鳥取県の婚活パンフレットの劣悪さよ…賞味期限切れの価値観を再生産すんな!

こんにちは! ヨス(プロフィールはこちら)です。

今回は、8年前に話題になった鳥取県の婚活サービスの「パンフレット」についてです。

えんトリー」のパンフレットで、突っ込みどころが多すぎてヤバいんです。

鳥取県が作ったパンフレット?

問題があったのは、鳥取県が2015年12月に立ち上げた会員制の婚活サービス「えんトリー」のパンフレットです。

「えんトリー」のパンフレット
「えんトリー」のパンフレット

「縁」と「鳥取の『トリ』」で「entry(エントリー)」でしょうか?

ネーミングはめちゃうまいですね。

 結婚を希望する男女の会員制お見合いシステムとして、鳥取県が開設した「えんトリー(とっとり出会いサポートセンター)」のPRパンフレットに、男女の役割に関して「不適切な表現」があったとして、県は13日、パンフレットを回収すると発表した。

「女性はもともと受け身の性」婚活パンフ…「不適切表現」で回収 鳥取県  - 産経WEST

ところが中身がひどすぎる……。

現代の日本では少子化が超深刻です。国も県も、結婚をもっと促そうといろいろ考えているわけです。

でもあまりにも性別による偏見(ジェンダー)がひどすぎるため、1万枚も配布したパンフレットを回収したそうです。

そのパンフレットを見ると、
ああ……だから少子化に歯止めがかからないんだな」と妙に納得してしまいました。

鳥取県の言う「結婚相手に求める条件」

では、鳥取県の作ったパンフレットの内容を見てみましょう。

まず、こんな記述があります。男性が「女性に求める条件」の部分がこちら。

男性が女性に求めているものは癒やしや安らぎです。リラックスできる人は男性にとって最も魅力を感じる女性です。一緒にいて安らげるような女性と結婚したいと考えています。項目で示すと、料理が上手、子どもが好き、金銭感覚が同じ、男性をたててくれる、自分を理解してくれる、価値観が同じ、一緒にいると癒やされる 等

お次は女性が「男性に求める条件」。

女性はもともと受け身の性で男性側から積極的に愛情表現されたりアプローチをされると次第に相手の事を好きになるという傾向が男性よりも強いようです。項目で示すと、子ども好き、家事を手伝ってくれる、仕事を一生懸命、優しく誠実、嘘をつかない 等

これ読んで全員が「そうそう! そのとおりっ!!」のように反応すると思っているのでしょうか?

これを作ったのは男性ですよね……。

もちろん女性が作っても上司が男性だから、その男性によるチェックが入るのでどんなものも男性視点に変換されますが。

女性はペットかアイテム?

さきほど見た引用をもう一度出しましょう。

男性が女性に求めているものは癒やしや安らぎです。リラックスできる人は男性にとって最も魅力を感じる女性です。一緒にいて安らげるような女性と結婚したいと考えています。

男性が求めている女性像のやばさ……すごいなぁ。

並んでいるのは「癒やし」とか「リラックス」とかばっかり……。

驚くヨス

アホかッ!
相手は人間だぞ!

「癒やし」がほしいだけならペットの方が効率いいだろうと思うのですが。

あと気になるのが男性の生活が主軸でそのためのお役立ちアイテム的な書き方なんですよね、コレって。

多くの男性は自分の癒やしのためだけに女性と結婚したいんですか(笑)。

ハムスター飼ったほうが癒やされるぞ、まじで。

ハムスターは癒やしだけをくれるよ
ハムスターは癒やしだけをくれるよ

女性は元来「受け身」の生物なんですって

そして女性側がまたキツイです。女性は元来、受け身な生物になっています。

女性はもともと受け身の性で男性側から積極的に愛情表現されたりアプローチをされると次第に相手の事を好きになるという傾向が男性よりも強いようです。

「現在の日本社会の構造上、女性は受け身になるように育てられます。

そのため受け身になる傾向があると言われています」なら、まだわかりますが「女性はもともと受け身の性」って言い切ってますからね。

制作過程で「え? これっておかしくね?」って気づく人はいなかったんでしょうか。

もうね、こういう1つのテンプレートに入れ込むのがイタすぎです。

「男性から積極的にアプローチされたら相手を好きになる??」って、犯罪の予感しかしないぞ。

いや、そんなに簡単だったら結婚ってどんだけ余裕なんでしょうね。絶対に結婚できない人なんていないでしょ。

これ危なすぎます。「じゃあガンガン押せ押せで行こう! 今はあの子に嫌われているけど、ひるまずにアプローチしたらいいんだな!」って思うアホが出てきますよ。それって100%犯罪予備軍です。

完全に「男性視点」だけで制作されている

もう1回、引用を引っ張り出します。見比べてほしいです。

男性が女性に求めているものは癒やしや安らぎです。リラックスできる人は男性にとって最も魅力を感じる女性です。一緒にいて安らげるような女性と結婚したいと考えています。

女性はもともと受け身の性で男性側から積極的に愛情表現されたりアプローチをされると次第に相手の事を好きになるという傾向が男性よりも強いようです。

これ、上側が女性向けに書いている文で、下側が男性向けに書いてある文です。

これ、同じ「結婚相手に求める条件」という項目に書いてあるので、同じようなことを書くべきですよね。

でもフタを開けてみると女性には「男性は癒し系女性を求めているから、女性はそうなりなさい!」と言っています。

逆に男性には「女性は押せ押せモードに弱い傾向がありますよー♪だってもともと受け身だから」って女性の傾向(← 妄想だけど)を書いているんですね。

この記述の順番もなにも考えずに「男性」「女性」の順に配置していますが、ニーズとか考えてるんかな?

