こんにちは! ヨス(プロフィールはこちら)です。
私が小さいころは運動会と言えば秋でしたが、今は春のところと秋のところがありますね。
今回はその運動会で必ず出てくる「組体操(私の地域では『組み立て体操』って呼びます)」についてです。
組体操をやめさせろ!
今日、こんなまとめページを見かけました。
参考: 小6「組体操やめたい」 学校の対応は・・・? - Togetterまとめ
内容を要約すると、小学校6年生のお子さんが組体操をやりたくないと思っていて、それを学校側に伝えるとかなりお門違いな返答がきてるというお話。
「練習を見学しているとき、5年生の子が「サボテン」やってて、頭から落ちた。手をついたので無事だった。「アンテナ」のとき、タイミングを誤った子を見つけた先生は説教をはじめ「いっしょうけんめいやりなさい。ケガするぞ。もっときびきび動け」とみんなにどなった」
— クーコ (@kuko_stratos) September 14, 2015
学校側はなんと、必死でお子さんを説得している様子で、あの手この手で決行しようとしている笑えない様子が伺えます。
組体操って危険なんですよ
まず言いたいんです。
組体操って危険なのご存知でした?
ベストセラーになっている『教育という病 子どもと先生を苦しめる「教育リスク」』の著者である内田 良さんのツイートを見ると……。
「組体操、今年は身近な人だけで3人骨折」とのこと。 https://t.co/8NdIOITqsh
— 内田良/学校リスク研究所:部活動・教職を持続可能に! (@RyoUchida_RIRIS) September 12, 2015

