こんにちは! ヨス(プロフィールはこちら)です。
外国語の発音で聞き取りが難しいものってありますよね? その難しさはどこから来ているのか……?について主に英語の「 L 」と「 R 」を例に挙げて語ってみたいと思います。
目次
英語で最も難しい「 L 」と「 R 」の聞き分け
さあ、聞き分けるのが難しい音……って聞くとまず思い浮かべるのが英語の「 L 」と「 R 」ですよね。ぶっちゃけ私も難しいです。よく間違えます。
じゃあなんで聞き分けるのが難しいのかを考えてみましょう。「ドラえもん」って言っているだけの、こんな音声を用意してみました。ちょっと聞いてみてください。
「ドラえもん」の「ラ」を……
- 普通の日本語の「ら」
- 英語の「 L 」で「la」
- 英語の「 R 」で「ra」
- 巻き舌の「ら」
この4種類で言っています。どうですか? 微妙に違うのがわかっていただけました?「 L 」との違いはともかく、巻き舌は違いが分かりやすいですよね?
音は違うけど意味が変わらない!?
では今度は意味の話です。分かりやすいので巻き舌と比べますが、日本語で「ドラえもん」って言ったときと、「ドルァえもん(巻き舌)」で言ったときって意味が変わりますか?
ただ単に、「うわ! この人なんかテンション高けぇ!」とか「うぜー! お前はイタリア帰りか?! カッコつけんな!」とかとか、「椎名林檎(初期)の大ファンかよ?」……みたいに思われるだけです。
この発音による意味の差がないことが聞き取りを困難にしているんですね。
「ドラえもん」って聞いても、「ドルァえもん」と聞いても、同じ「ラ」として頭の中で処理されるからです。同じ「ラ」だけど、なんか発話者の感情とかが込められているだけ……という処理です。
でも英語ではこの2つは……
ところが、英語ではこの発音の差が意味上の差に直結しています。よく例で出されるお約束的なやつに「light」と「right」とかありますよね。
- light(光)
- right(右)
文字で見たら全然違いますよねー。今度は音でも聞いてみてください。ヨスの声でアレですけど。
「light」と「right」を言っています。厳密には「light」「right」「light」「right」と交互に2回言っています。意識してハッキリと言っているので違いがわかりやすいとは思います。でもこれをナチュラルスピードで文中で言われるとキツイんですよねー。
「 L 」と「 R 」を間違うとイタい例
「light」と「right」を間違うのは可愛い方ですよ。例えば、「 l 」と「 r 」を置き換えるだけでこんな違いになる場合もあるんです。
- clap(拍手)
- crap(うんこ)
うわー。これはひどいですね。「うんこ」とか日常会話で言いたくないですよね。うんこですよ、うんこ。だって、うんこなんて……(← もうええわ!)。
- lice(「louse=シラミ」の複数形)
- rice(米: ご飯)
この辺りを間違えると、ドン引きされる可能性があります。まぁ、文脈で読み取ってもらえるハズですが(笑)。
日本語の例
こういう自分の母国語にない違いが、外国語を学習するときに最もつまづくところなんですよね。
今度は視点を外国人にして、日本語の例を見てみましょう。「外国人がつまづく日本語の特徴」という記事でも書きましたが、母音を伸ばす「ー(長音)」って、英語圏のみならず、ほとんど全ての外国人にとって鬼門なんです。
例えば……
- きてください(来てください)
- きー(い)てください(聞いてください)
これがねー、外国人にとって「聞き分けができるのは神!!」っていうレベルの難しさなんですよ。でも私たちには当たり前すぎるほど簡単じゃないですか? じゃあなんで外国人にとって難しいかと言うと、母国語にこの区別がないからです。
もしサッカーを見ていて、アナウンサーが英語で「Goal!!(ゴール)」って言っても、「Goooooooooooooooooooooooooooooal(ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーール)!!」って言っても、意味が変わりませんよね。単なる興奮度の違いです。つまり英語には母音の長さによる意味の違いが発生しないわけですね。だから難しい。
今度は中国語の例
せっかくなんでもう1つ例を。今度は中国語話者の話です。中国語には「濁音」があるかないかの区別がありません。なので……
- かいじん(怪人)
- がいじん(外人)
この区別が超難しいんですねー。逆に中国人は「 n 」と「 ng 」の違いや「 l 」と「 r 」の違いは簡単に分かるんです。だって中国語にその区別がある(厳密には近い区別がある)から。
つまりはそういうことなんです。日本人にとっても外国人にとっても、自分の言葉(母国語)にない発音の区別は難しいんです。
どうすれば聞き分けられる?
どうすれば聞き分けられるか……ですが、まずは何が何でも自分で発音できるようになることかなと思います。
自分が発音できない音を聞き分けられるハズないと思うのですが、どうなんでしょ?
耳で違いを聞き分けるよりも、自分で発音する方が間違いなく簡単なんですね。
私がいつも言うマニアックな表現に「言葉は音楽、口の中は楽器」というのがあります。
発音を早く上達させるには、舌を口の中でどのように使って音を出しているかを論理的に理解できるとやりやすいんです。
あとはひたすら聞いて慣れるのみ
もうね。これしか言えません。日本人が日本語の聞き分けが上手いのは聞きまくっているからです。
子どものころ……よりも更にさかのぼって赤ちゃんのころから、ずっと日本語を聞いています。そりゃあ、日本語の発音に慣れるハズです。新しく触れ始めた英語という言語の発音に1日で慣れるなんて無理無理。
とにかく外国語(英語)を聞きまくって、慣れていくしかないと思います。
わかんなくてもそんなに問題ない!
これ、誤解を生みそうですが、あえて言います。わかんなくても問題ないことも多いです。
というのも、音声だけで違いを聞き分けられなくても文脈で予想するということができるからです。
実際のところ「 b 」と「 v 」の違いとか、ネイティブでも聞き間違えたりするそうです。でも大抵は文脈でなんとかなったりするんですよ。
日本語でもそうでしょ? 感謝するときに「アフリカゾウございます!」ってゴニョゴニョと言ってみてください。文脈とジェスチャーで「ありがとう」って言っているのが伝わるはずです。
今回は英語の「 L 」と「 R 」を主に例で出して、その違いを聞き分けるのがどうして難しいのか?ということを書きました。
わたしは日本語を外国人に教えていたので、日本語の難しさというものも客観的に知っています。
もうね、日本語の「ー(長音)」「ん(撥音)」「っ(促音)」とか、外国人にとってありえないレベルの難しさなんですよ! なので「なぜオレは『 L 』と『 R 』ごときがわからんのだ!」と嘆くのは止めて「まぁしゃーないよな♪」とじっくりと構える方がいいと思います!
今回出てきた「 L 」の発音をマスターしたい方にはこちらをどうぞ。