こんにちは。フィギュアスケート大好きなヨス(プロフィールはこちら)です。
1998年の長野オリンピックからファン歴はかれこれ20年以上になりますが、最初のころは何が違うのかわかりませんでした。
何の違いかと言うと、フィギュアスケートの6種類のジャンプの違いです。
今回は、フィギュアスケートの「華」とも言える6種類のジャンプを見分ける方法を紹介します。
ジャンプの違いが分かるようになるとさらにフィギュアスケート観戦がおもしろくなりますよ!!
フィギュアスケートのジャンプ6種類について
まず基本として知っておきたいのは、フィギュアスケートには6種類のジャンプがあることです。
ジャンプの難易度について
6種類のジャンプは、それぞれ難しさが違います。
難易度の低い順に書くとこちらのようになります。
フィギュアのジャンプ6種類
トウループが一番簡単で、アクセルが一番難しい種類のジャンプとなります。
一見どれも同じに見えるのですが違うんですよね。
ジャンプの回転数について
フィギュアのジャンプには6種類があると書きましたが、それぞれのジャンプは回転数によってさらに名前が変わります。
たとえば、浅田真央 選手、紀平梨花 選手でお馴染みの「トリプルアクセル」は、種類としては「アクセル」という名前のジャンプです。
そして「トリプル」なので3回転しているということですね。
先ほどのジャンプの種類の名前と回転数を合体させてこのように呼びます。
1回転 | シングルアクセル |
---|---|
2回転 | ダブルアクセル |
3回転 | トリプルアクセル |
4回転 | 4回転アクセル (まだ飛べる人はいないです) |
この辺に関してはフィギュアスケートのジャンプの基礎についてで詳しく書いています。
6種類のジャンプの見分け方
さて、フィギュアスケートのジャンプには6種類があると前述しましたが、問題はその違いです。
素人目で見ると「どれも同じに見える」というレベルで、本当に違いがわかりにくいんですね。
見分け方のポイントはこちらの4つになります。
ジャンプ見分けのポイント
- ジャンプするのは「前向き」か「後ろ向き」か?
- ジャンプするのは「つま先」か「シューズのエッジ部分」か?
- 連続ジャンプの2つ目以降のジャンプは「ループ」か「トウループ」
- 滑走の力をジャンプに活かせるかどうか?
では6種類のジャンプの見分け方を、かなり細かく紹介していきますね。
ジャンプするのは「前向き」か「後ろ向き」か?
まず最初にビックリしそうなことをお伝えします。
フィギュアスケートのジャンプって後ろ向きにジャンプするのを知っていましたか?
わたしもこれを知ったときはびっくりしました。
イヤ、後ろ向きって怖すぎっ!
でも、1種類だけ、前向きに飛ぶジャンプがあるんです。
「アクセル」だけ「前向き」に跳ぶジャンプ
それが浅田真央選手の代名詞とも言える「アクセル」です。
こちらの動画は、浅田真央選手と伊藤みどり選手のトリプルアクセルを比較しているものです。
アクセル=前向きにジャンプということが分かりやすいと思います。
そして、アクセルジャンプ以外の5つのジャンプは必ず後ろ向きにジャンプするのです。
つまり、「ジャンプするのが前向きかどうか?」だけで「アクセル」とその他5つのジャンプの見分けがつきます。
3回転「半」のジャンプ?
テレビでフィギュアスケートを見ているとき、「3回転半」のような言葉を耳にしませんか?
「半」てなんやねん! 中途半端すぎや! もう半分ぐらいがんばらんかいっ!!
……って思いそうなのですが、それは無理なんです。
好きで「半」を飛んでいたのではなく、ジャンプの種類上、オマケで「半」が付くと言った方が正しいかもしれません。
とにかく、「3回転半ジャンプ」は「トリプルアクセル」のことで、「2回転半ジャンプ」は「ダブルアクセル」のことです。
なんで「半」になるの?
では、なぜ「トリプルアクセル」は「3回転半」になるのでしょうか?
