こんにちは! ヨス(プロフィールはこちら)です。
先日、市役所に行って住民票への旧姓併記の手続きをしてきました。
「これで、旧姓で銀行口座を作ったり、旧姓でスマホの契約ができる!」と思っていたのですが、現実には違っていました。
今回は、政府が200億円近く使って導入した「旧姓使用の手続き」をしても得られるものが何も無かったというお話です。
目次
住民票への旧姓併記とは?
そもそも、住民票への旧姓併記とは何でしょうか。
わたしが実際に行ってきたので、わたしの住民票を見たほうが早いですね。これを見てください。
今までなら、「氏名」しかなかったのですが、その下に「旧氏」という欄ができました。
「え? それだけ?」と思われたでしょうね。はい、それだけです(笑)。
そのまんま、結婚などで変えさせられた名字の下に旧姓が「併記」されるだけです。
マイナンバーの通知カードにはこんな感じで裏面に追記されました。
「旧姓の併記」以上の意味はない
「これで旧姓で銀行口座を作ったり、スマホの契約ができる」と考えそうですが、市役所の方にこんなふうなことを言われました。
この住民票を銀行に持っていって、実際に旧姓の口座が作れるかどうかはその銀行の裁量しだいです。
え?「旧姓併記=旧姓でいろいろできる」と思ってたのに?!
なんか話が違うんですけど!!
総務省のパンフレットにはこんなふうに書かれています。
「旧姓が使われる場面で、その証明に使えます」と書かれてますよね?
つまり、単なる証明として使えるだけで、それはイコール旧姓で口座が作れるという意味にはなりません。
そう。「旧姓の併記」には、
「旧姓を住民票に併記したよ!」以上の意味がないということです。
住民票やマイナンバー上で「旧姓」が表記されているからといって、その旧姓を現実に使えるという意味ではないということになります。
実際に、健康保険証は旧姓の表記どころか、姓+旧姓の併記すらできません……。
すでに形骸化する兆候しか無いんですけど。
「2つの名字」が社会的な混乱を招いている?
この旧姓併記ですが、現実として恩恵を受けられるのでしょうか?
先駆けて旧姓併記ができるようになっていた「パスポート」の例を見てみましょう。
なんと、2つの名字が表記されることが混乱を招いているようです(太字、赤字はヨスによる)。
パスポートは以前から、外務省が「特に必要」と判断した場合に併記を認めてきた。これも緩和の方向で検討が進むが、夫婦同姓を義務づける国が他にないとされるなか、カッコ内の姓の意味が渡航先で理解されず、トラブルになったとの苦情がかねてある。
(社説)旧姓使用拡大 根本解決から逃げるな:朝日新聞デジタルより引用しました。
つまり、外国の入国管理で働いている方にとって、「名字が2つ併記されている」ということが理解できず、トラブルになったということですね。
そりゃあ名字とは別の名前がカッコの中に入っていたら意味不明でしょうね。結婚でどちらかが強制的に姓を変更させられる国は日本だけですから……。
つまり、
一個人が「2つの名字を名乗ること」は社会的な混乱を招いています。
名乗る名字は法的にも1つに統一すべき
上で紹介した現実からも、このように言うことができます。
名乗る名字が2つもあったら複雑
よく考えなくても、当たり前ですよね……。
たとえば、初対面の人にこんな自己紹介したらどうでしょうか?
わたしは山田と申します。でも旧姓は海野です
え? けっきょくどっちで呼べばいいの??
1つに統一されていないと困りますよね、フツーに、日常レベルで。
これ、あだ名・ニックネームでも、こんな不毛なやりとりありますよね……。
友達にはほんちゃんって呼ばれたり、ゴウゴウって呼ばれてます。そのまんまロベルトって呼ぶ友達もいます(てへっ)♪
ええー。何て呼んだらいいですか?
どれでもいいですよ!
あ……じゃ、じゃあロベルトで……。
(うわ……めんどくさい人だなぁ。距離を置くようにしよう)
ほんと、こういう自己紹介する人のウザさときたら、夏場の蚊レベル……。
そこに選択権くれなくていいから、「1個に固定しろよ!」とメガホンで叫びたい気分になります。
話がそれましたが、とにかく名前は1つでいいんです。
このシステムに使われた税金は194億円
そして、衝撃的な事実をお話しましょう。
この住民票への旧姓併記に使われたシステム改善費用は194億円だそうですよ(日本共産党の記事による)。
住民票の旧姓併記のシステム変更には194億円の国費が投入されています。「選択的夫婦別姓の法制化をすれば、こんな無駄遣いをしなくても済む」との声があがっています。
住民票旧姓併記/総務省リーフ表記後退/担当課“銀行の指摘で訂正”より引用しました。
朝日新聞の記事には176億円と書かれていましたが……。
人事管理のコストは官民ともに膨らみ、実際、国は住民票などのシステム改修費だけで、自治体に176億円を補助している。税金のむだ遣いというほかない。
(社説)旧姓使用拡大 根本解決から逃げるな:朝日新聞デジタルより引用しました。
どちらの数字にせよ、「旧姓併記に200億円ぐらい使っていい?」って聞かれて「あ、いいよ♪」って返事できるレベルじゃないですよね。
(なのに、政府はそれだけの金額を使ったんですけど)
なぜこんなことに日本は無駄にお金を使ったの?
そこまでお金をかけて、実際に旧姓使用が日本国内でできるのかというと疑問です。
先ほども書きましたが、旧姓を使えるかどうかは、その相手先企業などの裁量しだいだからです。
ではなぜ、日本政府は「住民票に旧姓を表記する」という実りのないことに194億円もかけたのでしょうか?
政府は選択的夫婦別姓を導入したくないから、急いで旧姓併記を認めたのでしょう。
「旧姓併記したから、もう選択的夫婦別姓はやらなくていいだろ? なっ? なっ?」と言っているように見えます。
ちなみに、日本には結婚したらどちらの姓にしてもいいけど、社会の圧力があるので96%のカップルは女性が改姓しているという形骸化された男女平等があります。
青野さんが裁判をしている「ニュー夫婦別姓」なら?
現在、大手企業「サイボウズ」の社長 青野さんが「新しい視点からの夫婦別姓」の裁判をしています。
簡単に言うと、現在の夫婦同姓制度には矛盾があるから、その矛盾を正そうというロジカルな裁判です。
結婚して民法上の姓が変更になっても、戸籍法上の姓は旧姓のみが表記されるため、
この選択的夫婦別姓が導入されたら、名字は1つに統一されるため、社会の混乱がなくなります。
民法上の氏 | 山田(夫の姓) |
---|---|
戸籍法上の氏 | 海野(元々の姓) |
興味のある方はこちらを。きっと「なるほどっ!」と思っていただけます。
この青野さんの選択的夫婦別姓が「優れている」ということを、青野さんの弁護士を務めている作花弁護士に直接取材しました(←けっこうスゴいでしょ?)。
この新しい「選択的夫婦別姓」のメリットとデメリットをまとめた記事もありますので、こちらもご覧ください。
というわけで、今回、市役所に旧姓併記の手続きをしてきましたが、がっかりしました。
現状としては何も役に立たないですが、旧姓使用をできるところが増えてほしいと願うばかりです。
ただ、旧姓使用ができるところが増えても、旧姓使用ができないところは今後も残ります。
そうなると、2つの名字がいろなところで混在して社会の混乱はますますひどくなりそうだな……と懸念しています。
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