」→「+1」を目指す言葉
今の日本は女性差別が蔓延してあり、まったくもって男女平等の社会ではありません。
その状態で「活躍」という言葉を使うのがふさわしくないのです。
なぜなら、「活躍」というのは、平等になった上で「プラス」の方向に行くような言葉だから。
「活躍」するには、まず「 0 」になって、その上で「 0 」「 +1 」への方向を目指す必要があります。
たとえば、一般人が突然「プロ野球で
活躍したい」と言っても反応に困りますよね?
いやいや、その前にプロ野球チームに入団が先だろ! ってか野球の練習したことあんの?
……とツッコまずにはいられません。
まずは「−1」→「0」を目指す
ところが、現在の日本は男女差別のある「 −1 」の状態です。
「+1」どころか、まずは「 −1 」から「 0 」の状態、つまり「男女平等の状態」に持っていく必要があるんですよね。
いわば、「男女平等の状態」はスタート地点。スタート地点にも立っていないのに「女性活躍!!」と高らかに叫んでも響かないどころか違和感を感じるというわけです。
現在の日本が目指すのは、「差別撤廃」がふさわしいと言えます。
先ほどの例だと、「プロ野球に入団」というスタート地点に立ってはじめて「プロ野球で活躍」を目指せるということ!
「女性活躍」以前に「男女平等」を目指す
つまり、今の日本が「女性活躍!!」をスローガンにするということは「 −1(男女差別のある状態)」からいきなり「 +1(女性が活躍できる状態)」を目指すという意味。
これはあまりにも「絵に描いた餅じゃね?」と思うわけです。
図にまとめ直すとこういうことですね。
まずは、「 0 」を目指してから「 +1 」を目指しましょう。
【問題点】現状は「謎の軸」に向かっている
「目指しましょう!」で終わったらきれいなのですが、そんなに甘くありません。
日本は恐ろしいことに違う方向に進んでいるのが現状です。
こちらの図をご覧ください。
なんと日本は、「差別撤廃」や「女性活躍」ではない「謎の軸」に向かって進んでいるんですよね。
たとえば自民党は、選択的夫婦別姓に反対しています。
このブログで何度も言っているように、選択的夫婦別姓は男女平等へのスタートを切るための第1歩目です(参考: 選択的夫婦別姓のメリット・デメリット)。
それを血眼になって阻止をしている自民党は、「選択肢など必要ない。そんなことよりも旧姓使用を拡大するべきだ」の一点張り。
なぜかというと、「戸籍制度を守るため」だからだそうです。
まともな精神をもった人なら「ハァ? 戸籍制度を守る?」という反応ではないでしょうか?
自民党の片山さつき議員は「夫婦別姓を反対する理由」としてこんなことを堂々と公言しています。
私たちは日本にしかない家族戸籍の維持にこだわっているのです。
【夫婦別姓問題、どうしますか?】 私たちは「家族戸籍」にこだわります 自民党・片山さつき参院議員:【SDGs ACTION!】朝日新聞デジタルより引用しました。
「戸籍」という国民を管理する手段に萌えるのは個人の自由です。共感はできませんが、理解はできます。
でも、その「国民を管理する単なる手段」を維持するためなら困っている人の犠牲もいたしかたないという心理はまったく理解できません。
手段が目的になってしまっている悪い例ですね……。
今回紹介したように、日本が目指すべきは「差別撤廃」です。
男女平等にまったく向かっていない現状で「女性活躍」と言われても、ほとんどの人に現実味がないことでしょう。
こういうモヤっとした「耳ざわりのいい言葉」でなんとなく雰囲気で女性差別に対して向き合ってる感を出すのはやめてもらいたいです。
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