アクセルジャンプの特徴は、6種類のジャンプの中で唯一、前向きでジャンプすることと書きました。
でもアクセルも着氷(着地)は前向きじゃなく、後ろ向きなのです。
フィギュアスケートのジャンプは、前向きに着氷するのは不可能で、
どんなジャンプでも必ず後ろ向きに着氷します。
そうすると、他のジャンプと違い、前向きに踏み切ってジャンプする「アクセル」は、他の5種類のジャンプ(後ろ向きでジャンプ後ろ向きで着地)よりも半回転多くなってしまうわけです。
こちらはマイケル・ワイス選手が教えてくれている動画もご確認ください。
動画の1分50秒辺りから「シングルアクセル(1回転アクセル)」「ダブルアクセル(2回転アクセル)」を見せてくれます。
この動画の「1回転アクセル」のスローモーションを見ると、普通のジャンプより多めに回ってるのが分かりやすいかもしれません。ダブルアクセルなんて3回転に見えますよね。
「3回転半」のような妙な言い方をしていますが、結局「アクセルジャンプ」だということで覚えときましょう!
アクセルジャンプについてはこちらに詳しく書いています。
こちらはトリプルアクセルだけに焦点を絞っています。
ジャンプするのは「つま先」か「シューズのエッジ部分」か?
次の見分けは、ジャンプするときに「つま先でリンクを蹴ってジャンプするかどうか」というところに焦点を当ててみます。
そうなんです。この2種類があるんですね。
2種類のジャンプ
- つま先でリンクを蹴って飛ぶジャンプ
- リンクを蹴らずにシューズのエッジ部分で飛ぶジャンプ
「エッジ」というのは、滑っているときに氷面に接している部分のことです!
「つま先」か「エッジ」かの比較表
6種類のジャンプを表でまとめました。
種類 | ジャンプはつま先? |
---|---|
アクセル | エッジ |
サルコウ | エッジ |
ループ | エッジ |
トウループ | つま先 |
フリップ | つま先 |
ルッツ | つま先 |
つま先でリンクを蹴らないでジャンプするのは「ループ」「サルコウ」、そして先ほど出た「アクセル」の3種類がそうです。
前向きでジャンプに入るアクセルは簡単に見分けが付くので、ここでは説明を省いておきます。
つまり問題は「ループ」と「サルコウ」の見分けですね。
でも、そんなに言うほど難しくはありません。簡単に言うと離氷(離陸)する足が違います。
「背中」から飛んでるっぽいジャンプ →「ループ」
つま先でリンクを蹴らないジャンプで、背中から飛んでいるように見えるのが「ループ」です。
もちろん、そうじゃないほうが「サルコウ」です。
「ループ」は専門的に言うと、このようなジャンプになります。
ループとは?
右足で滑ってきて、左足を上げて右足のエッジ(つま先でリンクを蹴らない)で離氷し反時計回りに飛ぶジャンプ
なのでジャンプが背中から始まるように見えます。こちらの動画もご参考に。
この動画の1分23秒辺りから「シングルループ(1回転ループ)」「ダブルループ(2回転ループ)」「トリプルループ(3回転ループ)」を見せてくれます。
ほら、ジャンプする方向に背中を向けてジャンプしているみたいに見えますよね?
ほかにも「イスに座るような姿勢」が見えたらループジャンプだと言われます(←わたし的にはこの説明はピンと来ませんでした)。
「アクセル」を後ろ向きから飛ぶのが「サルコウ」
「ループ」が右足で滑ってきて、そのまま右足で離氷する……と書きました。
「サルコウ」は逆に、左足で滑ってきて、右足を上げて、左足のエッジ(つま先でリンクを蹴らない)で離氷します。
またしても動画で見てみます。
動画の1分27秒辺りから「シングルサルコウ(1回転サルコウ)」「ダブルサルコウ(2回転サルコウ)」「トリプルサルコウ(3回転サルコウ)」を見せてくれています。
ループとサルコウは同じようなフォームですが、上げる足が逆になります。
種類 | 滑走時の足 | 踏み切る足 |
---|---|---|
アクセル | 左足 | 左足 |
サルコウ | 左足 | 左足 |
ループ | 右足 | 右足 |
トウループ | 右足 | 左足 |
フリップ | 左足 | 右足 |
ルッツ | 左足 | 右足 |
見かけが全然違うので見間違えることはあんまりないと思いますが、前から飛ぶ「アクセル」をちゃんと後ろ向きから飛んだのが「サルコウ」ということです。
安藤美姫選手が跳んでいた4回転ジャンプはこちらの「サルコウ」ジャンプです。
羽生結弦選手も見事な四回転サルコウを決めるようになりましたね。
ちなみにこの「サルコウ」という名前ですが、日本語だと「さる」っていう音声がひょうきんな音声に聞こえます。
でもこれはスウェーデンのウルリッヒ・サルコウさんが初めて飛んだから「サルコウ」と呼ばれるようになっただけで猿とは関係ないですよ。
とにかく氷を蹴らずに飛んだら「サルコウ」か「ループ」です!
