※2020年10月30日追記: 夫婦別姓についての電子書籍を販売いたしました!
こんにちは! 夫婦別姓を実行しているブロガーのヨス(プロフィールはこちら)です。
サイボウズの青野社長が起こした新しい夫婦別姓の裁判が話題になっていますが、今回はさらに「ニュー夫婦別姓」についての理解を深めようと、「ある方」にインタビューしてきました。
その方とはなんと!?
この裁判を担当する作花 知志弁護士です!!
作花 知志弁護士とは?
お話を聞かせていただいた弁護士の作花 知志さんですが、今回の夫婦別姓裁判で原告 青野さん側の弁護士をしていらっしゃる方です。
夫婦別姓裁判が注目されている今、いろいろとテレビにも出てらっしゃるのでご存じの方も多いと思います。
2015年に「女性は離婚後6カ月間は再婚禁止」とする民法が違憲だという「歴史を変える判決」を勝ち取ったことでも有名ですね。
「再婚禁止で困っていればいつでも手伝います」違憲判決の作花知志弁護士インタビュー|弁護士ドットコムニュース https://t.co/EZ226IJxKl #bengo4topics @bengo4topicsさんから
— ヨス@2018年春に出版 (@yossense) 2018年1月31日
実は、このときに作花弁護士が裁判で歴史を変えていたまったく同じ日に、もう1つの裁判が行われていました。
それが、2015年の夫婦別姓の裁判です。残念ながら、この裁判はダメでしたが、同じ日に行われたべつの裁判で勝利をつかんだ作花弁護士が、2018年に今度は「夫婦別姓」の裁判に関わることになるとは!
運命としか言いようがありません。
ついでに、作花さんはわたしの住む香川のお隣である岡山に住んでいらっしゃるんです。ええ、これも運命でしょう!
何が違う?「ニュー夫婦別姓」とは?
ということで、インタビューです。
本日はよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
2015年の裁判をはじめ、今までの夫婦別姓裁判は「民法上の夫婦別姓」を求めていました。今度の「戸籍法上の夫婦別姓」と何か違いはありますか?
はい。今回の「戸籍法上での夫婦別姓」の方がメリットがあると思っています。
そうなんですか!? どういうことか詳しくお聞きしたいのですが?
「民法上での夫婦別姓のデメリット」としてお話した方がわかりやすいですね。もし仮に、民法上での夫婦別姓ができるようになったとしても、別姓にするには夫婦の合意が必要なんです。別姓の合意ができないと婚姻ができないことになります。
それはつまり、2人が結婚したいという気持ちがあって、妻側が「別姓として今までの名字を使い続けたい」と思っていても、夫が「ダメだ! オレの名字にしろ!」という方というケースですね。
はい。民法上では「結婚は夫婦両方の合意」が必要となりますので、結婚は成立しないことになります。
それでも結婚したい場合は、事実婚をするか、今までのように妻側が「我慢をする」ということになるんですね。
はい。そうなりますね。
新しい「戸籍法」での夫婦別姓とは?
この話の流れだと、もしかして「戸籍法」での夫婦別姓なら、配偶者の合意がなくても大丈夫ということですか?
はい。そういうことです。戸籍法での夫婦別姓だと、妻が「今までの氏のままでいたい」と思えば夫側の同意がなくとも、使い続けることができます。
それはどういうトリックがあるのでしょうか? なぜ戸籍法で夫婦別姓をすれば、夫婦の合意が不要になるのですか?
現在の婚姻と離婚についての戸籍法上の氏制度は、こちらの3つが認められていますよね?
【1】離婚後の婚姻時氏使用についての場合
【2】外国人と結婚した日本人が外国人の氏を称する場合
【3】外国人と結婚した日本人が外国人の氏を称した後に離婚した場合
わたしも以前の記事で書きましたが、日本人同士の結婚以外は夫婦同姓/夫婦別姓も選べるという話ですね。
このいずれも「戸籍法上の氏」を要する際に、配偶者もしくは元配偶者の同意は不要だからです。それは氏についての「個人の尊厳の制度」であり、夫婦の制度ではないからです。
なるほど! 戸籍法上には前例がすでにあるんですね!
たとえば、離婚して、「元夫の姓を名乗り続けたい」と妻が思ったとき、元夫の同意がなくても使えるということですね。
そういうことです。戸籍法上の氏は配偶者の同意なく称することができますので、立法技術としては戸籍法上の氏の方が優れていると思います。
これはわかりやすかったです! 戸籍法の「新しい夫婦別姓」なら、「夫の反対があって別姓にできなかった」と泣き寝入りする方も減りそうですね。すばらしいです!
民法上の「氏」とは?
今度は「民法上の名字」という存在についてはどう解釈すればいいのでしょうか?
