【バセドウ病闘病記: 5】アイソトープ治療2(放射線について)

こんにちは! 元バセドウ病患者のヨス(プロフィールはこちら)です。

今回はたぶん、バセドウ病関連の情報として特に気になると思われる「放射線治療」こと「アイソトープ」について書きたいと思います! 私も自分が体験する前に、気になりまくりました。

アイソトープと放射線について

バセドウ病になり、入院をすること1週間。

食事制限(ヨード制限)をして、いよいよアイソトープ(放射性ヨード)を飲む日がやって来ました。

アイソトープ治療は「放射線治療」のことです。でも、放射線を外から当てるわけではなく、放射性ヨードというカプセルを飲んで、イカれてしまい甲状腺ホルモンを出し続けている甲状腺細胞をやっつける治療です。

アイソトープってどんな薬?

さてアイソトープって結局どんな薬なんでしょう? ちょっと説明します。

アメリカでは90%の人がアイソトープを

このアイソトープですが、アメリカではなんと! バセドウ病患者の9割がやっているらしいです。50年以上の研究がある信頼された治療法なので安心だと聞きました。

私が最初にやっていた薬物治療(メルカゾールなど)で完全に治る人はたったの4割らしく、残りの方は再発するんです! そして再発した場合、結局、アイソトープでの放射線治療を受ける人が多いと先生が言っていました。そう考えるとどうせ再発するんだったら放射線治療やったれ!って思いますよね。

薬が効き過ぎることも

アイソトープは、効き目が出てくるまでに2、3ヶ月はかかるそうですが強力です。なので逆に甲状腺ホルモンが少なくなりすぎることもよくあるそうです。

ただ、中途半端な数値にまで下がって「バセドウ病再発」のリスクを持ち続けるより、低下症になる方が好ましいと聞きました。甲状腺ホルモンの低下症の場合、サプリのような感覚で毎日、甲状腺ホルモンを補い続けるだけで良いからです。ちなみに、そのサプリのようなやつは「チラーヂン」という薬なのですが、副作用がなく安全で、費用も安いです。

私がアイソトープを飲んだ感想

さて、今度は私がアイソトープを実際に飲んだ時の感想を書いてみます。飲んだ当時、ブログに載せるなんて発想もなかったため写真を撮ってないのが残念です。

アイソトープの外観

アイソトープの外観は、いたって普通のカプセルでした。オレンジ色の普通のカプセル3錠です(数はその人の症状の度合いによって違うそうです)。大きさはちょっと大きめだった記憶があります。

ただ違うのは、飲む場所が決められていることと、放射線技師の人が説明したり、ピンセットで渡されたり……と厳重な雰囲気だけです(笑)。

アイソトープを飲む場所

アイソトープは放射性ヨードです。つまり放射線が出ています

そのため、どこかれで飲むわけにはいかないんですね。私の場合、レントゲンを撮る部屋の待合室みたいなところ(隔離された部屋)にわざわざ呼び出され、そこで飲みました。

レントゲンはご存知の通り、放射線です。なので、放射線技師や、そばを通る人がジャンジャカ被曝してはいけないため、分厚い壁に囲まれていて、放射線が外部にもれないようになっています。

そしてアイソトープを飲む前には、放射線技師の方が一通り説明をしてくれました。普通の薬とは違う感アリアリなので、なんか緊張しましたよー。

無駄な被曝を防ぐため

アイソトープは厳重に包まれた「ツボ」みたいなモノの中から、ピンセットでカプセルを取り出して、紙コップの中に入れて渡されました。

放射線技師の方は絶対に直接触らないんですね。理由はもちろん「無駄な被曝を避ける」ためです。えっと……それを今から私は飲み込むんですケド(笑)。

ちなみにこのカプセルは、飲む日の朝に届くようです。飲む日をきちんと決めて、わざわざその日に発送される理由は、放射線の「時間と共にどんどん半減してしまう」というその性質にあります。製造した瞬間から効力が弱くなっていくわけです。