連続ジャンプの2つ目以降のジャンプは「ループ」か「トウループ」
次は「トウループ」の説明をするために、連続ジャンプの話をさせて下さい。
連続ジャンプとは、その名の通り、ジャンプして、着地してすぐに次のジャンプをする技です。
この連続ジャンプを使って「トウループ」と「ループ(前述しました)」について説明します。
連続ジャンプの2つ目以降に使えるジャンプの特徴とは?
右利きの選手の場合、ジャンプは反時計回りに回ります。
そして着氷はどんなジャンプであれ、右足になります。
そうなると、連続ジャンプの2つ目以降に使えるジャンプには1つの条件が生じます。
それがジャンプ前に「右足で滑走する」という条件です。こちらの画像を見てください。
1つ目のジャンプは必ず右足で着氷するので、右足滑走のジャンプ(右足から始まる)じゃないと次のジャンプが飛べません。
ジャンプ前の「滑走時の足の違い」の比較表
では、ジャンプに入る前の滑走時の足の違いを表で比較してみましょう。
種類 | 滑走時の足 | 踏み切る足 |
---|---|---|
アクセル | 左足 | 左足 |
サルコウ | 左足 | 左足 |
ループ | 右足 | 右足 |
トウループ | 右足 | 左足 |
フリップ | 左足 | 右足 |
ルッツ | 左足 | 右足 |
右足で滑走するのは、「ループ」と「トウループ」だけですよね?
というわけで、2つ目以降のジャンプの見分けは「ループ」と「トウループ」のどちらかということになります。
着氷後に逆足のつま先で跳べば「トウループ」
着氷して、そのままの右足で2つ目のジャンプを飛べば、そのジャンプが、先ほど説明した「ループ」です。
なお、着氷して即、次のジャンプに入るため難易度が高くなります。
そして、着氷後すぐに、反対の足(左足)のつま先でリンクを蹴ってジャンプすれば、それが「トウループ」です。
上の画像のように、着氷した左足ですぐに飛ばず、左足を着いて、その反動で飛びます。
トウループは4回転で一番使われるジャンプ
連続ジャンプの2度目のジャンプを例に挙げて「ループ」と「トウループ」の違いを説明しましたが、もちろん連続ジャンプ以外でも跳びます。
そして、男子フィギュアで表彰台に登るために必須の「四回転ジャンプ」はトウループの場合がほとんどです。
なぜ四回転ジャンプに「トウループ」が使われるかと言うと、難易度が最も低いからです。
こちらの動画を見てください。
2分10秒あたりから、シングルトウループトリプルトウループまで見られますが、どうでしょうか?
ジャンプのフォーム上、飛んだ瞬間にすでに半回転回っていますよね。
1回転トウループだと、半回転ジャンプに見えるほど。
だからこそ、「トウループ」がなぜ一番難易度が低いと言われているんです。
空中で4回も回る……なんて高度な技をするためには、ジャンプの難易度は低いほうがいいですよね。
ちなみに、最も難易度の高い4回転の「アクセル」を試合で成功させた人はいません。でもいずれそんな天才が出てくるのかな!?と楽しみにしています。
単体での「ループジャンプ」は難易度で言うと三番目に簡単だと言われていますが、素人目にはもっと難しそうに見えますけどね。
トリプルループがよくダブルループになっている選手はよくいますから。
さて、トウループについてはこちらの記事に詳しく書いています。
4回転についてはこちらの記事をどうぞ!
【補足】連続技で使われる「オイラージャンプ(略: Eu)」とは?
