こんにちは! ヨス(プロフィールはこちら)です。
わたしが若い頃、漫画が大好きでした。
若いころの夢が漫画家だったレベルで、実際に20歳ぐらいまで描いていました。
そのくらい漫画好きだったわたしが、若い頃に衝撃を受けた漫画を5つ紹介します。
若いころに衝撃を受けた漫画5つ
わたしは若いころ、本を全く読まないダメダメな人でした。
でも漫画が大好きで、人生で大切なことは漫画から学んだと言えます。
というわけで、わたしが青春時代に影響を受けた5つの漫画を紹介します!!
いわしげ孝『ジパング少年』
まずはわたしの人生に最も大きな影響を与えた、故・いわしげ孝さんの『ジパング少年(ビッグコミックス)』。
高校生のとき、一番仲の良かった友人の勧めで知り、わたしの思想に絶大な影響を与えた漫画です。
日本の教育は「管理教育」である
主人公の柴田ハルは「管理教育」と呼ばれる学校生活の中で過ごしています。
つまり、日本の教育のことですね。
作品の中では、このような理不尽な学校の姿が描かれています。
- 異常な服装のルール
- 校門での服装検査
- 定期的な持ち物検査
- 従わない生徒にはためらいなく暴力を振るう教師
実は、これらのほとんどをわたしが中学校のときに体験しました。
わたしが通っていた中学校は本当に意味不明なルールだらけで、まさに漫画に出てくるような環境でした。
「○○中生らしい行動を!」のようなスローガンを垂れ幕に掲げていた気がします。
今だったら「そんな漫画みたいな……」って言われるほどの(笑)。
この漫画を読むまで疑問に思ったことがなかった
そして驚くのはここからです。
実は、わたしはそんな異常な時代の異常な学校にいたにもかかわらず、この漫画を読むまでそれが普通だと認識していたんです!!
いやー、この漫画に早い時期に出会えてよかった。
わたしの場合、高校生になってから自分がいた中学校と重ねあわせながら読んでいました。
本当に名セリフの多い漫画でした。たとえばこのようなものがあります。
- 学校=強制収容所
- フリー=最初からある自由・リバティー=自分で勝ち取る自由
どれも「そうそう!」とうなずいていました。
『ジパング少年』の大まかなストーリー
初期のころは、主人公の柴田ハルが「管理教育」に反発し、いろいろな行動を起こしながらストーリーが進んでいきます。
でも結局何も変わらないという現実を知り、学校を退学し、漫画のジャンル自体が180度変わるんです。
学校を退学した柴田ハルは自分の理想の学校を創ろうと、ペルーに渡ります。
そして、ガリンペイロ(川で金とか宝石を探す人)になって、資金を集めるというとんでもない方向に!
最終的には、幻の黄金郷ビトコスを目指す冒険漫画になります。
もちろん、ただの冒険漫画ではなく、外から「日本」を見ながらという視点で。
作者の故・いわしげ孝さんの「魂」が感じられるスケールのでっかい作品です。
初期の学園編は、最近の方には「んな学校あるか!」と思われて感情移入できないかもしれません。
でもこの日本に住んでいる限り、共感してもらえるところは多々あると思います。
吉田戦車『伝染るんです。』
不条理四コマ漫画の元祖とも言える吉田戦車さんの『伝染るんです。(ビッグコミックスピリッツ)』です。
「写ルンです」というインスタントカメラにかけた名前ですね。懐かしい。
不条理ギャグ漫画の元祖
最近では「不条理ギャグマンガ」というジャンルが確立していますが、その元祖ですよ。
当時は「今まで出合ったことのない新しい笑いのカタチ」に衝撃を受けました。
そしてその面白さに腹をかかえて笑っていました。キャラクターのセンスも抜群でしたねー。
こんなのアリなんだ!……って衝撃でした。
授業中に読むとアブナイほど面白い
高校の時に読んだのですが、授業中に読むのだけは避けていました。
だって、面白すぎて本当に笑いがこらえられないのでアブナイからです。
作者名の「吉田戦車」がすでにやばいですよね。
この漫画で吉田戦車さんのファンになって、ほかの作品を買いあさりましたが、やっぱ『伝染るんです。』には敵いません。
ほんまによくもまぁ、こんな変なキャラクターをたくさん考えつくわ……と思います。
知らない方は是非読んでください。
特に1巻は、わざと乱丁をしていたり、白紙のページを作っていたりして無茶苦茶しています。
大友克洋『AKIRA』
そして、世界中で漫画界・映画界に影響を与えた大友克洋さんの『AKIRA(週刊ヤングマガジン)』です。
いろんな意味で前代未聞のマンガ
このマンガ、4巻が出てから劇場版の制作のために連載が休止しました。
そして5巻が出るまで3年も待つことになったという、いろんな意味でスゴイ作品です。
ほかにも主人公が1回も出てこない巻があるとか、コミックのサイズがデカすぎるとか。
絵が細かすぎて縮小してしまうと絵がつぶれてしまうからですけど(笑)。
背景の細かさが最も衝撃的
大友克洋さんのコミックスへの意気込みが尋常ではなかったです。
たとえば、背景を書き直したり、構図やコマ割りを変えたりといった凝り具合。
そもそもの背景の書き込みがヤバいレベルで、それを描き直すとか意味不明です(笑)。
実際に書籍を購入して読んでほしいのですが、すべてのコマの背景が衝撃的な描き込みです。
未だに『AKIRA』を超える背景の描き込みを見たことがありません。
田島昭宇さんや小畑健さんの背景もスゴイですが『AKIRA』には敵いません。
いや、やりすぎだから敵わなくていいんですけどね!
