※2020年10月30日追記: 夫婦別姓についての電子書籍を販売いたしました!
こんにちは! 夫婦別姓を実行しているブロガーのヨス(プロフィールはこちら)です。
夫婦別姓という言葉を聞くとアレルギーが出るような方もいらっしゃいます。
そんな方に多い意見が「別姓にするよりも旧姓の通称使用を拡大させろ!」というものです。
実は、サイボウズ青野社長の裁判では、事実上「旧姓の通称使用における拡大」ということなんだよというお話です。
夫婦別姓よりも「通称名の拡大」?!
「選択的夫婦別姓」を反対する方の中に、こんな意見をされる方がいらっしゃいます。
わざわざ夫婦が別姓にしなくても、
「旧姓の通称使用」を拡大させればいいじゃん!
つまり、パスポートにしても、保険証、免許証とあらゆるところで、通称を使えるようにしようということですよね?
ぶっちゃけですが、もしそうなればわたしとしては問題ありません。
事実上として別姓と同じ状態ですからね!
ただ、一人娘で、夫が姓を妻側にしてくれない方で、「姓を継がないと家が途絶えてしまう」という方にとっては、まったく意味がないのですけど……。
※ こちらはそんな状況にあるユリさんとの対談です。
社会の混乱を招いた2019年からの「旧姓併記」
そんな中、愚かなことに、日本政府は2019年に住民票・マイナンバーカード上では旧姓併記ができるようにしました(住民票への旧姓表記のやり方はこちら)。
非常に残念なのですが、これは社会に混乱を与える愚策でした……。
導入に税金から約200億円も使われたのに社会に混乱を与えるだけだなんて……。
現在使っている姓とは別に、もう1つの旧姓を「併記」させると、1人の人間に2つの姓が混在することになりますからね……。
その上、「旧姓を銀行口座開設のときなどで使えるかどうかは、その銀行の裁量しだい」で、結論として政府の自己満足だけで終わっています。
もう一度書きますが、「社会の混乱+実生活で役に立たない施策」に200億円の税金……。国民をバカにしすぎです。
戸籍上で通称名を認定する = ニュー夫婦別姓
政府の愚策とは違って、サイボウズの青野さんの選択的夫婦別姓訴訟(ここでは「ニュー夫婦別姓」と呼びますね)はまったく違います。
つまり、夫婦別姓とは言っていますが、けっきょくは「通称(旧姓)」に法的な力を与えるということですね。
法律上の名前 | 山田 |
---|---|
戸籍上の名前 | 海野 |
生活で実際に使う名前 | 海野 |
戸籍上の名前を「今の姓+旧姓」という併記にするのではなく、旧姓1つだけに限定して表記させるというわけです。
結婚して法律上は「山田」になったとしても、戸籍上は通称の「海野」を登録できるため、生活上でも「海野」だけを使い、混乱が生じません。
姓が1つに限定されることが社会的混乱を招かない最大のポイントです。
こうすることで、生活で実際に使われる「通称名」は、戸籍上にも記載されている「法的根拠のあるオンリーワンの名字」という太鼓判をもらえるということですね。
しかも、今までどおりの夫婦同姓でもオッケーなので、嫌な人はやらなければいいだけの話ですし。
先ほど例に出した「夫が名字を変えてくれないと家が消滅する」という事例においては、夫に法律上は姓を変更してもらい、戸籍上は元々の夫の姓を使い続ける……ということで解決します(夫が納得するかどうか……という問題はありますが)。
すでに前例があるため簡単に実装できる(はず)
このニュー夫婦別姓での通称使用は、実は前例があります。
それが、離婚したときに元配偶者の姓を使用できるパターンです。
今の日本では、こんなトリッキーな事象が問題なく行われています。
法律上の名前 | 海野(元々の姓) |
---|---|
戸籍法上の名前 | 山田(別れた夫の姓) |
生活で実際に使う名前 | 山田(別れた夫の姓) |
つまり、離婚して海野に戻ったのに、書類上も戸籍上もどこを見ても元配偶者の姓(=通称)しか記載されていないけど、法律上は海野に戻っている……という状況です。
生まれたときからの姓(法的に本当の姓)である「海野」を一生見ることなく、社会的な混乱もなく過ごせます。
「ニュー夫婦別姓」では、これと同じことを結婚前の夫婦にも適応させればいいだけなので、絶対に簡単に実装できるんですよ。
さて、今回言いたかったのは「夫婦別姓」という言葉が使われているサイボウズ青野社長の裁判ですが、結局は「旧姓の通称使用」が混乱なく行われるようになるということ。
通称名(旧姓)を戸籍に登録できるようにして、社会の混乱をなくそう
ということです。
誰も損することのない法改正なので、ちゃんと理解していただければと思います。
そもそも、我々にとっては選択枝が増えるだけなので、社会にとってはプラス以外なにもないので……。
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