離婚後にはある「救済処置」が結婚後にはないという日本の問題について

こんにちは! ヨス(プロフィールはこちら)です。

今回は先日ツイートした以下の内容に反響があったので、もう少しくわしく紹介します。

離婚後は「改姓しなくて済む救済処置」があるのに、結婚後には同じ救済処置がないという大問題についてです。

親が離婚すると子どもの姓も変わるという問題

日本で結婚すると、夫婦のどちらかが姓を変えなければなりません

「どちらが変えてもいい」のですが、現状としては96%の夫婦では女性側が夫の姓に変更しています。

これはほとんどの人が知っているとは思いますが。

そして離婚をすると、ほとんどの場合は女性側が親権を得て、子どもを引き取ることになりますよね?

そうすると、次のような会話が日常的に起こっていることになります。

離婚したから名字が山田(元夫の姓)から海野に戻るよ。

子ども

ええー! 名字が変わるのやだ!

子どもが小さいうちはこういう会話は行われないかもしれません。

「姓は変わることもある」とそのまま受け入れてくれそうですからね。

でも、子どもが小学生、中学生、高校生ぐらいになっていたら自分の姓が変わるなんて嫌だと思いはじめます。

学校でも姓で呼ばれることがほとんどだし、親が離婚したことをおおっ広げにアナウンスするのと同じですからね。

子ども

名字が変わるのイヤだよ……。

日本では合法的に「別れた相手の姓」を名乗り続けられる

ところが、姓を変えなくてもすむ救済処置があるんです。

離婚の日から3か月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」という書類を役所に出せば、なんと別れた相手の姓を名乗り続けられるという!

子ども

これで、学校でも同じ名前で呼ばれる。よかった!!

姓を変えたくないお子さんにとっては助かるし、うれしいですよね。

離婚の場合は姓を変えなくてもいい救済処置がある
離婚の場合は姓を変えなくてもいい救済処置がある

でも、お母さん側はこんなふうに思う人も多いことでしょう。

離婚したのに、私の人生はずっとアイツの名字のままになるのか?! 罰ゲームかよ!

なぜ「結婚で姓を変えたくない人」への救済処置はないの?

ここで不思議に思いませんか?

そもそも、結婚したときに姓を変えずに済めば、次のような状況にはなりません。

  • 離婚したときに再び姓を変更する
  • 離婚後も別れた相手の姓を名乗り続ける

結婚するときも、離婚するときも姓を変えることはありません。

結婚前にこんなふうに思っていたお母さんもいますよね。

母(結婚前)

結婚しても名字変えたくない……。海野のままでいたいよぉ。

でも、ここでは救済処置の法律はありません

結婚するときは姓を変えなくてもいい救済処置がない
結婚するときは姓を変えなくてもいい救済処置がない

これっておかしくないでしょうか?

結婚して一度、夫の姓で塗り替えられたあとは、離婚しても改姓しなくてもいいのに、結婚前ではどうしてダメなんですか?

すでに制度としてはコストをかけずに実現可能

実は、次の2つは同じシステムで簡単に実現可能です。

  • 離婚後も別れた相手の姓を使い続けられるシステム
  • 結婚後も自分の姓を使い続けられるシステム

「え? どういうこと?」と思われそうなので、離婚後も別れた相手の姓を使い続けられる現在のシステムについてもうすこし深堀りして紹介します。

たとえば結婚して「海野」→「山田」になった人が離婚しても、次のようなことを法的にできているんです。

概念としての姓 海野(元々の姓)
戸籍法上の姓 山田(別れた夫の姓)
生活で実際に使う姓 山田(別れた夫の姓)

どういうことかというと、概念としては離婚により「海野」に戻っているのですが、戸籍上でも「山田(別れた夫の姓)」で登録できます。

そのために必要なのが「離婚の際に称していた氏を称する届」という書類による届けです。

これを提出することで、日常生活で「海野(本当の姓)」に出合うことはなくなります。

これが、現在の日本でもすでに社会的な混乱もなく、手続きにかかるシステム的なコストもかかることもなく行われているのです。

同じことを「出生の際に称していた氏を称する届」を提出するというシステムで、簡単に次のように運用できますよね。

概念としての姓 山田(夫の姓)
戸籍上の姓 海野(自分の姓)
生活で実際に使う姓 海野(自分の姓)

なぜ、これを日本政府がさっさとやらないのか、本当に意味不明です。

コストがほとんどかからないことが、わかりきっているのに……。

「男性のほうが女性より偉くあるべきだ」と信じて疑わない高齢者男性たちが、好みの問題で拒否しているんでしょうけど。

【補足】別れた夫の姓を再婚した夫が名乗ることになる

補足ですが、この「別れた夫の姓を名乗り続けられる制度」ですが、再婚したときにオカシイ事象が発生します。

再婚したときに夫が改姓するとしたら、なんと! その「妻が離婚した相手の姓」を名乗ることになるのです!!

妻の元夫の姓にされるなんてどんな罰ゲームだよっ!!

もちろん、実際に妻の元夫の姓に改姓する夫は少ないと思いますが(気持ち的にありえない……)、そういう理不尽なことが起こってしまうんですよね。

というか、ここでも「女性が改姓する」という前提で作られている法律のように思えてなりません。

今回紹介した方法を使えば、コストもかけずに「自分の姓のままでいたい」と願う日本中の女性たちを救済できます。

離婚後だけにある救済処置を、結婚後にも適応させてください。

どう考えても不公平ですから……。

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