こんにちは! 単語登録の鬼ことヨス(プロフィールはこちら)です。
パソコンを触り続けて「うん十年」のわたしですが、人の名前を入力するのは苦手です。
なぜなら、同じ「ようすけ」という名前でも「洋介」「陽介」「洋輔」「洋祐」……といろいろな漢字があるから。
今回は、なぜ日本人の名前の入力が大変なのか?についてと、名前を効率的に入力する方法について紹介します。
日本人の名前が入力しにくい理由
最初に、日本人の名前が入力しにくい理由を3つ紹介します。
日本人の名前には「同音異義語」が多い
日本人の名前には「同音異義語」が非常に多いことが、1つ目の入力しにくい理由です。
同音異義語とは、音声が同じなのに、表記が違う言葉のことです。
たとえば「ひろあき」いう名前は、わたしのパソコンで変換すると、「変換候補」が117件も出てきました!!
ひろあき
- ひろあき
- 弘明
- 博明
- 宏明
- 広明
- 裕章
- 博昭
- 浩明
- 裕明
同音異義語がこんなに多いと、探しているうちに「あれ? 正解の漢字はどれだっけ!? 」と、混乱してしまいますよね。
日本人の名前(漢字)が読みにくい
日本人の名前が入力しにくい2つ目の理由は「漢字が読みにくい」ことです。
例として、国名を漢字にしたものを3つ用意しました。これ、読めますか?
読みにくい国名漢字
- 葡萄牙
- 錫蘭
- 西班牙
本来の読み方とかけ離れた漢字の使い方を「当て字」といいます。読み方を知らないと入力に手間どりますよね?
上の例にある「スリランカ」の読み方を知らない場合、どうやって入力したらいいのでしょうか?(笑)
これと同じことが日本人の名前でも頻繁に起こります。
たとえば、「大翔」という漢字は「ひろと」「やまと」「はると」のような読み方がありますが、慣れていないと読めませんよね。
そうなると「大」と「翔」を別々に入力することになるので、非常に手間がかかります。
とはいえ、「ひろと」という読み方を知っていても、先述した同音異義語の問題があるので、入力しにくいことに変わりありません。
漢字に「旧字体」と「新字体」がある
日本人の名前が入力しにくい3つ目の問題は「旧字体」と「新字体」です。
日本の漢字には、昔に使われていた「旧字体」と、簡略化などで新しく作られた「新字体」があります。
例えば次のようなものです。
新字体 | 旧字体 |
---|---|
亜 | 亞 |
国 | 國 |
円 | 圓 |
たとえば「さいとう」という名前を入力しようとすると、「斉藤(新字体)」と「齊藤(旧字体)」があります。
さらに「藤」にも、旧字体の「籐」があるため、入力が難しいのです(参考: 「さいとう」を入力する大変さを単語登録で解決する方法)。
名前の「入力方法」を比較
では実際のところ、日本人の名前をどのように入力しているのでしょうか?
多くの場合、こちらの4つの方法のどれかだと思います。
名前の入力方法
では、どの方法が一番効率的なのでしょうか?
4つの方法を比較しながら見ていきましょう。
「読み」のまま入力
まずは、名前の「読み」をそのまま入力し、漢字変換する方法です。
名前として知名度の高いものに有効
この方法は、昔から名前として知れ渡っている「知名度の高い名前」には有効です。
たとえば、「花子」「太郎」のような名前はたろう、はなこと入力変換すれば簡単に入力できるでしょう。
気をつけたいのは「はなこ」も「花子」だけでなく「華子」と書く可能性もあるということ。
そうなると入力するときに、「『華子』を選ぶ」という作業が発生します。
華子
- 花子
- 花古
- 華子
- はなこひらがな
- ハナコ[全] カタカナ
- 花娘
- はな子
- 花小
- 葉菜子
これが、なかなか面倒なのです。
4文字以上の名前はさらに複雑
「読み」のまま入力する方法は、4文字以上の名前ではもっと苦戦します。
たとえば、「敬章」という名前を例に出しましょう。
「ひろあき」と入力して変換すると、候補が117件も出てきました!
「裕章」「宏明」「広明」……と、たくさんの候補から「敬章」を探すのは気が滅入ります……。
今回、「敬章」と入力するためにキーを押した回数を数えてみると、なんと78回でした!!
叩いたキーを視覚的に表現すると、次のようになりますよ。
HIROAKISpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceEnter
これは効率が悪すぎますね。
つまり、名前によっては「読み」の通りに入力するのは最適ではありません。
漢字1文字ずつ入力する
漢字1文字ずつ順番に入力する方法もあります。
「漢字1文字」ずつ入力する方法とは?