日本の戸籍は「家族単位」の体裁なので、「夫婦のどちらが『戸籍筆頭者』になるのですか?」ということを決めなければなりません。そこで「戸籍筆頭者」になる人の氏が「民法上の夫婦の氏」になります。
戸籍に家族の「戸籍筆頭者」というのがあるんですね。うちの場合は、わたしが戸籍上の名字を変えているので、パートナーが筆頭者ということになるんですね。
これは同じ氏同士の結婚でも同じです。「佐藤」さんと「佐藤」さんが結婚するとします。この場合、同じ氏の方が結婚するので、表面上はどちらも氏を変えなくても大丈夫です。
はい。でも実際にはどちらかが姓を変えているということですか?
はい。民法上は、たとえ同じ氏同士の結婚であったとしても、どちらの「佐藤さん」の氏を「夫婦の氏」にするかを婚姻届け提出の際に決める必要があるんです。それはどちらが戸籍筆頭者の戸籍に入るのかを決めるという意味ですね。
なるほど。日本の戸籍が「家族単位」での管理だから、新しく作った戸籍でもどちらか片方を「戸籍筆頭者」としてを決める必要があるんですね。
表面上は夫婦別姓になる
個人的には「戸籍法」が変わり、戸籍上では妻(もしくは夫)が、元々の姓を使い続ける場合、表面上はほぼ完全に夫婦別姓になると思うのですが、いかがでしょうか?
そうなるでしょうね。「民法第750条」にこう書かれています。「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と。そのため、民法上は夫婦同姓になりますが、表面上(戸籍上)は完全に夫婦別姓になります。
戸籍で元々の姓が法的に認められるということは、戸籍謄本も住民票でも元々の姓ということで、それはパスポートや保険証、銀行でも自分の姓を法的に証明できるということですよね。
世の中のすべての書類で、自分の「民法上の氏」に出合うことはなくなると思います。
追記: ちなみにこちらが「戸籍」の例です。
本籍 氏名 |
香川県丸亀市大手町2丁目3-1 山田 のぼる(※1) |
---|---|
戸籍事項 戸籍編製 |
【編製日】 平成30年1月1日 |
戸籍に記録されている者 | 【名】 のぼる(※2) 【生年月日】 昭和60年5月5日 【配偶者区分】 夫 【父】 山田太郎 【母】 山田花子 【続柄】 長男 |
身分事項 出生 婚姻 |
【出生日】 昭和60年5月5日 【出生地】 香川県高松市 【届出日】 昭和60年5月10日 【届出人】 父 |
【婚姻日】 平成30年1月1日 【配偶者氏名】 海野さち子(※3) 【従前戸籍】 香川県高松市番町1丁目8-15 山田森男 |
|
戸籍に記録されている者 | 【名】 さち子(※2) 【生年月日】 昭和60年2月2日 【配偶者区分】 妻 【父】 海野勝男 【母】 海野珊瑚 【続柄】 二女 |
身分事項 出生 婚姻 |
【出生日】 昭和60年2月2日 【出生地】 香川県坂出市 【届出日】 昭和60年2月6日 【届出人】 父 |
【婚姻日】 平成30年1月1日 【配偶者氏名】 山田のぼる(※3) 【従前戸籍】 香川県坂出市室町2丁目3-5 海野昆布夫 |
※ 上で使っている住所は、それぞれ丸亀・高松・坂出市役所の住所ですのでご心配なく(笑)。
- ※1 戸籍筆頭者の氏名
- 一番上に「戸籍の筆頭者(リーダー)」の名前が来ています。これは、婚姻届上の「婚姻後の夫婦の氏」という欄で選んだ方の名前が掲載されます。
- ※2 この戸籍に入っている人の名
- 戸籍の中には、夫婦の1人ひとりの「氏」は載っていませんね。つまり改姓させられた妻の名前「山田さち子」という記載はありません。
- ※3 配偶者氏名
- さらに「配偶者氏名」のところには、相手の生まれたときの氏で掲載されています。ここにも改姓後の「山田さち子」という記載はありません。
このように、現状の戸籍にも「結婚後に改姓させられた姓 + 名」という記載は存在しません。
つまり、戸籍上での夫婦別姓ができるようになれば、民法上の名前「山田さち子」は、概念としては存在しているが紙面上には一切記載されていないという状態になります。
「夫婦は同姓になる」という民法750条があるから、概念としては存在するというレベルですね。
ちなみに今回の裁判では、子どもの氏に関しては、戸籍筆頭者の氏が継承されるという現状が維持されるということになります。「子どもの氏は1つの家族の中では統一される」という意味です。
ということは、継がせたい方の名字に「民法上」はそろえておいて、自分が名乗りたい姓を名乗り続けられる……というところまでできるようになるということですね。
そうすることで、現在の夫婦間の「氏」の問題は大幅に改善できると思います。
今回の「ニュー夫婦別姓」の方がメリットが大きい上に、「変化」という意味での負担もないということがよくわかりました! 今回はご対談ありがとうございました。
ありがとうございました。
ということで、今回はもう少し理解を深めたいと思い、作花弁護士にコンタクトを取ってインタビューさせていただきました。
わたしの記事もシェアしてくださって、ありがとうございました。わたしも今回の裁判がうまくいくよう、心から応援しています。
何かありましたら、いつでもお手伝いさせてください。こちらは作花弁護士のブログです。
参考: 弁護士作花知志のブログ
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