え……骨折?!
私はどっちかというと組体操の軍隊みたいな雰囲気が嫌悪感の元になっていたのですが、内田さんのツイートやWikipediaを見て考えが変わりました。
参考: 組体操 - Wikipedia
Wikipediaを見てもらえればわかりますが、組体操の失敗で死んでいる子どももいます。死んでなくても障害を負ったり、腰の骨を折るなどの重傷という例もあるようです。
もうね、とりあえずYouTubeでピラミッドの動画を見てくださいよ。6段ピラミッドなんて当たり前、すごいところになると10段ピラミッドです。
骨折や死が本当に隣りあわせってことがよ~くわかります。
いや、私も小学校、中学校のときに無理やりやらされていましたが、危険を感じたことはもちろん何度もあります。
命をかけてまで「組体操」をやる価値あるの?
たとえば、上で紹介したYouTubeの動画みたいなピラミッドに自分の子どもが参加していると思って見てください。
「うわー! すごい! 素晴らしい!」って手放しで喜べるのでしょうか?「そりゃ、こんな危険な行為したら人も死ぬだろ……」としか言いようがない危険な行為ですよ。
調べてみると、私が小学校高学年のときにすでに死亡事故があったそうなのに、そういう話は一度も聞いたことがありません。
というよりも、事故死があったなんて今日知りました。
■組体操リスクの基礎知識■
— 内田良/学校リスク研究所:部活動・教職を持続可能に! (@RyoUchida_RIRIS) September 16, 2015
小学校の体育的活動(部活動のぞく)のなかでは,3番目にケガが多い。
ワースト10種目のなかで,組体操だけ学習指導要領に記載なし。
やらなくてよい種目で,こんなにケガが起きているということ。 pic.twitter.com/OS6F5sAjNb
再び内田さんのツイートですが、小学校の体育活動の中で組体操って3番めに怪我が多いんですね。しかも絶対大けがが多いですよね。
……なんかよく見ると、跳び箱やバスケットボールやマット運動は学習指導要領で「やらなくてはならない活動」と定められているのに対して、「組体操」は絶対にやらなくてはならない活動じゃないんだそうです。
「そうなっているから」的な思想
組体操は「やらなくても良い活動」なのに、ほぼ全ての学校でやっているのってなんででしょうね??
……って書きましたが、日本で育った方なら大抵その答えがわかると思います。
- ほかの学校がやっているから
- ずっとやってきたから
- そういうふうになっているから
間違いなくこのどれかでしょうね。
わかってますよ。きっと「学年が一丸となって一体感を得られるんだ!」とか言いたいんですよね。
そういう「こじつけ」は簡単にいくらでもできるでしょう。
でも「命をかけてまでやることですか?」という問いにちゃんと目をそらさずに答えてもらえますか?
どんな方程式を作ったら「組体操は多少の犠牲があっても小中学生にやらせる価値がある!」に至るんですか?
「見ている人に感動を与えるんだ!」って言う体育会系の先生もいると思いますが、ハッキリ言って自己満足ですよね。
生徒が軍隊みたいにピシーっと揃ってるのを来賓に見せつけて「うちの学校ってすごいやろ? この一体感ドヤ!」ですよね? アホか……。
「教育は善きもの」という幻想
先ほどツイートを紹介した内田さんの著書『教育という病 子どもと先生を苦しめる「教育リスク」』の書評を俵万智さんがしていました(私もKindle版を買って読んでいる最中です)。
リスクをきちんと知る、という当たり前のことを著者は主張する。その「当たり前」が、「教育は善きもの」という刷りこみによって見えにくくなっているという指摘が鋭い。
「教育は善きもの」という刷りこみで見えにくくなっている子どもの危機 『教育という病 子どもと先生を苦しめる「教育リスク」』 (内田良 著)|1分書評|俵 万智|本の話WEB より引用しました。
これ、まさにその通りですよね。
「組体操」を筆頭に、「学校で行われるものは間違いなく善いものだ」という前提(幻想)があります。そして思考停止に陥っているんです。
「これって本当に危険を冒してまでやるべきことなのか?」という本来考えるべきリスクを完全に置き去りにして。
組体操は自分で選んだ「仕事」じゃないんだよ
というわけで「組体操」は「やらない方がいい」とかそんな甘っちょろい問題ではなく「やらせてはいけない」レベルの問題です。
そんな問題が「ほかの学校がやっているから」「ずっとやってきたから」「そういうふうになっているから」辺りの理由によって、伝統という甘美な言葉によって継続されています。
これが職業なら、「危険も承知」でやる人がいても問題ないでしょう。リスクを知った上で仕事として組体操をやるんですから。
「先生らが、いかに安全に留意して組体操に取り組んでいるかをさんざん説明され「先生を信用してほしい」と言われたので「先生のことは信用しています。ぼくは、組体操という種目が信用できないんです」って言った」
— クーコ (@kuko_stratos) September 14, 2015
先生を信用していれば事故は防げるのか?という問題ですよ。相手は事故です。
いつ起こるかわからないから「事故」なんですよね?
事故を完全に防ぐには「死ぬ可能性のあることをやらない」以外の選択肢しかありえません。
学校関係の皆さん、組体操の危険性をこちらの本で知った上でやるかどうかを公平に考えてください。
追記:オーストラリアでは
興味あったので調べたら豪州労働者・安全基準での作業できる高さは地面から2mまで、それ以上は対策(ハーネス等)が必要になります。当然学生にはそれ以上はさせない訳で。 https://t.co/vq5DcHIPUB
— Hatsu Wat @メルボルン (@Hatsu_Oz) September 17, 2015
なんだそうです。Hatsuさんありがとうございます。どう考えても、ピラミッド10段とかハーネス付けないとヤバイってことですね。
いやー、本当に怖いです。組体操。
一度、どの学校でも全員に組体操の危険性を教えた上で「やりたいか? やりたくないか?」のアンケートを取ってみてくださいよ。
でも子どもたちって空気読めちゃうので、完全に無記名でお願いします。「空気」のために自分の命をかけるなんて馬鹿げていますし。
それと、アンケートの結果、やりたくない子が1割に満たなくても「多数決」でやることに決定!……なんてナンセンスなこともやめましょうね。1割って結構多いです。
その子たちが「命をかけてまでやりたくない」と思うなら、その意見は尊重すべきです。もしそれでも実行するなら「徴兵制度」と同じです。

この記事、おもしろかったわ。ほかに似た記事ないん?

「日本の学校のカテゴリ」にあるきん、そっち見てや。