夫婦別姓の意識調査・アンケートは質問次第で偽りのデータになる

2020年10月30日追記: 夫婦別姓についての電子書籍を販売いたしました!

こんにちは! 夫婦別姓を実行しているブロガーのヨス(プロフィールはこちら)です。

今回は「夫婦別姓」についてのアンケートについてです。

よくアンケートで「夫婦別姓に賛成?」のようなものがありますが、質問の仕方で回答結果がぜんぜん違うというお話をします。

夫婦別姓に反対する人が多い?!

2015年5月にYahoo!ニュースで夫婦別姓に対する意識調査が行われていました。

そのアンケートではこんな結果になったそうです。

  • 夫婦別姓に賛成: 41%
  • 夫婦別姓に反対: 54%

参考: 夫婦別姓、認めるべき? - Yahoo!ニュース 意識調査

これだけを見ると、賛成より反対の方が多いという風に見えますよね。

夫婦別姓に賛成の人が圧倒的に多い?!

では今度は同じく2015年5月に「マイナビ」の行ったアンケート結果を見てください。

  • 夫婦別姓に賛成: 74%
  • 夫婦別姓に反対: 23%

参考: 夫婦別姓、どう思いますか? | マイナビニュース

ほぼ同時期に行われたアンケートなのに、なんでここまで結果に違いが出たのでしょうか?

じつは「質問の仕方」が原因です。

この2つのアンケートでは質問の仕方が全く違っていたんです。

2つのアンケートの質問を比べてみる

ではYahoo!ニュースとマイナビの質問 & 選択肢がどんなのだったかを見てみましょう。

【Yahoo!ニュース】夫婦別姓、認めるべき?
  1. 夫婦別姓を認めるべき
  2. 夫婦別姓を認めるべきでない
  3. その他/分からない
【マイナビ】夫婦別姓、どう思いますか?
  1. 結婚したら「夫婦同姓」か「夫婦別姓」か選べるようにするべき
  2. 結婚したら全員が「夫婦同姓」にするべき
  3. 結婚したら全員が「夫婦別姓」にするべき
ヨス

まったく違う質問になっていますよね。

「Yahoo!ニュース」の質問の問題点

まず、「Yahoo!ニュース」の方の質問に問題点があります。

それは、成立するかもしれない制度が「選択制」ということが全く伝わらない書き方である点。

これは、回答者に誤解を与えかねる質問だと思います。

そもそも、姓に興味のない方は、世間で騒がれている「夫婦別姓制度」が「結婚後に同じ名字にしてもよいし、別々にしてもよい制度」という認識がありません。

言葉では知っていても、ちゃんと理解していないことでしょう。その点において、この質問では不十分です。

逆に「マイナビ」の方の回答は丁寧ですね。

一番上の回答の「結婚したら『夫婦同姓』か『夫婦別姓』か選べるようにするべき」が「選択的夫婦別姓制度」の説明の要約にもなっています。

ちゃんと理解した上で回答してもらえそうです。

実は完全に同じ回答

この2つのアンケートですが、言葉は違うのですが、全く同じ回答なんですよ(下の表参照)。

「Yahoo!ニュース」と「マイナビ」の回答の比較
Yahoo!ニュース マイナビ
夫婦別姓を認めるべき 結婚したら「夫婦同姓」か「夫婦別姓」か選べるようにするべき
夫婦別姓を認めるべきでない 結婚したら全員が「夫婦同姓」にするべき

Yahoo!ニュースの列の上側の段「夫婦別姓を認めるべき」を見てください。

「夫婦別姓」を認めた世の中は、マイナビの列にある「結婚したら『夫婦同姓』か『夫婦別姓』か選べるようになる」という状態なんですね。

ヨス

同じ意味ですね。

そして、今度はYahoo!ニュースにある「夫婦別姓を認めるべきではない」というところ。

これは、つまり「結婚したら全員が『夫婦同姓』にするべきだ」ということです。完全にイコールですよね。

受ける印象が笑えないほど違う

さて、文面を見比べましたが、受ける印象が違いすぎることにお気づきでしょうか?

全く同じ内容を書いているにも関わらず。

Yahoo!ニュースの方の質問&回答はこんなイメージです。

「夫婦別姓(既述したが、正しく『選択的夫婦別姓』と書くべき)」だけをまな板の上に置いて、「こんな異端児(夫婦別姓)の案があるんだけど許すべきか否か?!」という裁きの鉄槌を一方的に喰らわせている

標準が「夫婦同姓」、現れた異端児「夫婦別姓」という構図が強化されていて公平じゃありません。

逆にマイナビの質問&回答は、「夫婦別姓」と「夫婦同姓」を対等な対象として、偏見なく同等な扱いでまな板の上に乗せています。

それをふかんして見ながら「どうするべきかな?」と意見を聞いているイメージです。フェアですねー。

ヨス

どちらが感情的な意見を煽りやすいか、一目瞭然ですよね。

本当は「選択的夫婦別姓」に反対している人は少数派な感

夫婦別姓に反対している人が多そうなイメージがありますが、今まで見てきたように、かなり怪しいですね。

最後にもう一度「夫婦別姓に対する意識調査」の質問&回答の問題点をまとめます。

  • 「選択的」というのが伝わっていない(既婚の人もまるで別姓にしなければならないように思われている)
  • 「夫婦別姓はよくない」という偏見ありきの質問になっている
  • 質問が「あなたは夫婦別姓にしたいですか? / したくないですか?」の意味で伝わっている(気がする)

感情的で反射的に出たような回答ではなく、ちゃんと冷静に考えた「論理的な回答」が聞きたいものです。

これは前から思っているのですが、名称を「選択的夫婦別姓制度」じゃなくて「選択的夫婦同姓制度」に変更するだけで賛成が増えるでしょうね。

だれか試して(笑)。

【2020年11月追記】正しい質問の仕方だと7割が賛成

2020年の11月に行われた調査でも、7割が賛成という結果になりました。

  • 自分は夫婦同姓がよい。他の夫婦は同姓でも別姓でも構わない …… 35.9%
  • 自分は夫婦別姓が選べるとよい。他の夫婦は同姓でも別姓でも構わない …… 34.7%
  • 自分は夫婦同姓がよい。他の夫婦も同姓であるべきだ …… 14.4%

これが正しい質問の仕方だと思います。先述しましたが、2015年にマイナビでの結果でも7割以上が賛成になっていましたよね?

ということは、この質問の仕方でずっときていれば、元々「反対派」なんて少なかったのではないか?と思います。

参考: 選択的夫婦別姓、7割が賛成 早稲田大など7千人調査:朝日新聞デジタル

さて、今回は「夫婦別姓に関する意識調査」という名目でも、質問次第で偽りのデータになることを紹介しました。

大手の行ったデータだからって、鵜呑みにする前に質問&回答を分析する必要がありますね。

公平な意見が欲しいのではなく、期待する答えを求めている場合、質問に小細工することは意図的にできますから。

ちなみに、「夫婦別姓に賛成か? 反対か?」という質問そもそもがズレています……。

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