とにかく作者の大友克洋さんは瓦礫が大好きらしいですね。変な話ですが『AKIRA』の背景だけでも一度見てほしいです。
『AKIRA』のストーリーはSF
描き込みばかりに焦点を当ててしまいましたが、ストーリーもすごいです。あ、SFですよ。
1982年12月に第三次世界大戦が勃発したという設定で、その後のネオ東京が舞台です。
そこに出てくる超能力を操れる「子どもなのに老人の顔をした能力者」たち……。
『銃夢』とか『ARMS』が好きなSFアクション好きにぜひ読んでほしい。
こっちは劇場版です。今見てもスゴイです。
そうそう。この漫画は1980年代の漫画なのに、作中で2020年の東京オリンピックが登場しているんですよね。
この記事で知ったのですが面白いです。
参考: 『AKIRA』はなぜ2020年東京オリンピックを予告できたのか(エキサイトレビュー) - エキサイトニュース(1/3)
吉野朔実『少年は荒野をめざす』
そして吉野朔実さんの『少年は荒野をめざす(ぶ~け)』です。
少女漫画はあんまり読む機会がなかったのですが、20代前半に友人の勧めで借りて読み、即本屋に走りました。
美しすぎる絵と哲学的で知的なセリフ
この作品は絵柄も綺麗でわたし好みで、背景や心理描写の描き込みも凝っています。
そして心理学的で個性的なキャラ設定 & ストーリーにグイグイと引きこまれました。
この漫画は哲学的で知的なセリフが魅力的なんですよ。
その中でもわたしの心をガーンと打ったのは、日夏雄高(ひなつ ゆたか)という作家キャラが言ったこちらの言葉。
大人をなめるなよ。子どもが大きくなっただけなんだからな
「子ども」と「大人」の間には明確なラインがあるわけではなく、子どもが大きくなっただけなのが大人。
わたしの好きな名言TOP3の1つでもあります。
『少年は荒野をめざす』のストーリー
『少年は荒野をめざす』のストーリーを説明するのは難しいですが、簡単にまとめます。
主人公の狩野都は病弱だったお兄ちゃんの代わりに、自分を男の子と思い込み過ごします。
まるで、ベッドから動けない兄の代わりに人生を歩むように自分を男の子として生きてきたんです。
そんな中、兄は死んでしまいます。死ぬ間際に「もう僕の代わりはしなくていいよ」と言われるのですが……。
自分を男の子だと思ってた都は「自分は女の子だ!」というアイデンティティに変換することを5歳にして迫られます。
自分を「女」だと受け入れられないまま成長していった都は、高校で自分そっくりな黄味島陸(きみじま りく)という男の子に出会います。
それは、まさに幼少だったときの「失った男の自分」が成長したかのような存在です。
誰しも一度はアイデンティティについて考えたことがあると思うのですが、わたしの中では妙に共感できました。
主人公の都は、その「陸」に惹かれていくのですが、恋愛でもないような不思議な感じです。
鳥山明『ドラゴンボール』
さて最後を飾るのは言わずと知れた鳥山明さんの『ドラゴンボール』です。
最後の最後であまりにもメジャーすぎな漫画を持ってきてアレですが、やはりわたしに影響を与えたという意味では絶対に外せません。
この作品に影響を受けた漫画家は、『ONE PIECE』の尾田栄一郎さんをはじめとして無数にいることでしょう。
影響を受けない人の方が少ないのかもしれません。
「スクリーントーン」を使わない漫画
わたしは中学校のころに漫画を描いていました。
そのころに「スクリーントーン」という高価なものがあることを知りました。
白黒イラストに色味を出すための「網掛け」ですね。
そのスクリーントーンは中学校のときのわたしにとって、高価で手の出ないものでしたが、貼るだけでプロっぽく見えるため、憧れていました。
でもドラゴンボールではそれがほとんど使われてないんですね。それなのにあんなにカッコいい!
そしてスクリーントーンに頼らなくても「画面が持つ」という衝撃。
ナメック星のネイルが上着を脱いだときは色味がなく、真っ白白だったことは置いておいて(笑)。
毎週ワクワクしながら読んでいた
ドラゴンボールって、第一話のころは悟空が「サイヤ人である」という設定を絶対に考えてなかったでしょう。
それがあんな展開になっていくなんて、中学生だった私はもう毎週ワクワクしっぱなしでした。
一番おもしろかったのはやっぱりサイヤ人設定が出てからですよね。ナメック星に行ってからが特に最高です。
悟空が到着したときとか、ピッコロがネイルと同化したところとか……もうワクワクしまくりでした。
もう少年漫画の王道のストーリー展開です。
ストーリーもですが、絵もむちゃくちゃ上手かったですよね。
キャラクターが魅力的すぎです。もうどれだけベジータの絵を真似して描いたことか。
ただこの漫画の中では「強さ=戦闘力」だけなので、ヤムチャや天津飯の活躍が後半には全くなくなってしまったのは残念でしたね。
界王様のところで修行した意味が全くないです(笑)。
たぶん、同じようなことを感じてその辺を上手くやっているのが『ONE PIECE』だと思います。
ナミやウソップやチョッパーが活躍する回は嬉しいですから。
さて今回、好き勝手に漫画を5つ選びましたが、こういうのって楽しいですね~。
私が1970年代生まれなのでちょっと古めのセレクトですが、最近の方に「こんな面白いのがある」という提示になれば嬉しいなと思います。