※2020年10月30日追記: 夫婦別姓についての電子書籍を販売いたしました!
こんにちは! ヨス(プロフィールはこちら)です。
結婚することになったときに、日本では切っても離せない問題が「戸籍」です。
「家族単位」での戸籍である今の現状では、夫婦のどちらかを戸籍の「筆頭者」、つまりリーダーとして選ばなければなりません。
今回はこの「戸籍で夫婦に序列をつける」という問題についてまとめました。
「戸籍」の表記を見てほしい
まずは、戸籍の中にある表記を見ていただきたいのですが。
戸籍の記述はこんな感じです(「送付を受けた日」と「受理者」はごちゃごちゃするので省いています)。
本籍 氏名 |
香川県丸亀市大手町2丁目3-1 山田 のぼる(※1) |
---|---|
戸籍事項 戸籍編製 |
【編製日】 平成30年1月1日 |
戸籍に記録されている者 | 【名】 のぼる(※2) 【生年月日】 昭和60年5月5日 【配偶者区分】 夫 【父】 山田太郎 【母】 山田花子 【続柄】 長男 |
身分事項 出生 婚姻 |
【出生日】 昭和60年5月5日 【出生地】 香川県高松市 【届出日】 昭和60年5月10日 【届出人】 父 |
【婚姻日】 平成30年1月1日 【配偶者氏名】 海野さち子(※3) 【従前戸籍】 香川県高松市番町1丁目8-15 山田森男 |
|
戸籍に記録されている者 | 【名】 さち子(※2) 【生年月日】 昭和60年2月2日 【配偶者区分】 妻 【父】 海野勝男 【母】 海野珊瑚 【続柄】 二女 |
身分事項 出生 婚姻 |
【出生日】 昭和60年2月2日 【出生地】 香川県坂出市 【届出日】 昭和60年2月6日 【届出人】 父 |
【婚姻日】 平成30年1月1日 【配偶者氏名】 山田のぼる(※3) 【従前戸籍】 香川県坂出市室町2丁目3-5 海野昆布夫 |
ちなみに、上の「例」で使っている住所は、それぞれ市役所の住所ですのでご心配なく(笑)。
ちょっと簡単に説明しますね。
- ※1 戸籍筆頭者の氏名
- 一番上に「戸籍の筆頭者(リーダー)」の名前が来ています。これは、婚姻届上の「婚姻後の夫婦の氏」という欄で選んだ方の名前が掲載されます。
- ※2 この戸籍に入っている人の名
- 戸籍の中には、夫婦の1人ひとりの「氏」は載っていませんね。名前だけの記載です。
- ※3 配偶者氏名
- さらに「配偶者氏名」のところには、相手の生まれたときの氏で掲載されています。
補足ですが、この例では夫の「のぼる」の方が上に来ていますが、これは筆頭者だから上に来ています。
男性だから上に来ているわけではなく、わたしのように夫の方が改姓させられている場合は、夫が下側に来ます。
戸籍の筆頭者?
さて、ここでは、戸籍の一番上の欄を見てほしいんです。
先ほどの戸籍の表をちょっと省略してみますね。
本籍 氏名 |
香川県丸亀市大手町2丁目3-1 山田 のぼる |
---|---|
(1) | のぼる の情報 |
(2) | さち子 の情報 |
戸籍の中の情報を略すと上のようになるんですね。
一番上の欄がちょっと気になりませんか?
そうです。戸籍の一番上には、家族の「長」の名前が入るんですね。
ちなみに、ここに入る名前は「婚姻届」で「夫婦の姓」として選んだ方の名前がきます。
そもそもですが、この
「筆頭者(つまりリーダー)」なんて必要なんですか?
このお話に関して、2018年の夫婦別姓裁判を担当している作花弁護士のブログから引用します。
この「婚姻に際して戸籍筆頭者を定める」という意味における民法750条は,はたして男女平等と個人の尊厳を保障した現行憲法の14条や24条2項に適合しているのか,という問題があると思うのです。
民法上の夫婦別姓訴訟と戸籍筆頭者制度 | 弁護士作花知志のブログより引用しました。
この「リーダーを決める」ということが、男女不平等につながっているというご指摘です。
どういうことかというと、もし仮に、夫婦別姓ができるようになったとします。
でも、この「戸籍筆頭者」の欄に記入する名前を決めるとしたら、夫の名前、妻の名前どちらを書くカップルが多いと思いますか?