なので「今日、飲む予定にしていたけど、やっぱ来週にします!」というふうに日程を変えることはできません。薬の効き目、つまり放射線が半減してしまうからです。

さて、このアイソトープを飲んだ感想ですが、普通の薬と同じでした。水と一緒に飲むので、なんてことないです。

アイソトープの放射線について

さて、今回の記事の目玉だと思いますが、アイソトープの放射線について書きます。

ベータ線とガンマ線

アイソトープを飲むと「放射性ヨード」が甲状腺に届き、ベータ線とガンマ線を出すそうです。たぶんビームみたいなやつで目に見えません。

ベータ線が非常に強力な放射線で、コイツが悪い細胞をやっつけてくれます。ただ、ベータ線が出る距離は2ミリメートルだそうで、甲状腺内にしかそのビームは届きません。つまり私の周りの人はおろか、私の体内の他の臓器にすら、ベータ線は届きません。当たるのは甲状腺にだけです。仮にこれが何十メートルも出るとなると、私は危険物質と同じになります。

そして、もう一つの放射線であるガンマ線の方ですが、こちらが私の半径1メートルほどに出つづけます。ですが、半径1メートル以内に長時間いなければ問題ないレベルだそうです。そもそもアイソトープを飲んだ本人は24時間浴び続けていますからね。

入院の理由はガンマ線

さて、このガンマ線ですが、これが私の身体からしばらく出続けることが、今回の入院の大きな理由です。

実はアイソトープ治療は無理して入院しなくてもいいんです。食事制限ができ、私がしばらく隔離されていれば家で飲むこともできます。ですが、私の場合、2歳(当時)の子どもがいる……という状況がまずかったんです。

ガンマ線はレントゲンに使われているレベルの放射線なので、ベータ線と違って、浴びれば即ヤバイぜ!ってことは全くありません。ただ、妊婦や小さい子どもの場合は話は違ってきます。放射線は放射線なので出来る限り避けたいですからね。

同じ家の中で、完全に2歳児から私を隔離できないから入院したというわけです。

放射線って……ガンにならんの??

放射線を出すと聞いて、一番ひっかかるのは「そんなモノ飲んで、逆にガンにならんの?」に尽きるでしょう。

このカプセルの放射線は甲状腺にしか行きません。その理由はヨードを使っているからです。ヨードは甲状腺でしか取り込まれない性質なので、飲んだ放射線は「バセドウ病の根源」である甲状腺だけに行きます。

そして、さっきも書きましたが、危険な「ベータ線」は、2ミリしか出ないため、ほかの臓器に問題を及ぼすことはありません。

カプセルではなく、放射線を肌に当てる場合、皮膚ガンになる可能性が出てくるんですが、この薬は服用し、直接甲状腺に取り込まれるため、皮膚ガンになる心配はありません

逆に、バセドウ病を放置していた場合、悪化して甲状腺がガンになる可能性もあります。そう考えると、この薬はガンになる確率をむしろ下げると言ってよいかもしれません。

アイソトープを飲んだあと

では今度はアイソトープを飲んだ後についてちょっとまとめてみました。

アイソトープを飲んだあとの生活

ではその私の体内から出る放射線ですが、いつまで出続けるのでしょうか?

私には小さい子どもがいるのでむちゃくちゃ不安でした。もう何度も何度も主任の先生に質問しまくった記憶があります(笑)。

放射線には「毎日減っていく」こと、そして「尿や汗と一緒に排出される」という2つの特徴があります。

効力は毎日減っていく

放射線には「半減期」があります。半減期というのは、その字のごとく、威力が半減する時期のことです。

このアイソトープの場合、一週間で放射線量が半分になります。そして3週間後には影響はほぼなくなると言っていました。詳しく書くと、一週間で半分に、2週間で1/4に、そして、3週間で1/8、一ヶ月で1/16に……理論上はなるそうです。1/16というのは、レントゲンを受けて浴びる放射線の量よりも少なくなるそうです。ただ、これはアイソトープを飲む数で変わります。例えば症状が私よりもひどく、たくさん服用する方の場合は期間が変わってきますよね。