2018年になって新しいジャンプの名前を聞くようになりました。
それが、「オイラージャンプ(略: Eu)」です。とは言っても、新しい7種類目のジャンプではありません。
先程、連続ジャンプの2つ目以降のジャンプは、ループかトウループしか使えないと書きました。
なぜなら、その他の4つのジャンプ(サルコウ、フリップ、ルッツ、アクセル)は、左足から始まるからです。
でも、1つ目のジャンプのあとに「つなぎ」のジャンプをはさんで、滑走の足を右足から左足に変更し、サルコウ、フリップを飛ぶ「新しい連続ジャンプ」もよく見かけるようになりました(昔はシークエンスと呼んでいたもの)。
このつなぎのジャンプを「オイラージャンプ」と呼びます。
以前は「シングルループ」と暫定的に呼んでましたが、着氷が右足になるしループとは違いますからね!
オイラージャンプについて詳しくはこちらを。
滑走の力をジャンプに活かせるかどうか?
最後に「フリップ」と「ルッツ」の見分けですが、この見分けが最も難しいです。
「フリップ」も「ルッツ」もジャンプの動作は同じ
専門的に言うと、どちらもジャンプの前は左足で滑走し、右足のつま先でリンクを蹴ってジャンプします。
この下の画像は「フリップ」に入るときの体勢ですが、「ルッツ」もほとんど同じです。
ここまで聞くと、どれだけ同じなのかがわかると思います。
実際にビジュアル的にもほとんどやっていることは同じです。あくまでビジュアル的には。
難しいのが「ルッツ」
「フリップ」と「ルッツ」は見かけはあんまり変わらないですが、「ルッツ」の方が断然難しいジャンプです。
ビジュアル的な違いとしては「ルッツ」を飛ぶときは、ジャンプするまでの滑走距離も長く取る選手が多く、ジャンプする瞬間に足を高く上げるのが特徴です。
ちょうどこんな感じのポーズで長く助走を取る選手が多いです。
なぜ「ルッツ」は助走が長いかって? 難しいからです!!!
「ルッツ」は滑走の力を活かせないジャンプ
具体的なこの両者のジャンプの違いは、滑走(助走)の力(遠心力)を活かしてジャンプできるかどうかです。
種類 | 滑走→踏み切る足 | 滑走の力を活かせるか? |
---|---|---|
アクセル | 左足→左足 | ○ |
サルコウ | 左足→左足 | ○ |
ループ | 右足→右足 | ○ |
トウループ | 右足→左足 | ○ |
フリップ | 左足→右足 | ○ |
ルッツ | 左足→右足 | × |
ルッツが難しい理由は、ジャンプをする前の滑走で滑ってきた弧の方向と逆方向に力を入れてジャンプするため、滑走のパワーを活かせないからなんです。
これも動画で見てみましょう。
1分40秒あたりから、シングルルッツトリプルルッツまで見られます。
具体的には、ルッツは「左足外側エッジ」に体重を乗せて滑走をしてジャンプします。
英語の「J」のような時計回りの弧を描きながら滑走してきたのに、ジャンプするのは反時計回りというわけです。
フリップは滑走の力を活かせるジャンプ
そして、フリップは「左足内側エッジ」に体重を乗せて滑走をしてジャンプします。
平仮名の「し」のような反時計回りの弧を描きながら滑走してきて、その力を利用して反時計回りに回るんです。
フリップは、このアニメーション画像のように、飛ぶ前にくるっと回すようにして飛びます。
動画でも確認してみましょう。
1分23秒あたりから、シングルフリップトリプルフリップまで確認できます。
フリップはジャンプに滑走(助走)の力を伝えやすいため、回転しすぎるという難しさがあるそうです(テレビで織田信成 選手が言っていた)。
回転しすぎるため、それを調整するのが難しいんですね。
逆に「フリップ」よりも「ルッツ」はパワーのみでジャンプする!ので単純に回転するのが難しいのです。
覚えた方はクイズでチェック!!
6種類のジャンプの違いを当てるクイズを作りました。挑戦してみてください!
さて、今回わたしがフィギュアスケートのジャンプについてまとめたのは、自分が調べたかったときにわかりやすい記事がなかったからです。
公式なサイトを見ても「ん……で、ルッツとフリップって何が違うの!?」って思ってましたからね。
「この記事でよく理解できた!」って言われるとうれしいです♪
ちなみに、羽生結弦選手のすごさについて書いた記事もぜひ!