漢字1文字ずつ入力する方法とは、「敬」を入力したあとに「章」を入力するという方法ですね。
「敬章」とストレートに入力変換するよりは、ラクに入力できます。
ただし、こちらのように「敬」という漢字だけでも変換候補がたくさんあります。
系
- 系
- ケイ[全] カタカナ
- 京
- 経
- 景
- けいひらがな
- 軽
- 頸
- 慶
わたしの環境だと、2ページ目の17番目に「敬」がありました。そして変換候補は116個も!
漢字によっては入力にかなり時間がかかる!
17番目に「敬」があったのはたまたまで、漢字によってはもっと後ろにあります。
もう1つの漢字である「章」は、変換候補の6番目にありました。
章
- 商
- 賞
- 症
- 性
- ショウ[全] カタカナ
- 章
- 勝
- 小
- しょう ひらがな
つまり、漢字によっては速く入力できるけど、運が悪ければスムーズに入力できないということになります。
2つの漢字を入力するために押した「キーの回数」は
78回29回になりました。
そのまま名前を入力するのと比べると、激減しましたね。
押したキーを見てみると、まだまだ「Spaceキーをムダに押している感」は否めません。
KEISpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceEnterSHOUSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceSpaceEnter
「入力→消す」を繰り返す
そして、3つ目の「名前の入力方法」は「入力消す」を繰り返すワザです。
これも、効率を考えている人にはやっている人が多いはず!!
「入力→消す」を繰り返すとは?
「入力→消す」を繰り返すとは、「敬章」を入力するときに、次のようにする方法です。
箇条書きにするとこちらになります。
「敬章」を入力する手順
- 「尊敬」と入力
- 「尊」を消す
- 「勲章」と入力
- 「勲」を消す
- 「敬」と「章」を足して「敬章」
結局のところ、「変換候補」が多いから入力に時間がかかるわけですよね?
それを改善できる「効率的な入力方法」だと言えるでしょう。
キーを押す回数は激減!
これは前項で見た「117個の候補から探す」よりは圧倒的に速いことがわかります。
キーを押す回数を数えると、
78回29回23回になりました!
押したキーを並べるとこちらになります。
SONKEISpaceEnter←Backspace→KUNSYOUSpaceEnter←Backspace→
「単語登録」を利用する
最後に紹介するのは「単語登録」を利用する方法です。
説明よりも動きを見たほうが理解しやすいと思うので、アニメーション画像をご覧ください。
この方法は、先述した次の2つを組み合わせたワザだと言えます。
2つの方法
- 漢字1文字ずつ入力すると速くなる
- 変換候補が減ると入力が速くなる
では具体的に紹介しましょう。
漢字1文字に対して単語登録する方法
まず、次のように2つの漢字をべつべつに単語登録します。
単語登録例
- 敬
- rp
※「respect: 尊敬」の略でrp。
単語登録例
- 章
- ちゃp
※「chapter: 章」の略でchp。
そして、rpで敬を、chpで章を、べつべつに入力すればOK。
なぜこんなrpのような登録の仕方をするのかというと、同音異義語を減らすためです。
キーを押す回数を数えると、
78回29回23回9回になりました!
RPSpaceEnterCHPSpaceEnter
これはすごい!!
同音異義語をなくする単語登録ワザについてはこちらもぜひご覧ください。
【参考】1秒で入力することも可能
もし「敬章」という名前を毎日使うのであれば、もっと簡単に入力できるように単語登録しましょう。
たとえば、次のように単語登録すればいいのです!
単語登録例
- 敬章
- hr
キーを押す回数を数えると、
78回29回23回9回4回になりました!
使ったキーはたったのこれだけです。
HRSpaceEnter
なぜ「敬章」をhrに登録しているのかというと、「Hiroaki」だからです。
ここでひろに敬章を登録しなかったのは、次のようになるからです。
ヒロ
- ヒロ[全] カタカナ
- 弘
- 尊章
- 尋
- ひろひらがな
- 広
- 廣広の旧字体
- 紘
- 裕
「ひろ」と読む漢字がほかにもあるため、「変換候補」として「敬章」と競合してしまっています。
この中から「探して選ぶ」とう作業は、非常にロスが多いのです。
ポイントは、「hr」という日本語が存在しないため、変換候補に出てくる競合がないことになります。
日本人の名前を入力をスムーズにするには次のポイントがありました。
名前の入力のポイント
- 漢字1文字ずつを入力する
- 変換候補が少ない「読み」で単語登録する
とくにお客様の名前をいろいろと入力するシチュエーションでは単語登録は大活躍します。
この記事で紹介した方法を使って、ラクに入力できるようにしてくださいね!
こちらは人気の関連記事です。
効率化を求める人のための書籍『光速パソコン術』
わたしは自他共に認める「効率化オタク」です。
そのわたしが、KADOKAWAさんから『効率化オタクが実践する 光速パソコン仕事術』という書籍を出版しました。
おかげさまでめちゃくちゃ好評です。この記事を気に入ってくれたなら、きっと満足していただけるはず!