こんにちは! ヨス(プロフィールはこちら)です。
まだまだ、LGBT差別大国の日本ですが、当事者の方たちは本当に嫌な思いにさらされています。
そんな当事者の中には、差別のひどい日本を出て、LGBT先進国に移住する人もいらっしゃいます。
その中の1人がカナダのビクトリアに住むまどぅーさんです。
今回は、カナダで同性婚をして幸せに暮らしている まどぅー さんにお会いしてきました。
目次
まどぅー さんって?
まどぅー さんは、3歳から16歳までクラシックバレエ、17歳からヒップホップを踊り始め、現在までずーっと踊り続けている「ダンス人生」の人です。
自分のダンススタジオを持つことがずっと夢だったそうなのですが、現在はカナダのビクトリアでその夢も叶え、幸せに暮らしています。
……と、こう書くと「順風満帆」なように見えますが、まどぅー さんはいろいろと大変なことを乗り越えてきています。
その中でも大きなものがこちらの2つです。
- 小学校からの不登校
- 同性(女性)との同性婚
まどぅー さんのブログ「世界一周☆旅するダンサー自由記」でもたくさん発信されています。
今回は、わたしがカナダに行ったときにお会いして、インタビューをしてきました!
なぜ海外へ興味を持ったの?
まどぅー さん、こんにちは!
ヨスさん、こんにちは! よろしくお願いします。
まどぅー さんは世界のいろんな国をまわられてますが、いつから海外に興味を持ち始めたのですか?
海外に興味を持ったのは高校生の時です!
そんなに早い時期から海外に興味があったんですか!
はい。元々は雑誌で「ダンス留学」できるということを知って興味を持ちました。ただ、お金がかかるし、現実的ではなかったのでそのときは諦めました。
では実際に行ったのはいつですか?
20代前半です。アフリカがダンスの発祥地ということを知ったのがキッカケですね。
そうなんですね! 3歳から16歳までクラシックバレエをされていたそうですが、そのころから、まどぅーさんとダンスは切り離せなかったんですね。
そうですね。練習が厳しすぎて「踊ることがツライ」と思ったことが何度もありますが、「ダンスをやめる」という選択はなかったです。
イメージですが、すっごく厳しそう……。何がそこまでダンスにこだわらせたのでしょうか?
ずっと思っていたことは「人はなぜ踊るのか?」「ダンスがなぜ生まれたのか?」という疑問です。そしてそれから「日本じゃない場所で踊りたい!」っていう感情がふつふつと湧き上がってきました。
パートナーのキムさんとの出会い
そして日本を出てアフリカへ?
はい。アフリカや南米を中心とした世界一周クルーズの「ピースボート」に乗船しました。
ああ! 世界一周で有名なやつですね!
「世界各国で踊る」というテーマを持って、20カ国くらい周りました。
確か、ピースボートでパートナーさんと?
そうです! ピースボートでパートナーのキムと出会いました。
運命の出会いですね。
毎日いろいろな話をする中で、お互い惹かれていることに気づいたんです。まさかカナダ人の女性と結婚するなんて! その時は思ってもいなかったです。
ということは自分の恋愛対象が女性だということはそのときに初めて自覚したということでしょうか?
23歳の時にキムと出会うまで「ストレート(異性愛者)」として何の疑いもなく過ごしてきたんです。ただ、「恋愛対象が女性」という感覚よりは「キムに恋をした!」という感じですね。
なんて素敵なセリフですか!!!
「同性婚」のカミングアウトについて
それまで男性が恋愛対象だったそうですが、女性のキムさんに惹かれたという状況に抵抗はありませんでしたか?
ありました。「同性愛は気持ち悪い」という社会で育ってきたので、自分の中の偏見を乗り越えるのは大変だったんです。
日本では「ホモ」や「オカマ」という言葉が人をからかう時に使われているレベルですからね……。
ですよね……。やはり「笑われる存在になりたくない」という気持ちは強くありましたね。
ということは、カミングアウトもするつもりもなかったんですか?
そうですね。今でこそLGBTのことをブログやSNSで発信していますが、「カミングアウトは一生しないだろう」と思っていたこともあります。キムのことすら、人に言えなかったんですよ。
日本では、ちょっと前に政治家の「LGBTは生産性がない」という発言でいろいろ問題になっていますが、まどぅーさんも記事にされていましたよね。
参考: 「杉田水脈(すぎたみお)議員が撒き散らす差別発言」は人権侵害。わたしたちにできることは? | 旅するダンサー自由記
はい。この発言を聞いて人権侵害だと感じました。当事者として居ても立ってもいられなかったんです。
心の底からこの記事に共感します。
ありがとうございます。LGBT当事者であることを理由に、差別されたり自殺に追い込まれてしまう方もたくさんいるんですよ。本当に悲しいです。生活に不便が生じている人のために制度の見直しをしてほしいと思います。
カナダで住む理由は?