先ほど、飲むときのことを書いた時に「製造した瞬間からどんどん減っていく」と書きましたが、そういうことなんですねー。どんどん放射線の効力がなくなっていくというわけです。

ちなみに、私は退院してから2週間は別の部屋で隔離して寝ました。子どもの抱っこも極力避けました。

尿や汗と一緒に出る

体内の放射性物質は、尿や汗と一緒に外に排出されます。なので、ずっと体内にあるわけではありません。安心しました。

そのため、トイレは2度流すようにすることや、洗濯物はほかの人とは別にすること、お風呂は最後に入ること、タオルや食器などはほかの人とは共有しないようにすることが制約として生じます。

全部、周りの方への被曝を最小限に抑えるための制約ですね(下にて注意事項・制約をまとめました!)。

持ち物に放射性物質がつくの?

身体から放射線が出ているということは、私の身近な道具にもそれが当たるということですね。

なので、自分の持ち物に放射性物質がつかないのかなという不安がありました。。病室に持ち込んでいるパソコンとかにくっついて、それを持って帰ると、家に放射性物質を持ち込むのでは?という不安です。

こちらについても、時間とともに半減していくので問題ないとのことです。

放射性ヨード服用後の注意事項

アイソトープ服用後に気をつけるべきこと(制約)はこんな感じです。

服用後1~3週間

子どもや妊婦と親密に接触(距離1メートル以内)すること、近くで長時間過ごす(添い寝など)ことなどは避ける。15分以上子どもを抱かないようにする。

服用後3日間

  • お手洗いで排泄後はできれば2度水洗を流す。男性でも、尿の飛散による汚染を軽減させるため、便座に座り排尿する。
  • 衣類の洗濯は他の人と別にする。
  • お風呂も最後に入る。
  • 汗や唾液がつくようなタオル、歯ブラシ、はし、スプーンなどは他の人と共用しないで、自分専用で使う。
  • 他の人と同じベッドや布団で寝ることは避ける。

服用後1週間

公共の乗り物では他の人との距離をあけ(1メートル以上)、6時間以上過ごさないようする。

服用後6ヶ月間

妊娠、授乳などを避け、男性においても避妊をする。

退院後に常備する紙

おっと、忘れるところでした。このアイソトープ治療を受けると、ある一枚の紙を渡されます。

何の紙かと言うと、空港などで放射線検出器で引っかかったときに「私の身体から放射線が出ているのはマトモな薬を飲んだからだよ」と証明するための紙です。具体的にはこんなことが書かれています。

患者様へ
空港や国境などで使用されている放射線検出器はとても鋭敏でごく微量の放射線物質を検出することができます。からだの中の放射性物質のほとんどがなくなるまで、あなたは空港や国境で係官に呼び止められる可能性があります。このカードを常時携行されることをお勧めします。

担当官へ
この患者は当院で放射性物質を投与されました。放射性物質投与後の当院からの退出は法令で定められた方針に従って適正に行われました。ご不明の点は下記までお問い合わせください。

半年間は放射線が微量でも出ている可能性があります。なので、この紙(日本語と英語の両方をもらえます)を常に持っておく必要があります。私の場合はEvernoteにスキャンして入れていましたが。

こんなものを持たなければならないということは、実際に引っかかって、証明できず犯罪者扱いされた方がたぶんいたんでしょうね。

さて、今回の内容は、私が体験したときに最も気になっていた事柄なので、ものすごく長い記事になってしまいました。

この記事を書くにあたって、先生にももう一度いろいろ聞いて確認しました。ご協力ありがとうございます!

まぁ、ぶっちゃけなんですが、安全安全と言われているこのアイソトープですが、本当に100%安全なのかどうかは分かりきりません。何の薬でも100%はないですからねー。

私の場合は、この治療方法に頼る以外、助かる方法がなかったので選びましたので、もう信じるしかないという状況でしたが、あのしんどかった状況を思うと、早く飲んでよかったなーと心底思っています。

アイソトープを飲んだのが2013年の2月で、今のところ順調に回復し、健康に生活できています。

アイソトープよ、ありがとう!