間違いなく、男性の名前を筆頭者のところに書くカップルがほとんどになるでしょう。
それは、婚姻届を出すときに、夫婦の姓を「夫側の姓」にするカップルが96%という現実を知っていると何ら不思議ではないと思います。
そうじゃなくても、「大きな事象で決定するのは男性の役割」というジェンダーが日本には根強く残っているからです。
結婚で「リーダー」を決める必要があるの?
作花弁護士もこの部分を懸念しています。
「戸籍筆頭者を定める」ことが,結局は「夫婦のリーダーを決める」という意味を持ち,それが「主人」という言葉にもつながっているように思います。
民法上の夫婦別姓訴訟と戸籍筆頭者制度 | 弁護士作花知志のブログより引用しました。
この「家族のリーダーを決める」という行動は、
夫婦に序列を作るということです。
夫婦に序列なんて必要なんでしょうか? いえ、完全に不要ですよね……。旧世界の発想ですよ、これは。
主人という言葉や、嫁という言葉に嫌悪感があるのも、この夫婦間での序列にあります。
「夫の方が妻よりも上」という古い価値観を子どもに植え付け、再生産させている悪の元凶が「家族単位」の戸籍です。
戸籍が個人単位にならなければ女性差別はなくならない
夫婦のどちらかを家族の「長」にするという現状。正直なところ、この状態では女性差別がなくなるハズがありません。
たとえば、今の「婚姻届」にはこんな欄があります。
「夫の姓」、もしくは「妻の姓」を選ぶ欄ですね。
もし、夫婦別姓(民法上での夫婦別姓)が選択できるようになっても、この欄は「筆頭者」という名称になって、「婚姻届」に残ることでしょう。
これってすっごくイヤじゃないですか? 結局は夫婦に序列を作り、「女性の方が下」「リーダーは男性」という状況になります。
ということは、戸籍が家族単位である限り、女性差別はなくならないのです。
韓国では「家族単位」の戸籍は違法
この「家族単位」の戸籍ですが、韓国ではなんと「違法」という判決が出ました。
韓国は,日本から民法や戸籍法を輸入した後,日本と同じように家族単位の戸籍を使ってきました。ところが,21世紀に入った後,韓国の憲法裁判所が,「戸籍筆頭者制度は家制度を表しており,憲法に違反する」という趣旨の違憲判決を出しているのです。その後韓国は,戸籍の形を個人単位に変えているのです。
民法上の夫婦別姓訴訟と戸籍筆頭者制度 | 弁護士作花知志のブログより引用しました。
そして、韓国では現在、個人単位での戸籍になっているということです。
これは、日本でも戸籍の個人化は必須条件になってくるでしょうね!
さて、今回は「家族単位」の戸籍制度自体が女性差別を温存している悪の元凶だというお話を書きました。
さらにいうと、「本籍」というのも「どこの住所でもいい」という意味のわからないモノです。
もはや、戸籍というもの自体が不要な気がしますね。
Twitterではこの記事のような内容のつぶやきをよくしています。
この記事を気に入った人はぜひフォローしてくださいね♪
「夫婦別姓」の書籍を出版しました!
Amazonの電子書籍で、夫婦別姓についての電子書籍を販売いたしました!
あなたの「想い」を「発信」してみませんか?
もし、この記事を見て共感してくださったなら、あなたも発信してみませんか?
わたしの著書『読まれる・稼げる ブログ術大全』では、ブログをこれからはじめたい人、発信をはじめたいと思っている人に必要な情報がすべて詰まっています。
ただ闇雲に発信するのではなく、「伝わりやすさ」がもっとも重要です。
ぜひ、あなたの考えている「社会のここがおかしい」をブログやSNSで正しく発信しましょう。