こんにちは! フェミニストのヨス(プロフィールはこちら)です。
「ポリティカル・コレクトネス(political correctness)」という言葉があります。
ポリコレと略されることもありますが、ネガティブに「言葉狩り」と揶揄する人もいます。
はたして、ポリティカル・コレクトネスは必要なのでしょうか?
今回は「ポリティカル・コレクトネスってなに?」ということや、必要なのかどうかということについてわたしの考えをまとめます。
ポリティカル・コレクトネスとは?
「ポリティカル・コレクトネス」という言葉があります。
これはいったいどういう意味でしょうか? Wikipediaには次のように書かれています。
社会の特定のグループのメンバーに不快感や不利益を与えないように意図された政策または対策などを表す言葉の総称であり、人種、信条、性別などの違いによる偏見や差別を含まない中立的な表現や用語を用いることを指す。政治的妥当性とも言われる。
ポリティカル・コレクトネス - Wikipediaより引用しました。
わかりやすい日本語に直すと「社会的に正しい言葉の置き換え」ですね。
時代とともに、人権意識は高まってきます。
そうなると、以前は問題なく使われていた言葉も、現代ではふさわしくなくなることがあるのです。
ポリティカル・コレクトネスの例(英語)
では具体的にポリティカル・コレクトネスの例を見てみます。
まずは、アメリカで生まれた言葉なので、英語での例を紹介しましょう。
fireman(消防士) | 「fire fighter」へ変更 |
---|---|
policeman(警察官) | 「police officer」へ変更 |
businessman | 「businessperson」へ変更 |
多くの例では「男性」を意味する「man」を訂正しています。
単語に「man」が含まれた「fireman(消防士)」だと、消防士は男性しかいない → 男性しかやってはいけない……のように見えませんか?
悪意はなくとも、消防士を目指したい女性や、すでに消防士になっている女性を排除しているように見えます。
そのため、「man(男)」から「person(人)」という偏りのない中立的な単語に置き換えられたわけです。
ポリティカル・コレクトネスの例(日本語)
続いて、日本語でのポリティカル・コレクトネスの例を紹介しましょう。
保母 | 「保育士」へ変更 |
---|---|
看護婦 | 「看護師」へ変更 |
助産婦 | 「助産師」へ変更 |
保育所で働く先生の正式名称が「保母」という名前でしたが、男性側の不満から性別を問わない「保育士」という名称に1999年に変更になりました。
「看護師」なども同じ理由です。
英語と日本語のポリコレを比較して
前述した英語と日本語のポリティカル・コレクトネスを比較しておもしろいことに気づきませんでした?
どちらも、やっていることは同じですが大きく違うことがあります。
こちらの比較表をご覧ください。
日本語 | 英語 |
---|---|
保母保育士 | firemanfire fighter |
看護婦看護師 | policemanpolice officer |
助産婦助産師 | businessmanbusinessperson |
英語では女性の門戸を開くために、日本語では男性の門戸を開くために変更しているように見えます。
日本語の職業名には「官、手、員、士、師、人、者」がつくものがほとんどですが、今では性別には関係ありません。
たとえば女性でも男性でも「弁護士」で違和感がないように。
逆に「母」と「婦」という女性を明確に表す言葉だけがポリコレ対象として訂正されたということですね。
ポリコレは「言葉狩り」なのか?
ときどき、ポリコレに対して「言葉狩りだ」と言う人がいますが、どうなのでしょうか?
わかりやすいように、言語の専門家として「言葉」の特性についてのお話をしましょう。
21世紀に存在するわたし達にとって、今の日本語は「最終形態」に見えますよね?
でも現在の言葉は、未来へ続く単なる途中段階です。「言葉は進化するもの」だということ。
若者の言葉にたいして「日本語の乱れ」と表現されますが、「いや、あれは言葉の進化なんだ!」という解釈ですね。
そのため、ある言葉が時代に合ってなければ当然淘汰されるべきです。
そして、それに変わる「ふさわしい言葉」に置き換わるべきなんですね。
たとえば「痴呆症」という病名は2004年に「認知症」という言葉に直されました。
今では完全に浸透しきっているのではないでしょうか?
そして、ポリコレで直されてよかったと思いませんか?
「痴呆症」という名前で呼ばれていたなんて、今考えると野蛮ですよね……。
というわけで、ポリコレはぜったいに必要だということが伝わったのでないでしょうか。
さて、言葉の置き換えは必要と書きましたが、差別的な言葉を消すことはあくまでスタート地点なのです。
「痴呆症」という言葉が聞かれなくなってから、実際に完全に差別がなくなったとは思えませんが、状況はよくなったと感じます。
言葉が変わると、印象が代わり、考えまで変えるということですね。
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