こんにちは! ヨス(プロフィールはこちら)です。
2017年1月9日にソフトウエア開発会社「サイボウズ」社長こと青野慶久さんが、「選択的夫婦別姓制度」を求め提訴しました。
この裁判の焦点は、「今の法律では不公平が生じている」ということです。その内容がちょっとわかりづらいと思うので、イラストでわかりやすくまとめてみました。
目次
日本人同士の結婚では夫婦別姓は選択できない
ではまず、「夫婦同姓」と「夫婦別姓」がどのようなものかをおさらいしましょう!
こちらの図では男性の山田さんと、女性の海野さんが結婚した例です。
2人とも山田になってもいいし、海野になってもいいのですが、それぞれが姓を変更せずにこちらのようにすることは現在の日本の法律では認められていません
- 夫 = 山田のまま
- 妻 = 海野のまま
「え? 男が名字を変えてもいいの?」と本気で聞いてくる方が多いので、念のために伝えておきますが、現状の法律で、男性が名字を変えても問題ありません。
手続き的にも男性の姓にするのも女性の姓にするのもまったく同じです。
婚姻届の下記の欄にチェックをどちらに入れるかだけの違いです。
男性が姓を変えるのに書類が多めに必要とか、一切ありませんよ!
現状でも国際結婚なら「夫婦別姓」が選択できる?!
お次は国際結婚の場合を見てみましょう。実は国際結婚だと、夫婦別姓がなんの問題もなく選択できることをご存じでしょうか?
今度は、海野さんという女性が、Mountainさんという外国人男性と結婚したとします。
夫になるアメリカ人男性の姓「Mountain」にすることも、妻になる女性の姓「海野」にすることも可能です。
ここまでは日本人も同じですよね(「妻が改姓しろ」という社会的圧力で96%の夫婦は女性が改姓していますが)
そして、注目すべきなのは、夫は「Mountain」のまま、妻も「海野」のままでいるのもオッケーだということ。
つまり、国際結婚をした場合には……
- 夫婦が同じ姓にする
- 夫婦が別々の姓にする
という選択肢が事実上あるということです。すでにこれは不公平ですよね。
日本人と結婚することよりも、外国人と結婚する方が選択肢があるという不公平な法律にはすでに問題がアリアリです。
ちなみに、わたしの友人には国際結婚が多いのですが、半数の方は夫婦別姓にしています。
夫婦が離婚をした場合の姓
今度は結婚した夫婦が離婚した場合を見てみましょう。実はおかしい点があるのをご存じでしょうか?
夫婦が離婚をした場合、こんな選択肢があります。
- 夫の姓のまま(妻が改姓していた場合)
- 妻の姓のまま(夫が改姓していた場合)
- 旧姓に戻る
これ、初めて知ったときに驚いたのですが、
離婚したあとも「別れた夫」「別れた妻」の姓を名乗り続けられるのです!!
上の図では国際結婚のイラストを使っていますが、もちろん日本人同士の場合でも適応されます。
「民法上の氏」と「戸籍法上の氏」がある
これ、妙だとおもいませんか? すごくトリッキーな気が?
実はこういう2つの「氏」があるんだそうです。
- 民法上の氏
- 戸籍法上の氏(呼称上の氏)
たとえば、上の例で出てきた「海野さん」が山田さんと結婚し、姓が山田になりました。
この場合は民法上も、戸籍法上も姓は「山田」になります。
民法上の氏 | 山田(夫の姓) |
---|---|
戸籍法上の氏 | 山田(夫の姓) |
では今度は、離婚してもなお、元夫の姓「山田」を使い続ける状況についてです。どんなことが起きているのでしょうか?
「民法上の氏」としては「海野」に戻るのですが、「戸籍法上の氏」として「山田」を使い続けるということになります。
つまり、「民法上の氏(海野: 生まれたときの姓)」と「戸籍法上の氏(山田: 別れた夫の氏)」というの2つの異なる姓が存在することになります。
民法上の氏 | 海野(元々の姓) |
---|---|
戸籍法上の氏 | 山田(別れた夫の姓) |
いやぁ……これを見たときに思いましたよ。
この「2つの氏システム」を使ったら、戸籍上でも夫婦別姓が何の混乱もなく処理できるやんけっ!!
運転免許でもパスポートでも、別れた夫婦が「戸籍法上の氏」を使いつづけることができている現在、社会の混乱も生じてませんよね?
ときどき夫婦別姓反対の方が声にする「夫婦別姓ができるようになると社会が混乱する!」というのは大ウソだということです。
まったく同じ状況が離婚した夫婦で起こっているのに社会的混乱はありませんからね……。
つまり、結婚した夫婦にもこういうことが簡単にできることを意味します。
民法上の氏 | 山田(夫の姓) |
---|---|
戸籍法上の氏 | 海野(元々の姓) |
「離婚したときの姓」が証明しているように、「民法上の氏」と「戸籍法上の氏」が違っていても何一つ問題は起きないということです!
離婚をするときには選択肢が多い!?
先ほどの図をまとめなおしてみました。
あれ? こうやって見てみると、なにかおかしくないですか?? 離婚をしたときの方が選択肢が多いですよね。
離婚するときには、相手の姓を名乗り続けてもいいし、お互いが自分の生まれながらの姓を名乗り続けてもオッケー。
でも、結婚するときには相手の姓を名乗るのは可能だけど、自分の生まれながらの姓を名乗り続けるのはダメです。
国際結婚も見てみましょう。
国際離婚の場合も同じですね。姓を変えた人の場合は相手の名字を名乗り続ける権利もあります。
全部の図をまとめます
では最後に日本人同士の結婚・離婚、そして日本人と外国人の結婚・離婚をしたときの姓の図をまとめてみます。
こうやって4つの状況を俯瞰してみると、日本人同士の結婚だけ、選択権が1つ少ないことになるのがよくわかります。
離婚したあとに選択肢を増やすのであれば、結婚する前に選択肢を増やせば良いのではないでしょうか? しかも、実質的に問題が起こらないことが証明されているも同然なのですから。
魔法のような法改正
そして、このことを今の法律で可能にするには、たった一文を戸籍法という法律に加えるだけでオッケーなのです。
婚姻により氏を変えた者で婚姻の前に称していた氏を称しようとする者は、婚姻の年月日を届出に記載して、その旨を届け出なければならない。
たったこれ一文だけです。今回の裁判では、この一文を戸籍法に入れるだけで解決する……という、まさに魔法のような法改正です。
余談ですが、先日、青野さんとお会いしてきました。本当に頭の切れる方で、人当たりがよくステキな方でしたよー!
以前からお会いしたかったサイボウズの青野社長( @aono )とお会いしてきました!
効率化、夫婦別姓、働き方、ジェンダーとあまりにも興味がにてて、話のネタが尽きませんでした。
忙しい中ありがとうございます! わたしの書籍『 #光速仕事術( https://t.co/FO6VPjnGr5 )』もお渡ししました! pic.twitter.com/tUSftZavyn
— ヨス@4/20 書籍『 #光速仕事術 』出版 (@yossense) 2018年4月23日
さて、今回、青野さんが提訴した内容が伝わりましたでしょうか?
簡単に言うと、現在の法律の不備を直し、本来あるべき姿にするという内容です。
現状では明らかに不公平が生まれているから、ひずみができているのです。
青野さんの訴訟に関してはこちらの関連記事たちを読むともっと深く理解できます。
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