現在、カナダに住んでいるのは「同性婚」ができるからですか?
そうですね。初めてカナダに訪れた時に「カナダでは同性婚ができる」ということを知ったんです。
今調べてみたら、2005年にカナダ全土で同性婚が合法化したんだそうですね。さすがカナダ……。
カナダの学校ではLGBT教育も行われていますし、お母さん(もしくはお父さん)がふたりいる子どもや、養子を迎えいれているLGBT当事者も多くいますね。
すごい……。いまだに夫婦別姓すら認められていない日本との状況の違いがすさまじいです。
ジェンダーニュートラルのトイレ(性別の指定がされていないトイレ)も普及してきています。
ああ! カナダでたまに見かけますよね! そういう状況はカナダでは自然に受け入れられているのでしょうか?
いえ。差別のあった時代もありました。1950年から90年初期にかけてLGBT(Q2)を理由に解雇された議員や兵士が多くいたそうです。
やはり、カナダにもそんな時代があったんですね。
はい。その頃に嫌な思いをしたり不当な扱いや差別を受けた人が立ち上がって、今の寛容な「カナダ」があります。
そして、どうなったんですか?
2017年にカナダの首相ジャスティン・トルドーがLGBT(Q2)当事者へ謝罪スピーチを行ないました。
Q …… クィア、クエスチョニング(自身の性自認や性的指向が定まっていない人)の略
2 ……「2-Spirit(先住民の様々なジェンダーを持つ人)」の略
首相がLGBT当事者に謝罪!! どのような内容だったんですか?
全ての党のリーダーも謝罪コメントをして、「このような過ち(LGBT差別)が二度と起こらないようにします」と誓いました。国のトップである首相がみずから謝罪をし、全面的にLGBT(Q2)のサポートすると発言したんですよね。
すばらしい首相ですね……。なんか日本の状況を見ていると悲しくなってきます。
このカナダ政府の対応は、今悩んでいる当事者を含めて多くの人を勇気付けていると思います。あ! あと、今年の2018年のバンクーバー・プライドパレード(LGBTのイベント)にも首相が参加していましたね。
日本のLGBTのイベントに総理大臣が出席するとか、今の状況では想像もつかないだけに素晴らしいです!
LGBT差別を受けたことは?
実際にカナダで住んでいて、LGBT差別を受けたことってありますか?
あからさまに不当な扱いを受けたことはないです! ただ、日常のふとした会話で嫌な気持ちになることはあります。
可能ならお聞かせいただけますか?
例えば、カナダの語学学校に通っていたとき、日本人留学生が「同性同士が路上でキスするのを見るとウゲェってなる」とか「カナダのデイビーストリートはゲイが多いから行かないほうがいいよ」のような会話をしているのを耳にしました。
というか、それカナダに来ている日本人からの差別ですね……。
ほかにも「旦那さんカナダ人なんだね」と言われて返答に困ったりとか。
それって以前、記事にもされていた「マイクロアグレッション(悪意のない小さな差別的な言動や行動)」ですよね。
はい。思い浮かんだものが日本人留学生から受けたものばかりでしたが、カナダ人から「マイクロアグレッション」を受けたこともありますよ。
LGBTへの理解が進んでいるカナダでもそういう体験があるんですね。
カナダは様々な国から人々が来ているので、LGBT教育を受けていない方もいますから。
※ カナダで育った子どもたちはLGBT教育を受けて育ちます。
なるほど。その多様な国から来ている人々の中に日本人も含まれていますからね。
「LGBT差別はカナダに来たら解決するよ!」という単純なものではないですが、日本よりはるかに人権が守られていることは確かですね。
最後に一言
最後に、日本でLGBT差別で苦しんでいる皆さんに一言お願いします。
カナダにぜひ来てください!
おおー! 直球ですね(笑)。
居場所は家や学校だけではありませんから! もし日本にいて差別で苦しんでいる方がいたら、世界を視点に物事を考えると、道が拓けるキッカケになるかもしれません。
カナダはそういう意味では最適の居場所の1つだとわたしも思います。今回はご対談ありがとうございました!
さて、今回はカナダで同性婚をし、幸せに生活している まどぅー さんにインタビューしてきました。
そんな まどぅー さんですが、日本に帰国したときには「未婚」という扱いになるそうです。
早く日本でも同性婚が認められてほしいです……が、今の日本の差別状況を見ている限り、なかなか進まないだろうなぁというのが本音です。
まどぅー さんもおっしゃっていますが、日本でLGBT差別で苦しんでいる方は日本を出ることをオススメします。
特に、カナダ、ニュージーランドは本当に住みやすいですので。
ちなみに、カナダに行くことに興味がある方は、わたしの友達の末永さんに相談するのをオススメです。
元社畜の末永さんは、お金のためじゃなく「日本の若者を助けたい」という一心で相談に乗っていますからねぇ。