わかんないですが、わたしの感覚では結婚できない男性の方が多い気がします。

もしそれがデータとして正しければ、「女性が男性に求める条件」を上に書くべきですよね。

男性を先に書くのがあたりまえになっているから、なにも考えずにそうやってるんだと思いますが。

男性が「女性に求める条件」ですって

突っ込みどころがありすぎて長くなってきましたが、まだつづきます(笑)。

鳥取県がほかに書いていた「結婚相手に求める条件」ですが、ご丁寧に「項目」として書いてくれています。ほんましょうもない……。

箇条書きにしてまとめました。まずは男性が女性に求める条件。

男性が女性に求める条件

  • 料理が上手
  • 子どもが好き
  • 金銭感覚が同じ
  • 男性をたててくれる
  • 自分を理解してくれる
  • 価値観が同じ
  • 一緒にいると癒やされる

ひどすぎる……。

料理は女性の仕事で、男性をたててくれ、一緒にいると男性の癒やしになる。

昭和のにおいがひどすぎて倒れそうっ……。

つぎは女性が「男性に求める条件」だそうです

お次は女性が男性に求める条件……。

女性が男性に求める条件

  • 子ども好き
  • 家事を手伝ってくれる
  • 仕事を一生懸命
  • 優しく誠実
  • 嘘をつかない

出ました。「家事を手伝ってくれる」です。

「家事 = 女性の仕事」なので男性は「手伝う」んですね。

「家事をやる」でいいんじゃないですかこれ? 作った人の偏見が出ています。

「仕事を一生懸命」……。「一生懸命」ってモヤッとしすぎだわ。「お金を稼ぐ」とかだと、制作した男性が抵抗あるんですかね?

そして最後の「嘘をつかない」ってなんですかコレ? こんなレベルのが入ってもいいんですか?

「犯罪を犯さない」「人間を裏切らない」「あいさつができる」「人の話を聞く」とかそういうレベルのことですよね。

これは男性は怒るべきところでは? ナメられてます。

これって……、制作した男性には思い浮かばなかったから適当に最後に付け足したんですかね?

本当に偏見がひどすぎる

というか、そもそもですが「女性に求める条件」は7つもあったのに、「男性に求める条件」がたったの5つなんですね。

「女性が男性に求める条件」の最後に書いていた「嘘をつかない」は数に入れなくてもいいので実質4つ。

条件の数
女性に求める条件7個
男性に求める条件4個
求める条件の数を比較

なんなんですか、この差って? 女性にだけ、やけに細かいし。

提示するなら両方の数を合わせるべきですよね? それとも日本人男性のほうがすでに女性の理想に近いってこと?(笑)

いやー、「(笑)」って書きましたが、ほんまに笑えません。

あと気になるのが、これがインタビューして出た結果ならちゃんと何人に質問して何%の人が言っていたとかそういう数値を開示すべきです。

もし統計じゃないのなら、なんですかコレ? この条件って作った人の幻想、妄想、思い込み、偏見ですよね?

偏見を持った人の企画は危険

このパンフレットの目的は「少子化を改善させる」ということのはずです。

それなのに、パンフレットでは今まで続いてきた女性と男性への偏見と妄想で作られてます

今まで続いてきた「女は家庭・男は仕事」みたいな価値観(これも近代になってからの価値観だけど)が時代と合わなくなってきたから結婚しない人が増えるし、少子化につながっているわけです。

女性は普通に働きまくっているし、特に男性は長時間労働で自殺者まで出まくってます。

だったら今までの価値観をアップデートするのが先決なんです。

でもこの鳥取県のパンフレットは真逆をやっているわけです。賞味期限の切れた価値観を再生産してどうする。

アホみたいな婚活とか

こんなアホみたいな婚活に公的資金を投入するよりも、社畜を減らすため動いてくれませんか?

会社での拘束時間が長いと婚活もできないし、結婚してても子どもを生む余裕がありません。

なんとか1人生んだとしても、夫の帰る時間が遅いと妻が2人目を生もうなんて誰が思いますか。

都会では保育所が足りない問題もありますよね。そういうことに頭とお金を使ってください。

西洋の先進国みたいに、夫婦がパートタイムでも生活できるようにして両方が家事育児を主体でやれるようにするとか、婚外児をもっと認める風土にしていくとか、夫婦別姓を認めるとか。

ベーシックインカムとかもありますよね。

そういう制度的なことは1つも変えずに、安易に「結婚できる人を増やそう! じゃあ婚活だ!」はおめでたすぎます。

さて、今回は鳥取県のパンフレットの劣悪さを書いただけなのにここまでで4,000文字を超えています(引用含む)。

鳥取のパンフレットだけではありません。こういうことは全国でふつうに何度も繰り返されている悪行です。

どうすればいいか……ですか? 簡単ですよ。脳みそカチカチの人たちだけに任せないことです。

政治や決定権のある立場に女性が50%以上つくようになれば変わります。

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