「いじめられる可能性があるから禁止」というセリフは加害者を擁護している

こんにちは! ヨス(プロフィールはこちら)です。

ときどき、こんな意見の仕方をする人がいます。

そんなことをすると、いじめられる可能性があるからやめておけ

多くの場合、この言葉は多様性を認めないときの理由として使われるのですが、「なんでこんな言い方をするのかな?」と思っていました。

今回は、その理由を分析したので、まとめます。

それをやったら「いじめられる可能性」があるから禁止だ

日本では、なにかを禁止するときの理由として「いじめられる可能性」という言葉が出てくることがあります。

ヨス

これだけでは意味がわからないと思うので、例をいくつか紹介しましょう。

たとえば「選択的夫婦別姓制度」に反対する人たちの反対理由に次のような意見があります。

夫婦別姓への反対意見の例

夫婦別姓の子どもは、親の姓がべつべつだということでいじめられるかもしれない! だから認めるわけにはいかない!

夫婦別姓をやってない人の「妄想」と「でっちあげ」についてでも書きましたが、大学教授のような人ですら、新聞で堂々と次のようなことを言っているのです(太字はわたしによる)。

別姓にすると、姓を変えない大多数の家族と比べて、『なぜうちは違うの?』と子どもが違和感を持ったり、不安に感じたりするのではないか。いじめの要因になる可能性も否定できない

2015年11月13日の読売新聞より引用しました。

実はこれは、「夫婦別姓」を否定する意見としてよく耳にします。

「夫婦別姓にすると子どもがいじめられる! だから夫婦別姓はダメだ!」という意見ですね……。

ほかにも見かける例

これだけではありません。結果的に加害者を擁護してしまう例はよくあります。

ヨス

特に「多様性」を嫌う人がよく使う言葉です。

たとえば、結婚によって夫側が姓を変更し妻の姓にしようとしたとき。

「夫側の親」から、次のような理由で反対に遭うことがあります。

夫の両親の反対理由

息子が改姓すると「婿養子」だと思われてバカにされるかもしれないから、反対!

ヨス

これは、いろいろな人から相談があったので「よくある問題」なんだと思います。

学校でもこの問題はよくあります。

たとえば、生まれつき髪の色が明るい生徒がいます。これは親が国際結婚をしていたら普通にありえますよね。

そんな子どもにでも「髪を黒く染めろ」と言う学校があるのです。そのときに出される理由に次のようなものがあります。

○○君が地毛なのは教師一同みんなで共有させていただいているのですが、他の生徒は知らないため、なぜ○○君だけ茶髪が許されるのか? と言われかねません。それに○○君がそのことでいじめにあってしまうかもしれませんので

あなたの子が黒髪強制をされたら… 「子どもの人権侵害110番」を知っていますかより引用しました。

「結果的に加害者を擁護」している

こういう話を聞くたびに、まともな人ならこう思うのではないですか?

驚くヨス

規制する相手を間違ってるだろっ!!

親が夫婦別姓をしていて、そのことが原因で子どもがいじめられるのであれば、いじめる側を規制するべきでしょう。

夫側が改姓してバカにされたとして、それを差別する側が問題でしょう。

髪の色が人と違うことでいじめに発展するなら、いじめの加害者側を厳しく取り締まるべきでしょう。

つまり、「そんなことをすればいじめに遭う確率が高くなるから禁止」は、
結果的には加害者を許容してしまっています。

もっと言うと、加害者を擁護しているのです。

反対する理由がないときの「伝家の宝刀」

ではなぜ、「〇〇するといじめられるから禁止」のような言い方をする人がいるのでしょうか?

人生のなかでそういう表現を見聞きするうちに、なんとなくその理由がわかってきました。

結論から言うと、理由がないからです。

まずは、その人のなかに「禁止したい」「反対したい」という気持ちがありきだということです。

でも、それを禁止するにはなにかしらの「理由」がなければなりません。

たとえば、「選択的夫婦別姓に理由はないけど違和感を感じる人」が、「理由はないけど反対だ!」と言っても説得力がありませんよね?

そんなときに「子どもがいじめられるから」という理由が、「伝家の宝刀」として使われているのです。

反対したいけど、そんな「理由にならない理由」を持ち出さなければならないほど反対する理由がないからとも言えます。

ということで、「それをするといじめられるから禁止」のようなセリフを聞いたときは「あ、理由がないんだな」と解釈しましょう。

その人は、「今までどおりが好き」なだけで、「多様性」が嫌いなのです。そうです。理由がなく「皆同じ」が好きなだけ。

ぜひ、「規制するべきはいじめる方ではないのか?」というふうに言ってあげましょう。

「いじめになるから禁止」と言ってしまった人も、冷静に「あ、そうか、これを禁止する理由はなくて、ただの自分の好みなんだな」ということに気づけるようになるとすばらしいですね!

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